子どもが大きくなってくると、いろいろなものを欲しがるようになります。その中で、保護者が購入時期やそもそも購入すべきかどうか迷うのが、ゲーム機ではないでしょうか。
ゲームは、子どもが夢中になる要素を多く含んでおり、良い点と悪い点があることは広く知られています。子どもにゲーム機を買うタイミングとして、どの時期が適しているのでしょうか。さまざまな意見を踏まえながら考えてみましょう。
文/マムズラボ
ゲームやゲーム機による良い影響とは
ゲームやゲーム機は、さまざまな面で良い影響も悪い影響もあります。ゲーム機を買う時期を検討する前に、メリットとデメリットを理解しておきましょう。
適切な時間の範囲でゲームをした際に発生する良い影響として考えられるのは、次のようなものがあります。
自己管理能力が育まれる
ゲーム依存を心配する保護者も多いと思いますが、デジタル社会においては、子どもをゲームから強制的に引き離すのではなく、上手に取り入れる方法をトレーニングすることが大切です。ゲームに対するルールを子どもが自ら考え、決めたルールを守ることで、自己管理能力が高まるのではないでしょうか。
想像力や注意力、集中力、瞬発力などが高まる
ストーリー設定のあるゲームは、子どもが自ら創造することで、ゲームを進められます。
敵との戦いによりアイテムを手に入れたり、どの敵と戦うと高スコアが見込めるかを考えたりと、ゴールを見定めたうえで、自分で考え、問題を解決する力が身につきます。
また、アクション性やシミュレーション性、対戦機能のあるゲームなどでは、制限時間内の素早い対応が求められることがあり、注意力・集中力・瞬発力などを育むことができます。
脳の活性化や発達促進が期待できる
ゲーム操作に適した速度やタイミングを見計らい、指先を使ってボタン操作をすることで、脳の活性化が期待できます。また、ゲームの内容次第では子どもの発達に良い影響を与える可能性もあります。
ゲームやゲーム機による悪い影響とは
ゲームが子どもの発達に与える負の影響は、ほとんど観察されないと言われています(※3)。ただし適切な時間の範囲内ではなく、長時間にわたりゲームをした際に発生する影響には、以下のようなものがあります。
問題行動や、学校への適応に影響が発生する恐れ
もともと予想されていた程度よりもデメリットとしての影響度は小さいものの、小学校1~3年生の子どもたちに対しては、ゲームをする時間が長いことで家庭内外の問題行動が発生する可能性や、学校への適応度合いに対し、好ましくない方向で影響を与えることがあるとされています。
ゲーム障害(症)になる可能性
ゲームに依存し過ぎることで 、心と体のほか、社会活動や気持ちの面などにさまざな不調が生じる恐れがあります。
学校に遅刻したり、学校を休んだり、睡眠時間を削ったりしてまでゲームをやめられないレベルに達すると、ゲーム障害(症)だとみなされる可能性があります。ゲーム障害(症)は、世界保健機関で作成された国際疾病分類の11番目の改訂版「ICD-11」にも病態として診断基準が収載され、治療が必要になる場合もあります。
●ゲーム障害(症)の診断基準の主な点
- ゲームに関して自制ができない
- ほかの生活上の興味や日常的な活動よりもゲームの優先度が高い
- ゲームによって悪い結果が生じているにもかかわらず、ゲームを継続し、またはゲーム使用がエスカレートする など
視力の低下を引き起こす可能性
公益社団法人 日本眼科医会(※1,※2)では、タブレットなどのデジタル端末など目と近い距離のもの(30センチ以内)を見る時間が長くなった子どもたちの視力が低下傾向にあり、目の健康が損なわれている恐れがあると述べています。
また目の片方の視線がはずれてしまうことを「斜視(しゃし)」といいますが、近年では、小型のスマートフォンや携帯ゲーム機なども含むデジタル端末を長時間使うことで発症する「急性内斜視」の子どもが増えたそうです。デジタル端末の過剰使用が、斜視の発症や増悪をきたす可能性があるとと言われています。
ゲーム機を買うのはいつごろがいい?
ゲーム機を買うタイミングは、どの家庭でも迷う課題かと思います。家庭ごとの方針やゲーム機の種類によってもベストな時期が分かれるところですが、筆者の周囲のママやパパの中では下記のケースが見られました。
また、高額なゲーム機の場合は、遊べるゲームの難易度も高くなる傾向があり、子どもの年齢が高くなってから購入するなどの声もありました。
・子ども本人が欲しがったタイミング
・お友だちが持ち始めたタイミング
・自制できるようになったタイミング(小学校3年生から4年生くらい)
・小学校高学年になったタイミング
ゲームをするときに気をつけたいことは?
ゲーム機を上手に活用し、ゲーム依存を防ぐには、家族間でルールを決めておくことが大切です。
遊ぶ時間を決める
多くの家庭で取り入れているのが、使用時間に制限を設けるルールです。1日の上限時間を決めると、使い過ぎを防げるようになります。端末にタイマー機能がついていれば、活用すると便利です。
ゲームとの向き合い方を教える
ゲームの内容について、ゲーム機の正しい使い方はもちろん、大人向けのゲームは避けるようにしたり、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)と連動する必要のあるゲームは避けるなど、ゲームとの付き合い方を教えていくのも、保護者をはじめとする大人の重要な役割です。
大人の目が届く場所で遊ばせる
子どものみでゲームをするときも、必ず大人の目が届く場所で遊ばせるようにしましょう。なお、ゲームのし過ぎは体力の低下も懸念されます。体の発育を促す目的で、外遊びの時間も確保するようにしましょう。
生活習慣を崩さずに、ルールの範囲でゲームと付き合おう
子どもの発達に悪影響を与えるのは、ゲーム機やゲームよりも、日常の生活習慣であることが多いそうです。ゲーム機を買ったり、ゲームを始めたりするときは、まず大人が子どもの日常生活をしっかりと見守る必要があることを理解し、子どもとも話し合ったうえで判断するようにしましょう。
参考
(※1)公益社団法人 日本眼科医会「子どもの目・啓発コンテンツについて」
https://www.gankaikai.or.jp/info/detail/post_132.html
(※2)公益社団法人 日本眼科医会「第20回 日本眼科記者懇談会「デジタル時代の子どもの眼」デジタル端末使用の影響 急性後天共同性内斜視とは」
https://www.gankaikai.or.jp/press/detail2/__icsFiles/afieldfile/2022/01/25/20220125_3.pdf
(※3)独立行政法人経済産業研究所「テレビやゲームは子どもの発達に有害なのか―21世紀出生児縦断調査のデータを用いた検証―」
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/13e046.html
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