【国際宇宙ステーション(ISS)】の日常生活ってどんなもの?−宇宙開発を探ろう
2022年秋に、日本の若田光一宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)に向かい、約半年間滞在する予定です。
宇宙飛行士が船外活動や実験などをする様子はテレビなどでよく見かけると思いますが、宇宙飛行士の日常生活はあまり知られていないようです。
宇宙飛行士は普段、どのような生活をしているのでしょうか。「将来の夢は宇宙飛行士になること」というお子さんは、特に興味深く思うのではないでしょうか。
こそだてまっぷ 編集部/文
宇宙飛行士の1日のスケジュール
仕事時間は約8時間
宇宙飛行士は1日に何時間働いていると思いますか。
宇宙飛行士といえども労働者ですから、ISS滞在中でも基本的には1日に仕事をする時間は約8時間で、地上勤務とあまり変わりません。月曜日から金曜日までの平日が勤務日で、基本的に土曜日と日曜日は休養日です。
ISSでは平日の朝7時くらいに各国の管制センターと朝のデイリー・カンファレンスがあり、その日の予定を打ち合わせます。夜7時くらいに夜のデイリー・カンファレンスで、1日の仕事内容の報告や翌日の予定の質問などをおこない、ここまでが勤務時間です。
この間には昼休みと2時間ほどの体力トレーニングの時間があります。
ちなみにISSでの時刻は、イギリスのグリニッジ天文台を通る子午線を基準とする「世界標準時」が使われています。
自由時間にストレス解消!
仕事以外の時間は、どのように過ごすのでしょう。
1日の仕事が終わると、クルー(搭乗員)たちがいっしょに夕食をとります。仕事のグチをこぼすなど、さまざまな話をしてリラックスするそうです。ただし、ISSではアルコール類をとることはできません。
夕食後はそれぞれ自由に過ごします。ISS滞在は数か月から半年と長く、毎日ほぼ同じ人たちと過ごすため、地上よりもストレスがたまりやすい環境です。宇宙飛行士は、ストレス解消のためにも自由時間を大切にしています。
宇宙飛行士は、自分だけの持ち物を持っていくことができます。好きな本を読んだり、お気に入りの音楽を聞いたり、映画を見たり、ゆったりした時間を過ごせます。ほかにも、ISSから見える地球や星をながめたり、写真に撮ったり、家族や友人と電話で話したり、インターネットでニュースなどを見たりする宇宙飛行士もいます。
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ISSでの衣食住
水はとても貴重
ISSで必要な空気、水、食料は、すべて地上から運ばれています。空気は圧縮し、食料はフリーズドライなどで軽くできますが、水は圧縮することも軽くすることもできません。
輸送コストを考えると、水はたいへん貴重であるため、大切に使うことが求められます。地上での日常生活では、入浴、洗顔、歯磨き、洗濯、トイレなどに水を多く使いますが、ISSではそれらのどれも最小限の水ですまさなければなりません。
ISSにはお風呂もシャワーも、洗面台もありません。体のよごれをとるには、ボディシャンプーをふくませたぬれタオルでふきます。
髪を洗うときは、水なしで使えるシャンプーを髪につけ、タオルでふき取ります。手や顔は清拭ワイプや液体石けんをふくませたタオルでふきます。歯磨きは、すすぎが簡単なものや、そのまま飲んでしまえるものが開発されています。
洗濯もできないので、船内服は汗を吸いやすく、抗菌消臭性の高いものが取り入れられています。
体を固定して寝る
ISS内は無重力状態なので、あらゆるものが浮いてしまいます。宇宙飛行士は浮いたまま寝ることもできますが、寝ている間にどこかに動いていってしまわないように、寝袋を使って体を固定して寝ています。
また、ISS内では常に空調などの機械音がしているため、それらの音が気になる人は耳栓をして寝ています。
食事は毎日のお楽しみ!
昔の宇宙食は、チューブ入りやゼリー状の食べ物で、味わうどころではなく、宇宙飛行士には評判がよくありませんでした。
しかし、現在の宇宙食は300種類以上もあって味もよく、宇宙飛行士の毎日の楽しみのひとつとなっています。また、宇宙飛行士の栄養バランスを保ち、気分をリフレッシュさせる役割も担っています。
多くの宇宙食は常温での保存性が高く、衛生的で、液体が飛び散らないように容器なども工夫されています。水やお湯でもどして食べるもの、オーブンで加熱して食べるもののほか、ようかん、のり、果物など、そのまま食べられるものもあります。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、食品メーカーなどが提案する食品が宇宙日本食認証基準を満たしている場合に、宇宙日本食として認証します。
各国で開発された宇宙食があり、クルーたちはそれらを持ち寄って食事をとっているようです。
地上とはちがうトイレ
ISSのトイレは、洋式トイレと同じような作りですが、地上のトイレとはちがいがあります。
使うときは、体が浮かないように固定できるようになっています。また、排泄物は掃除機のような機械で空気とともに吸い取ります。そうしないと排泄物が浮いたままになるからです。
ドアではなくカーテンで仕切られているだけですが、ISS内は空調やトイレのモーターの音などがあるため、排泄音が聞こえることはないそうです。
毎日2時間ほどのトレーニングを欠かさない
ISSでは、筋肉や骨がおとろえやすい?!
ISSに滞在する宇宙飛行士は毎日トレーニングをしています。それには、とても大切な意味があります。
地上では私たちの体に重力が働いており、骨や筋肉で体を支えています。しかし、ISSでは重力をほとんど感じないため、何もしないと骨や筋肉が弱くなってしまいます。地上に戻ったときに体が支えられなくなることもあるので、毎日2時間ほどのトレーニングをしているのです。
さまざまなトレーニング用器具
トレーニングには、ウェイトトレーニングができる抵抗運動器具や、トレッドミルやエルゴメーターなどの有酸素運動器具を使っています。
抵抗運動器具は、真空シリンダーで負荷をかけることで、地上でのウェイトトレーニングとほぼ同じ運動ができます。
トレッドミルはランニングをする器具で、ISSでは体を太いゴムバンドでおさえつけて走ります。
エルゴメーターは、車輪のない自転車のような器具で、ペダルをこぐ強さを調節して運動量を調節できます。
宇宙ならではの生活の様子もありますが、地上とあまり変わらないこともありますね。
ちがうところ、同じところを挙げて、どうしてちがいがあるのかを子どもといっしょに話し合ってみるとよいですね。
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