小学生に人気の習い事といえば「水泳」。
『小学生白書』(学研教育総合研究所/2021年調査)でも、小学生がやっている習い事のランキング1位は「水泳」でした。
「水泳の効果」や「教室を選ぶときのポイント」を、東京アスレティッククラブ(TAC)で指導員を務める板橋ゆう子先生にうかがいました。
東京アスレティッククラブ(TAC)は、子どもの運動能力向上を図るとともに、「脳の発達」「心の発達」を促進し、社会性を養うことを大事にしているスポーツクラブです。
板橋先生は幼児水泳、ジュニア水泳、アクアフィットネス、フィットネスなどを担当し、さまざまな年齢・目的をもつ会員を教えています。
お話/板橋ゆう子先生[東京アスレティッククラブ(TAC)指導員] 文/こそだてまっぷ編集部
「泳げるようになる」だけじゃない、水泳の効果とは?
運動が苦手なお子さんこそ「水泳」がオススメ
スイミングは「できるだけ小さいころから始めるのがよい」「小学生になってから始めるのは遅いのでは?」と考える保護者もいるかもしれません。
「水泳を習うメリットは、まずは泳力が上がることです。正しい姿勢で、美しいフォームで速く泳ぐのは、水泳の大切な要素です。
でも、水泳のメリットはそれだけではありません。水泳には、お子さんの健康づくりに必要な要素がたくさん含まれています。
まず、水に入ると浮力がはたらくので、自分の体重の負荷が軽減されます。陸上の運動に苦手意識があるお子さんも、水慣れからスタートして、少しずつ着実に泳力を上げることができます。
浮力が作用するとリラクゼーション効果があるので、精神の安定にもつながります。
そして、自分の体温よりも低い30度前後の水中で運動することで、体温調節機能が高まり、皮膚感覚も鍛えられます。『水泳を習ってから、風邪をひきにくくなりました』というおうちのかたの声がたくさん届いています。
また、肺に十分な空気を取り入れるには、しっかり息を吸ったりはいたりする必要があるので、水泳を続けることで呼吸器系が強化されます」
何歳から始めても大丈夫!
「水泳にはさまざまな効果があるので、何歳からスタートしても、体にも心にもいいことがたくさんあり、生涯スポーツともいわれています。
たとえば怪我をしたり、年齢を重ねて膝や腰に痛みが出たりしたとき、病院では水中で歩く・体を動かすなどのリハビリを勧められることが多いです。幼少期から水泳に親しんだ経験があるかたは、プールでのリハビリにも抵抗なくスムーズに取り組んでいるように思います。
『泳げないから』、『習い始めが遅かったから』など、不安に感じることもあるかもしれませんが、ぜひ最初の一歩を踏み出してくださいね」
教室選びは、安全面と雰囲気をよく見て
安全面の配慮が行き届いているか
それでは、教室を選ぶとき、どんなところに気をつければよいのでしょうか。
「施設を見学して、プールやプールサイド、通路、水質などにおける安全が配慮されているかを聞き、実際に見て確かめましょう。清潔なことも大切です」
教室の雰囲気をチェック
「指導員がお子さんを指導するときの様子もチェックしましょう。特に年齢層が低いクラスは、指導員が怖い顔をしていたら、お子さんも楽しくありません。
水泳に限りませんが、習い事は『トライ&エラー』の繰り返しです。
水泳は個人競技で、それぞれが目標とする級に認定されるように努力しますが、目標に届かないときもあります。見学や体験教室を通じて、いっしょに習っているお子さんが、みんなで励ましあいながら、切磋琢磨してがんばれる雰囲気の教室かどうか、見ていただきたいと思います。
私も、一人ひとりのお子さんの『トライ&エラー』をサポートできる指導員でありたいと思っています。
同じ幼稚園・保育園、小学校で教室に通っているお子さんがいれば、いつもの雰囲気を聞いてみるのもよいでしょう」
家族でトライ! 楽しみながら水に親しみましょう
体験教室よりも前に、見学するのがオススメ
「水泳を習ってほしいけれど、子どもは気が進まないみたい」という場合は、どう働きかければよいのでしょうか。
「水泳に苦手意識があるお子さんを無理に体験教室に連れていっても、逆効果になってしまうかもしれません。
まずは、教室の様子をいっしょに見学してみてはいかがでしょうか。
プールがきれいだったり、習っているお子さんたちが楽しそうだったりしたら、興味をもってくれるかもしれません。
初心者向けのクラスを見学して、『すぐに泳ぐのではなくて、足をバシャバシャするところから始めるんだね』『先生がやさしく教えてくれているね』など、お子さんが前向きになるような声がけをするとよいですね」
プールや海、川に遊びに行く機会をつくりましょう
「家族のイベントに、水に親しむ機会を増やしてみてはいかがでしょうか。近所の公営プールもよいですし、海や川に遊びに行くのもよいでしょう。
いきなり泳ぎの練習をするのではなく、浮き輪などを使って安全に、水に親しむ気持ちで楽しく過ごせば、お子さんもきっと少しずつ水泳に興味をもってくれると思います。
また、水泳は人命救助に役立つスポーツです。
泳げることは、自分の命を守り、周りの命を助けることにもつながります。
水のレジャーを楽しむ機会が増える夏を前に、そんなこともお子さんと話してほしいです」
習い事で人気の「水泳」は、泳げるようになるだけではなく、健康面や心の成長など、様々な効果にも期待できるようです。
興味がわいたら、水泳教室の見学・体験教室への参加を考えてみてはいかがでしょうか。
この記事の監修・執筆者
いたばし ゆうこ/東京アスレティッククラブ(TAC)指導員。
幼児水泳、ジュニア水泳、アクアフィットネス、フィットネスを担当。公認スポーツ施設管理士、Basic予防医療診断士、実践健康経営指導士、プール衛生管理者。
「水に慣れ、水中運動や水泳を楽しみながら上達できるように、子どもに寄り添う指導を心がけています」
東京アスレティッククラブ(TAC)
https://www.tac-sports.co.jp/
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