【料理研究家&防災士の島本美由紀さん考案】災害時に役立つ! アイラップを使った「湯せん調理」レシピ

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【料理研究家&防災士の島本美由紀さん考案】災害時に役立つ! アイラップを使った「湯せん調理」レシピ

みなさんは大規模災害に備えて何か準備をされていますか? 

2023年に内閣府が実施した「防災に関する世論調査」によると、食料・飲料水、日用品、医薬品などを準備している、と答えた人は半数にも満たないそうです。

日本は災害大国。なかなか自分事としては捉えられませんが、大地震、集中豪雨、台風など、 全国、いつどこで大規模災害が起きてもおかしくない状況です。

日常時でも、食べることは健康にとってとても重要ですが、大規模災害が発生したときはなおのこと。できるだけいつものように、おいしくいただくことは、1番といってもいいほど大切なことです。

限られた食材で、どうやったらおいしく作ることができるのかと、料理研究家であり、防災士でもある島本美由紀さんが試行錯誤を重ねた結果、「湯せん調理」は日常時だけでなく、災害時においてもとても便利な調理法なのだと実感するようになったそうです。

そこで、今回は島本美由紀さんの著書『アイラップで簡単レシピ お役立ち防災編』(Gakken)から、日常時でも、災害時でも、いつでも活躍するレシピを一部抜粋してご紹介します。

目次

アイラップとは?

キッチンで愛されてほぼ半世紀! レトロなパッケージと「袋のラップ」というキャッチフレーズでおなじみの食品用ポリ袋。

マチがある、防湿性や耐熱性があるなど、一般的なポリ袋にはない、うれしい特長がいろいろあります。

POINT1 使いやすいサイズでマチがついています

一般的なポリ袋とタテ、ヨコサイズはほぼ変わりませんが、ポイントは4㎝のマチ。
大きなものでもラクに入れることができるだけでなく、口を結ぶだけで、かさばらない保存容器になります。

POINT2 レンジ調理や湯せん調理ができます

耐熱性・耐冷性に優れた高密度ポリエチレン製。
耐熱温度は120℃以下なので、「湯せん調理」も 120℃以下の「レンジ調理」にも対応できます。

POINT3 冷凍保存から解凍までできます

耐冷温度は、−30℃。家庭用冷蔵庫の冷凍室温度は−18℃前後なので、冷凍保存OK。
つまり、 冷凍から解凍までおまかせできます。

POINT4 防湿性に優れているので、食品の鮮度をキープできます

アイラップは防湿性にも優れていて、口を結ぶだけで密閉が可能。
水分が逃げず、外からの影響も少なく、食材にとって快適な環境が守られるので、鮮度をキープすることができます。

POINT5 取り出しやすいパッケージです

ワンタッチでササッと1枚ずつ取り出せるのも大きな魅力です。
使いたいときに片手ですぐに取り出せるので、特に調理中はストレスがありません。

POINT6 コスパがよく、毎日手軽に使えます

アイラップの標準的価格は1箱200円前後。60枚入りなので、1枚あたり3.5円ほどで、コスパ抜群! 
たとえ節約中でも、気兼ねなく使えます。

POINT7 衛生的だから安心して使えます

アイラップは日本食品分析センターの検査に合格した、食品衛生法上も安全な商品。
食材を保存する、中で調理する、器代わりにするなど、あらゆるシーンで安心して使うことができます。

POINT8 地球環境にもやさしい設計です

原料のポリエチレンは燃やすと水と二酸化炭素に分解され、有害なガスは発生しません。
つまり、 地球環境の保護に配慮された製品なのです。

「アイラップ」は災害時にも優秀

アイラップが活躍するのは、調理中だけではありません。

例えば、湯せん調理後に袋のまま盛れば、器自体が汚れてしまうことはありません。あるいは、ラップのように器にかぶせて使ってもOK。どちらも使用後に袋だけ捨てれば器を洗う必要がなく、節水になります。

