【専門家監修】自転車は何歳から? 乗り方の指導のコツは? これで疑問解消!
ひと昔前は、体よりも大きめのサイズの自転車で、大人に後輪を支えられながら練習している子どもの姿をよく見ました。今は子ども用の自転車の種類も増え、年齢の小さいお子さんが自転車に乗っている姿を多く見かけます。早くから乗れたほうがいいのか? でもどうやって教えたらいいかわからない、など、疑問や悩みがありますね。そこで、自転車教室を行っている東京サイクリング協会の野澤さんに、自転車に乗るときの注意点や指導のコツを教えていただきました。
イラスト:浅羽 ピピ
自転車の乗り方指導の前に知っておくべきこととは?
子どもに自転車の乗り方を教える前に、年齢や服装、自転車を選ぶポイントなど、パパやママが知っておくべきことがあります。確認していきましょう。
自転車の乗り方を教える前にチェック!
自転車の乗り方を教える前に、次の項目をクリアしているかチェックしましょう。
【最初にチェック!】
□ 子どもの身長が90センチメートル以上ある
□ 子どもが交通ルールを理解している
□ 子どもがブレーキを操作できる
□ 子ども自身が自転車に乗りたがっている
□ 子どもの体に合った自転車がある
自転車を街中で乗るには、自転車に乗れればよいだけではなく、
・赤信号は止まれ
・横断歩道以外のところはわたらない
・わたるときは、右左右と確認する(飛び出さない)
・自転車は左側通行(自転車も自動車の仲間)
などの交通ルールがしっかりわかっていなければなりません。
また、自転車のブレーキがきちんと握れて、操作できることもポイントの1つです。
ご自分のお子さんと年齢の近いお子さんが自転車に乗り始めると、焦る気持ちもわかります。でも、お子さんが自転車に乗りたいと思っているかという気持ちも大切です。やる気があるお子さんであれば、数時間で乗れることもあるので、焦らずその時を待ってあげましょう。
読者の声――教えて!東京サイクリング協会インストラクターさん
Q.ペダルのついていない、幼児向けのキックバイクやランニングバイクって、危なくないでしょうか?
A.キックバイクやランニングバイクは、2~3歳くらいの小さいお子さんが乗っているのを見かけます。遊具の延長という意味合いで乗っているのでしょうが、それ自体は悪いことではありません。できればブレーキのついた、操作可能なものにしましょう。そして、公園などの安全な場所で乗るようにし、公道では乗らないようにしましょう。そのときは、必ずパパやママが見守ってください。
自転車に乗るときのスタイルをチェック!
さきほどのチェックをクリアしたら、さっそく自転車の乗り方を練習していきます。でもその前に、次の項目で自転車の練習をするのにふさわしい格好をしているか、チェックしてみましょう。
【最初にチェック!】
□ ヘルメットを着用している
□ 動きやすい服装をしている
□ 運動靴を履いている
□ 滑り止めのついた手袋(軍手)をはめている
□ 自転車にまたがったときに地面に足が着く
服装は長袖・長ズボンを着たほうがベスト。転んだときの擦り傷などのケガを最小限に抑えられます。ただし、裾の長いものには注意が必要で、スカートはチェーンリングやチェーンなどに巻き込まれるかもしれないので避けましょう。
運動靴は、スリッポンやサンダルのような、脱げやすいものは避けます。
なお、滑り止めのついた軍手や手袋をはめてほしいのは、ハンドルを握ったときに滑らないようにすることと、転んで地面に手を着いたときのケガを防ぐためです。
自転車の選び方
身長が90センチメートルになると、14インチ※の自転車に乗れるようになります。
自転車にまたいだときに、地面に余裕をもって両足が着くのがベストサイズ。高さが合わないときはサドルで調整してください。
また、お子さんがブレーキレバーを握って、ブレーキをかけられるかも確認しましょう。子どもの手は小さいので、ギュッと握ったときにハンドルバーとブレーキレバーのすき間に指が1本入るくらいまで握れるのが望ましいです。
交通ルールをしっかり理解した5~6歳くらいが適齢期ですが、これを機に、交通ルールを学ぶよい機会にしましょう。
※14インチ=インチはタイヤのサイズ。子どもの身長が90センチメートルになるころが、自転車に乗れる年齢でもあり、14インチサイズがちょうどよいとされる。補助輪が付いていて、スタンドが付いていないものが多い。
注意! 公園や広場で練習を
練習は、自転車を禁止していない公園や広場で行いましょう。小さいお子さんが遊ぶような場所からは離れ、野球やサッカーなど、ボールが飛んでくる場所は避けます。
練習してみよう~乗り方の指導のコツ~
いよいよ自転車の乗り方をお子さんに指導していきます。
14インチの自転車は、補助輪ありのものが多くありますが、補助輪なしのものをお勧めします。付いているものは、思い切って補助輪を外しましょう。
いきなり補助輪なし? と思うかもしれませんが、補助輪なしのほうがより早くバランス感覚をつかむことができ、乗れるようになるための近道のコツでもあります。
また、最初は左右のペダルも外して練習をします。補助輪やペダルは近くの自転車店で外してもらいましょう。
ステップ1(基礎)押して歩いて、ブレーキをかける
両ペダルが外してある自転車の左側に立ち、ハンドルを両手でにぎって、「直進」「S字」「8の字」などに自転車を押して歩きます。無理であれば、大人が線を引いて、その線に沿って歩くようにします。止まるときにブレーキをかけるようします。
【ポイント】
コツ1 とにかく自転車に慣れる!! ブレーキ操作も練習を。
読者の声――教えて!東京サイクリング協会インストラクターさん
Q.左右のブレーキ、今までよく知らないで使っていました。正しい使い方がありますか?
