蕎麦デビューは何歳から? 気をつけたい危険なアレルギーのサインと対処法[医師監修]

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子どもに蕎麦を食べさせたいけれど、アレルギーが心配で迷っていませんか。蕎麦は成長期にうれしい栄養素が豊富ですが、重いアレルギー症状を引き起こすこともあります。本記事では、蕎麦を食べる目安や安全に試す方法、注意すべき症状や対応法をまとめました。ママパパが安心して蕎麦デビューをサポートできるよう解説します。

文/ハイドジア

目次

子どもに蕎麦を食べさせても大丈夫?

子どもに蕎麦を食べさせてもいいのか、不安に思うママパパは多いでしょう。蕎麦は栄養が豊富で成長期に役立つ食材ですが、一方で「食物アレルギーの中でも重い症状を起こすことがある食品」として知られています。

ここでは、蕎麦が子どもの体にどんなメリットがあるのか、またうどんとの違いについてもわかりやすく解説します。

蕎麦の栄養と成長期にうれしい効果

蕎麦には、子どもの成長に役立つ栄養素が多く含まれています。まず、体や筋肉の材料となるタンパク質が多めで、エネルギー源となる炭水化物がしっかり摂れます。

また、食物繊維も豊富で腸内環境を整える効果が期待でき、便秘が気になる子どもにもおすすめです。さらに、ビタミンB群は疲労回復や代謝をサポートし、鉄分やマグネシウムといったミネラルは発達や体調管理に役立ちます。

さらに蕎麦に含まれるポリフェノールの一種である「ルチン」という成分は、血管を強くし、健康な体作りを支えます。日々の食事に上手に取り入れることで、成長期の栄養バランスを整える力強い味方となるでしょう。

うどんとどう違う?

蕎麦とうどんはどちらも子どもに人気の麺類ですが、栄養や消化の面で違いがあります。うどんは小麦粉から作られており、消化が良く胃腸への負担が少ないため、離乳食期や体調がすぐれない時にも向いています。

一方、蕎麦はタンパク質やビタミンB群、ミネラル、食物繊維が豊富で、成長期の栄養補給に役立つのが大きな特徴です。ただし蕎麦は小麦よりもアレルギーのリスクが高いため、初めて食べさせる際は慎重に少量から始めることが大切です。消化のしやすさではうどん、栄養面では蕎麦と、それぞれの特徴を理解しながら使い分けると安心です。

蕎麦デビューは何歳から?

子どもに蕎麦を食べさせる時期については、ママパパが特に悩むポイントのひとつです。離乳食が進んで食べられるものが増えてきても、蕎麦はアレルギーの心配があるため開始時期に注意が必要です。

ここからは、離乳食期や幼児期に気をつけたいこと、そして年齢ごとの目安や少しずつ始めるコツについて解説します。

離乳食期・幼児期に注意すべきポイント

離乳食期の赤ちゃんには蕎麦を与えないのが基本です。消化器官が未発達なので、まずは消化の良い米や小麦を主食とし、ほかのさまざまな食材に少しずつ慣らしていきます。アレルギーを起こした場合に重い症状につながるリスクも高いため、蕎麦は1歳未満は避ける方が安心でしょう。

アレルギーの家族歴があるなど、心配がある場合は医師に相談することをおすすめします。

年齢ごとの目安と少しずつ始めるコツ

蕎麦を子どもに与える目安は、「1歳を過ぎてほかの食材に慣れてから」になりますが、いつまでにという特にはっきりとした時期はありません。

初めて試すときは、まずは2cm程度のごく少量から始めるのが安心です。

問題がなければ少しずつ量を増やしていきましょう。また、食べるタイミングは休日ではなく、病院が開いている平日の午前中がおすすめです。

体調が万全であることを確認し、食後は数時間しっかり観察することが大切です。焦らずゆっくり進めていきましょう。

気をつけたい!蕎麦アレルギーの症状

蕎麦は栄養豊富な食品ですが、子どもに与えるときに最も注意すべきなのが「蕎麦アレルギー」です。食物アレルギーの中でも重い症状を引き起こすことがあり、油断できません。