実際に アイラップを活用していた災害現場からは、アイラップのほうがラップより強度があるため、スプーンやお箸で穴が開いてしまうことが少なく、快適だった、との声も多いようです。

また、 アイラップは衛生用の手袋代わりにも使えます。マチがある分、指の動きの自由度が高く、丈夫なので破けにくいのもうれしいところです。

器にそのまま盛る

調理後、器にのせてから口を開け、器に袋をかけて食べます。器がないときは、袋のまま食べても。

手袋代わりにする

食材に触る、残飯を処理する時など、食材の衛生を守りつつ、自身の手の安全も守ることができます。

器にかぶせる

アイラップはマチがあるので、1人分サイズの食器なら余裕で入ります。汁ものの器もOK!

アイラップを使った湯せん調理の基本

「湯せん調理」のメリットは材料を入れて加熱するだけなので簡単で、食材から出た旨みのある水分を蒸気として利用するので食材がふっくら仕上がり、味もよくなじむことです。
上手に調理するための基本を紹介します。

STEP1 食材を準備する

作りたいレシピに合わせ、材料をカットします。災害時は特に、キッチンばさみやピーラー、スライサーで行うと簡単。
また、必要な場合は、材料を水で戻す、下味をつけるなども行っておきましょう。

STEP2 アイラップに食材を入れる

準備した食材と調味料をアイラップに入れます。
例えば、まず肉と片栗粉を入れて袋の中でまぶしてから、野菜を加えてさらに全体を混ぜるなど、工程がいくつかに分かれる場合もあります。

STEP3 アイラップの口を結ぶ

浮かないように袋の中の空気を抜いたら、少し膨らんでもいいように、先をくるくるとねじってから上のほうで口を結びます。
これで中身がこぼれず、湯が入る心配もなし。味も全体に行き渡ります。

CHECK!

お好み焼きやオムレツなど、形を整えたいときは下のほうで結ぶ。

STEP4 鍋に入れて加熱する

鍋に八分目ほど水を入れ、袋が高温の鍋底につかないように必ず耐熱皿を敷き(❶)、湯を沸かして袋を投入 ( ❷ )。 ムラがないように途中で上下を返し(❸)、火を通して取り出します(❹)。

CHECK!

耐熱皿の代わりに、ザルでもOK。鍋肌についてしまう心配がありません。

STEP5 口を開ける

キッチンばさみで袋の結び目の下を切って開け、中身を器に取り出します。
袋はとても熱く、また、開けると蒸気が上がってくるので、くれぐれもやけどには注意してください。
★材料に火が通っていない場合は、 アイラップに材料を戻し、様子を見ながら再加熱してください。

CHECK!

湯せん後に食材を追加する 場合は、中身がこぼれないように器にのせる。

完成!

やけどに十分注意して、アイラップから器に取り出します。

アイラップで作る! 簡単レシピ

家にあるもので、簡単においしいごはんが作れたら、いつだってうれしいものですよね。レシピ本では、災害時に節ガスできる作り方も合わせて紹介しています。

今回は、レシピ本の中から、スグに役立つとっておきのレシピを3品ご紹介します。

よだれ鶏

●材料(2人分)

鶏もも肉・・・・・1枚

A
酒・・・・・大さじ1
塩・・・・・小さじ1/2
こしょう・・・・・少々

B
小ねぎ(みじん切り)・・・・・2本分
砂糖、しょうゆ、酢・・・・・各大さじ1
ごま油・・・・・小さじ1
にんにく(すりおろし)・・・・・少々

★代替食材/鶏もも肉はとんかつ用の豚肉、 切り身魚に代えても。

●作り方

 鶏肉は厚みがあれば切り開き、フォークで皮目に数か所穴を開ける。

 アイラップに1Aを入れてよくもみ、袋の空気を抜いて先をねじり、上のほうで結ぶ。

 耐熱皿を敷いて湯を沸かした鍋に入れ、 湯せんで15分ゆでる。食べやすく切って器に盛り、よく混ぜ合わせたBをかける。

POINT

皮目にフォークで穴を開けると、皮が縮まない。

【Memo】災害時にもお役立ち!