A.実は、ブレーキをかける正しい順序があります。間違えると、転倒の危険があるので、練習の段階から慣らしておきましょう。
①左手でブレーキをかける(後輪にブレーキがかかる)
②次に右手のブレーキをかける(前輪にブレーキがかかる)
ステップ2(基礎)サドルに座り、地面を蹴って進む
サドルに座り、歩くように右足・左足と地面を蹴って前に進みます。スピードが少し出たら、両足を地面から離し、なるべく足を着かないようにバランスをとります。
【ポイント】
コツ2 バランスをとることが大事。なるべく足を地面に着けない!!
止まるときは、足で地面を擦るのではなく、ブレーキをかけるようにします。着けるときは、左足から着くようにし、降りるときも、左側へ降りるように習慣づけます。パパやママは、その時々で声かけをしましょう。
ステップ3(基礎)片足ずつペダルを付けて、こぐことに慣れる
右ペダルを取り付けます。左足は地面につけ、右足をペダルに乗せてひとこぎします。そのとき、左足は地面から離し、宙に浮かせます。
自転車が止まるまでバランスを保ちながら、なるべく前に進みます。
慣れたら、左足もペダルを付けます。右足をペダルに乗せた状態で、左足をペダルに乗せる練習をします。
両足がうまくペダルに乗ったら、両足でこぎます。
【ポイント】
コツ3 足元を見ないで、前を見てこぐ!
止まるときは、ブレーキをかけて、自転車が止まる瞬間に左足を地面に付けます。ブレーキをかけるときは、左手→右手の順番を忘れずに。
ステップ1~3までが基礎練習です。次はもっと上手に乗れるようにするための応用編です。自転車をこぐときにフラフラしていたら危ないですね。よりしっかりと自転車をこぐには、練習あるのみです。ここではその練習法をお教えします。
ステップ4(応用)スタンドを立てて、より安定してこぐ
スタンドを立てた状態でサドルに座り、両足が地面に着く高さにサドルを調節します。そして、ペダルに両足を乗せます。そのとき、自転車と足が平行になるようにし、足の親指の付け根がペダルの中心に乗っているのを確認してから、こぐ練習をしましょう。
ステップ5(応用)最終段階。ハンドル操作のレベルアップ
街中でスムーズに乗れるようになるには、ハンドル操作がうまくできることが大切です。
スラロームの練習(曲がる練習)
地面にくねくね蛇行したラインを引き、その上を自転車で走ってみましょう。カーブして曲がるときに、視線は曲がる方向に向けます。
公園であれば、地面に大きく「8の字」をかいて、その上をなぞるように走ってみます。右回り・左回りで走りながら、途中でブレーキをかければ、同時に3つのことが練習できます。
障害物をよける練習
カーブの部分に空き缶やペットボトルを置いて目印にし、そこにタイヤが当たらないようにハンドルをうまく操作できるようにします。ゲーム感覚で楽しく行いましょう
自転車の乗り方教室を活用しましょう
各都道府県には、サイクリング協会があり、自転車乗り方教室を定期的に開催している地域も少なくありません。
お住まいの地域の自転車乗り方教室を調べて、参加してみるといいでしょう。自転車がすぐに用意できなくても、貸し出してくれるところが多いので安心です。また、ヘルメットの貸し出しについても確認してください。
自転車乗り方教室に参加するときは、上記の【乗る前にチェック!】を確認して、けがのないようにしましょう。また、コロナ禍のため、自転車乗り方教室が休止中のところもあります。
この記事の監修・執筆者
サイクリングイベントやサイクリングをより楽しむための情報発信、自転車乗り方教室、講習会などを行っている。また、自転車に乗れない大人のための自転車乗り方教室を定期的に実施し、年間3,000人が自転車に乗れるようになっている。*2020年はコロナ禍でイベント等は中止。
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