ここからは、肌やおなか、呼吸に現れやすいサインや、命に関わることもあるアナフィラキシーについて解説します。

肌・おなか・呼吸に出やすいサイン

蕎麦アレルギーの症状は、食べた直後から数時間以内に出る傾向があります。まず注意したいのが肌の反応で、じんましんや赤み、かゆみなどが見られる場合も。

次におなかの症状として、下痢や嘔吐、腹痛が現れることも少なくありません。さらに重いケースでは呼吸器に影響し、咳や声のかすれ、ゼーゼーとした呼吸、呼吸困難につながることがあります。

こうした症状は最初は軽くても急に悪化することがあるため、見逃さずに早めに対応するようにしましょう。食後の体調変化に敏感になり、少しでも不安を感じたら医療機関に相談するようにしてくださいね。

重い症状「アナフィラキシー」に要注意

蕎麦アレルギーで最も注意すべきなのが、全身に急速に症状が広がる「アナフィラキシー」です。これは食後数分から数十分で起こることが多く、じんましんや唇の腫れに加え、呼吸困難や意識の低下など命に関わる状態に進行する危険があります。

特に子どもは体が小さいため、少量の摂取でも重い症状につながることがあります。万が一こうしたサインが見られたら、すぐに救急車を呼び医療機関を受診することが必要です。

アレルギーが出たときの正しい対応

もし子どもに蕎麦アレルギーの症状が出たら、落ち着いて適切に対応しましょう。症状の程度によって対処法は変わりますが、早めの判断と行動が安心につながります。ここからは、自宅でできる応急処置や受診の目安、そして病院に行くべきケースについて解説します。

自宅でできる応急処置と観察方法

子どもに蕎麦アレルギーが疑われる症状が出た場合は、まず落ち着いて様子を観察しましょう。肌に少し赤みやかゆみが出たときは、かきむしらないように冷たいタオルでやさしく冷やすと楽になります。

嘔吐や腹痛がある場合は食べるのを中止しましょう。アレルギーの症状は、はじめは軽い症状でも急に悪化することがあります。

食後数時間は子どもの顔色や呼吸の様子をこまめに確認し、症状がおさまらなかったり悪化したりする場合には迷わず医療機関へ連絡しましょう。自己判断で「大丈夫」と決めつけず、変化を見逃さない姿勢が大切です。

病院に行くべきタイミングと準備

子どもが蕎麦を食べたあとにじんましん、顔や唇の腫れ、咳や呼吸の苦しさ、嘔吐やぐったりする様子が見られた場合は、すぐに病院を受診する必要があります。

特に呼吸器に関わる症状や意識の変化があるときは、ためらわず救急車を呼ぶことが大切です。受診の際には、蕎麦を食べた時間や量、出た症状の内容と経過を簡単にメモして持参すると診察がスムーズです。

また、普段からかかりつけ医や最寄りの救急病院を確認しておくと、いざという時に慌てずに対応できます。

安心して蕎麦を楽しむためにできること

市販の蕎麦を選ぶときは、含まれる蕎麦粉の割合によってアレルギーのリスクも変わるので、まずは蕎麦粉の含有率が低い製品から試すというのもひとつの方法です。

アレルギーが怖くて蕎麦を食べさせられないという声も聞きますが、子どもの蕎麦アレルギーはそんなに多いものではありません。少しずつゆっくり試していきましょう。

まとめ

蕎麦は栄養豊富で成長期の子どもにとって魅力的な食材ですが、アレルギーのリスクがあるため食べ始めは慎重になることが大切です。初めて与えるときは数cm程度の少量から、体調の良い日の午前中に試し、食後はしっかり観察しましょう。

万一症状が出たときに相談できる医療機関を日頃から確認しておいて、無理をせず、安全な蕎麦デビューを応援していきましょう。

この記事の監修・執筆者

総合母子保健センター愛育クリニック 院長 渋谷 紀子

東京大学医学部卒。NTT東日本関東病院小児科部長などを経て、現職。日本小児科学会認定専門医・指導医、日本アレルギー学会認定専門医。主な監修書籍に、『0-5歳児 病気とケガの救急&予防カンペキマニュアル』(学研教育みらい)、『はじめてママ&パパの0-6才病気とホームケア』(主婦の友社)などがある。

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