【Memo】災害時にもお役立ち!

災害時は、たれもアイラップの中で混ぜると手も容器も汚れないので、節水になる。

さけのクリーム煮

●材料(2人分)

生ざけ・・・・・2 切れ
小松菜・・・・・2 ~3株
ホールコーン水煮・・・・・50g
バター・・・・・10g

A
牛乳・・・・・100㎖
顆粒コンソメ、片栗粉・・・・・各小さじ 1
塩・・・・・少々

★ 代替食材/野菜は好きなもの、あるものでOK。

●作り方

 小松菜は3~4cm長さに切り、さけはひと口大に切る。

 アイラップにAを入れてよく混ぜ、1とコーン、バターを加えて袋の空気を抜いて先をねじり、上のほうで結ぶ。

 耐熱皿を敷いて湯を沸かした鍋に入れ、湯せんで15分ゆでる。

POINT

あらかじめソースに片栗粉を 混ぜることでダマにならない。

【Memo】災害時にもお役立ち!

【Memo】災害時にもお役立ち!

さけ、小松菜はキッチンばさみで切ればまな板不要で、災害時は節水になる。

ケチャップライス

●材料(2人分)

白米(無洗米)・・・・・1合(180㎖)
水・・・・・220㎖
ウインナーソーセージ・・・・・3本
冷凍ミックスベジタブル・・・・・50g
トマトケチャップ・・・・・・大さじ4

★ 代替食材/ウインナーソーセージはベーコ ンやハム、冷凍ミックスベジタブルはみじん切りにした玉ねぎでもOK。

●作り方

 ソーセージは1㎝幅に切る。

 アイラップに米を入れて水を注ぎ、20分ほど浸水させる。1とミックスベジタブル、 ケチャップを加えて袋の空気を抜いて先をねじり、上のほうで結ぶ。

3 鍋に耐熱皿を敷いて水をはり、2を入れて中火にかける。沸騰したら20分ほどゆで、火を止めて10分ほど蒸らす。

POINT

冷凍ミックスベジタブルは加熱中に解凍するので、そのまま加えてOK。

【Memo】オムレツをのせればオムライスに!

【Memo】オムレツをのせればオムライスに!

アイラップに卵2個、牛乳大さじ1、 塩、こしょう各少々を入れ、湯せんで10分ゆでたオムレツをのせ、好みでトマトケチャップをかける。

災害時、アイラップはこんなことにも使えます

耐熱性・耐冷性・防湿性に優れているアイラップは、災害時もあらゆるシーンで活躍。

紹介する使い方のほか、避難所での靴入れや簡易バッグとしても使え、中が見えるのもいいところ。

また、ライトにかぶせてランタンにするなど、ユーザー発のアイデアも豊富です。

氷嚢にする

氷を入れれば簡易氷嚢に。発熱時はもちろん、ケガをしたときのアイシング、保冷バッグに入れれば保冷剤にも使えます。

濡れたものを入れる

防湿性があるので、濡れたものをキープすることが可能。また、汚れたものを入れるのにも適しています。口を結んでおけば、安心。

防水袋になる

スマホ、災害メモなど、濡らしたくないものを入れるのにも便利。口をしっかり結んでおきましょう。

ゴミ袋にする

マチがあってたくさん入るので、いらないものをまとめておく袋にも使えます。 また、ペットの糞入れなどにも活用可。

この記事の監修・執筆者

料理研究家・ラク家事アドバイザー・防災士。 島本美由紀(しまもと・みゆき)

旅先で得たさまざまな感覚を料理や家事のアイデアに活かし、身近な食材で誰もが手軽においしく作れるレシピを考案。冷蔵庫収納や食品保存、食品ロス削減アドバイザーとしても活動し、NHK「あさイチ」や日本テレビ「ヒルナンデス!」などに出演。著書は80冊を超える。YouTubeでは家事がラクになるアイデアを紹介している。『アイラップで簡単レシピ お役立ち防災編』(Gakken)が発売中。

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