「子どもをほめるタイミングって難しい」
「どんなに叱っても子どもに響かないのはどうして!?」などなど…
子どもに“効く”ほめ方・叱り方は子育て中のママ&パパにとって大きな悩みの種。
今回は幼児教育研究家であり絵本作家のわだことみ先生に、とくに幼児期の子どもの心に届く「ほめ方」と「叱り方」を教えていただきました。
基本的には“しからない”こと
私が子どもと接する時、「子どもの話を聞く→共感し受け入れる→良いところをほめる」のを基本にしています。
「叱る」のは、命にかかわるような危険な行動をとった時、人に迷惑をかけてしまった時、そして人の心を傷つけた時だけ。
やみくもに叱っても、子どもの心には届きません。
それに一度「叱る」と次はもっと強く「叱る」ようになって、どんどんエスカレートしてしまいませんか?
そうすると子どもは委縮して、お母さんの顔色を見て行動するようになってしまいます。それでは、どんなに子どものためを思って叱ったとしても、子どもの身についたことにはならないんです。
それよりは「なぜやらなければいけないのか/やってはいけないのか」ということを、まず冷静に話し、
子どもが「自分で気づく」まで待ってあげること。
「自分で気づく時が来る」と信じて待つ親の気持ちは、子どもにちゃんと伝わるものです。
それは「親から愛されている、信頼されている」という自信にもつながります。
日々の生活の中では、目先のことにとらわれ、つい自分のペースに子ども合わせようとしてしまいがちですが、
子どもの心に寄り添い「子どものペースに自分を合わせること」がとても大切なんです。
どうしても叱らなければいけないシーンでも、
本人の人格を全否定するような「きつい言葉」は決して使わないこと。
また、「どうして早くできないの!」と親の都合で急かし、つい叱ってしまうというようなこともありますよね。
後で「感情的に叱ってしまった」と思った時は、きちんと「さっきはママ、イライラして怒ってごめんね」などと謝りましょう。
一人の人格として親から尊重されていることは、子どもにもきちんと伝わります。
それに子どもに限らず、普段怒らない人が怒ったほうが、話を聞かなければいけないという気持ちになりますよね。
そういう意味でも、普段から「叱る」ということはしないほうがいいんです。
がんばった“過程”をほめる
ほめるタイミングも難しいですよね。
「なにかできるようになったら、思いっきりほめよう」と思っていても、
なかなか結果が出なくてほめるタイミングを逃してしまうこともあるでしょう。
たとえば「飛び箱の練習をしたけど、どうしても飛べるようにならなかった」という場合。
飛べなかったという結果ではなく、自分から取り組んだという自主性や、がんばったということが、なによりも大切なのです。
結果が出せなかった時、そのことで一番辛くて悔しいのは子ども自身のはずです。
だから、子どもが「できなかった」と思っている時に、追い討ちをかけるような言葉は逆効果。
それでは子どもはやる気をなくしてしまいます。
それよりも「がんばっていたね、すごいね!」と親から認めてもらえると、次もがんばろうという意欲につながります。
とくに幼児期は、子どもの「またやってみたい」「次もやろう!」「楽しそう!」というモチベーションを育てていくことが一番重要。
その気持ちをしっかり育んでおけば、中学生や高校生になって難しい課題に直面した時も、「チャレンジしてみよう」と思えるようになるんです。
だから、子どもが「やったよ!」「がんばったよ!」と報告してきた時は、
たとえ大人から見て「できていない」と思っても、
一生懸命取り組んだ子どもの心をしっかり受け止め、
「よくやったね!」「がんばったね!」とほめてあげましょう。
――どうしても親は「今」「目の前」で子どもがしていることだけにフォーカスして、
叱ったりほめたりしてしまいがち。
でも、長い目で見ればそれよりも大切なことがあるんですよね。
そのためには幼児期のうちから、子どもの様子によく目を配り、しっかりと「ほめる」ことが重要なのですね。
この記事の監修・執筆者
1958年生まれ、東北大学工学部卒業。
塾、予備校、幼児教室で幼児から高校生まで長年指導。
現在までに知育絵本、幼児向けの知育ドリル、絵本など300冊以上を執筆、
知育関連の雑誌、幼児番組、おもちゃ、アプリのアドバイザー、監修も務める。
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