監修:渋谷 紀子(総合母子保健センター愛育クリニック 小児科・母子保健科部長)
インフルエンザの主な症状 ~感染力が強く、重いかぜ症状が出る~
[主な症状]
典型例では1〜3日間の潜伏期間の後、突然
●40℃近い高熱
が出て、症状が急激に悪化します。
発熱と同時に、
●頭痛
●全身の倦怠感
●関節痛
●筋肉痛
などの症状が、ふつうのかぜよりも強く出るので、ぐったりとしてしまいます。
発熱と前後して、
●せき
●たん
●鼻水
●くしゃみ
などのかぜ症状も現れます。
●下痢
●おう吐
などの消化器症状を起こすこともあります。
(※インフルエンザにかかっても、高熱が出ないこともあります。
その他の症状に該当するならば、念のため病院を受診することをおすすめします)
[引き起こしやすい合併症]
●気管支炎
●中耳炎
などを伴いやすく、上手にたんを吐きだせない子どもは呼吸困難になることも。
●急性脳症
●肺炎
といった重い合併症を引き起こすケースもあるので、注意が必要です。
治療や、家でのケアは? ~水分を補給し安静にする~
インフルエンザが疑われる場合は、症状が悪化しないうちに受診し、処方された薬を指示どおりに使い、回復を待ちます。ただしインフルエンザの検査は、発症後数時間では正しい結果が得られない場合があるので注意が必要です。
ケアの基本は、かぜ症候群と同じく、
●安静
●水分補給
がポイント。脱水症を予防するため、食欲がなくても水分だけは十分とらせるようにします。
服薬やケアをしていても、せきやたんなど症状の悪化、意識がぼんやりしているなどが見られたら早めに再受診をしましょう。
流行期の前には、
●うがい
●手洗い
●水分補給
など予防に努めましょう。
規則正しい生活をして十分な睡眠をとること、部屋の湿度を保つことなども予防として大切です。
インフルエンザの予防接種と薬
任意で生後6か月から予防接種を受けられます。接種してもかかることはありますが、重症化を防ぐ効果はあるとされています。流行期の前の秋ごろに受けておきましょう。
インフルエンザの治療薬は、ウイルスの増殖を抑える薬であるため、発症してから48時間以内の早期に使用することで、発熱期間が短くなるなどの効果が期待されます。
「ゾフルーザ」という新しいインフルエンザ治療薬にも注目が集まっています。
これまでのインフルエンザ治療薬
リレンザ(計10回/吸入)
タミフル(計10回/経口)
イナビル(1回/吸入)
に比べ、1回の経口投与で完了するため、薬を飲む負担が減りますね。
ただ、2018/2019シーズンは錠剤しか使用できないので、乳幼児は服用しにくいようです。
また、耐性ウイルスができやすいなどの問題も指摘されていて、ゾフルーザの使用について、日本小児科学会は「十分なデータを持たず、現時点では検討中である」としています。
(※予防接種や服薬の際は、かかりつけのお医者さんに相談されることをおすすめします。)
保育園・幼稚園の登園の目安は?
インフルエンザは、法律・法令で「学校において予防すべき感染症」として出席停止期間などの対応が定められています。
インフルエンザの出席停止期間の基準は、
発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで
とされています。
※症状が現れた翌日を第1日目とします。たとえば「解熱した後2日を経過するまで」の場合、解熱した日が月曜日なら、火・水曜日の2日間を休み、木曜日から登園許可になります。
※インフルエンザにおいて、「発症」とは「発熱」の症状が現れたことをさします。
参考:日本小児科学会「2018/2019シーズンのインフルエンザ治療方針」
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/2018_2019_influenza_all.pdf
『0-5歳児 病気とケガの救急&予防カンペキマニュアル』(学研プラス)
https://hon.gakken.jp/book/2380071500?_ga=2.159659133.1511450574.1650343805-751596349.1648516586
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