お子さん4人を育て、全員を東大理三に合格させた“佐藤ママ”こと佐藤亮子さん。
どちらかというと未就学児向けのイメージがある読み聞かせですが、佐藤さんはお子さんが小学校の高学年になるまで読み聞かせをしていたといいます。
親子のコミュニケーションツールとして、そして中学受験対策としても有効だという読み聞かせについて、お話を聞きました。
撮影/横田公人
効果的な読み聞かせの「4つのコツ」とは?
読み聞かせのコツは、佐藤さんによると次の4つだといいます。
- 「ウケをねらう(子どもの反応を見ながら読む)」
- 「情景が思い浮かぶように読む」
- 「質問にはその場で答える」
- 「説明しすぎない」
この4点を意識することで、親子のやり取りが増え、言葉の理解が深まるのだとか。その積み重ねが、文章を読み取る力(読解力)の土台づくりにもつながるといいます。
ここからは、佐藤さんに、読み聞かせを始めたきっかけと、4つのコツの具体例を伺います。
読み聞かせを始めたきっかけ

――まずは読み聞かせを始めたきっかけを教えてください。
長男が生まれたばかりのころ、「いつか話せるようになるまでに、きれいな言葉をたくさん頭の中に入れておいてあげたい。」と考えて、3歳までに絵本1万冊、童謡1万曲を目標に、読み聞かせを始めました。
うちは4人きょうだいなのですが、一番下の娘が生まれたときに、長男が小1だったんです。娘に読み聞かせをしていると、長男も次男も三男もと集まってきて、みんな一緒に聞くようになりました。いくつになっても、意外とおもしろがってくれるものなんですよね。
佐藤ママ流 読み聞かせで意識したい4つのコツ
――読み聞かせをする際のコツはありますか。
まずひとつ目は、ウケをねらうことです。
「ここ、こわいぞ」というときはじわーっと声を出したりとか、読み方に抑揚をつけて、いろいろな声色を使ったりとか。そうすると印象に残るし、理解しやすいんです。保護者の方には、子どもたちの反応をよく見ながら読むことを意識していただくとよいと思います。
二つ目のコツは、お話を映像で再生できるように読んであげることです。
子どもが頭の中でお話の情景をイメージできるよう、登場人物ごとに声色を変えて読んでみてください。こうして、頭の中で映像化することに慣れておくと、お子さんが将来「絵のない文章の読解」をするときになっても、お話の内容がイメージしやすくなるんです。私は力が入りすぎて「ママ楽しそう」と言われることもあったくらいです(笑)。
三つ目のコツは、途中で子どもたちから質問されたら、きちんと答えてあげること。
子どもたちって、読み聞かせの途中で「それどういう意味?」なんて聞いてくることがあります。経験も少ないので、意味がとれなかったりするんですね。それには「〇〇ってことだよ」と教えてあげつつ、親子でコミュニケーションを取りながら読み聞かせをしていました。
最後のコツは、説明しすぎないということでしょうか。
ついつい、たっぷり解説したり、うんちくを言いたくなったりするときもありますが、ぐっと我慢します。説明はあくまで、お子さんの理解を助けるため。説明しすぎると子どもがかえって混乱してしまうこともあるので、ほどほどにしてくださいね。
「国語力の高い子」の影には、「聞き上手な親」あり!?

――佐藤さん流の読み聞かせ、とても楽しそうです。読み聞かせには、どんな効果が期待できるのでしょうか。
まずお互いにコミュニケーションをとりながら読み聞かせをすることで、お話の内容を深く理解できます。子どもが自分で読んでいると、わかったような気になって、本当は理解できていない、なんてことがあります。でも読み聞かせではそうなることはありません。読み飛ばすこともありませんしね。
また、きちんとした言葉が身につくと思います。生活の中で親から話しかけて伝えられる言葉には、限りがあるんです。「お風呂に入りなさい」「もう寝る?」のような日常的な会話だけでは、昔からあるようなきれいな言葉や言い回しは、なかなか身につきませんよね。童話や童謡からでしか身につかない言葉を、ぜひ読み聞かせで身につけてほしいですね。
それに、読み聞かせをすることで、お話の世界を疑似体験できることも重要だと思っています。子どもは疑似体験できた分だけ成長して、精神年齢を上げることができます。これは中学受験にも有効なんです。中学受験の問題で出てくるような小説って、その年齢の子が読むには少し難しい内容が多いんです。精神的な成熟度が高くないと理解できない内容だったり、設問だったりがけっこうあるんですよ。そのため私は、子どもたちが5、6年生になると、塾の国語のテキストを読み聞かせていました。
また中学受験で考えると、記述問題にも効果があると思います。5、6年生だと、国語の記述ができないというお悩みをけっこう聞くんですね。漢字なんかはできるけど、記述ができないと。小さなころから読み聞かせをしていると、基本的な家族のコミュニケーションの量が多くなって、よく話す子になるんですよ。よく話す子は、自分の意見を頭で組み立てて、相手に伝わるようにしゃべることができるようになる。そうすれば、それがそのまま記述の回答に役立つんです。
――「よく話す子」に育つ環境づくりが大切なんですね。何か心がけていたことはありますか?
子どもがしょうもないことを聞いてきても、第一声は「おもしろいね」と言うと決めていました。そうすると、子どもがおもしろくなって、いろいろなことを話してくれるんです。
忙しいときに子どもから話しかけられて、 “しょうもないな”という顔をしてしまったり、言ってしまったりしたら、子どもは二度と聞いてこないんです。子どもって敏感ですから。せっかくよく話す子にしたいのに、これでは親御さんとコミュニケーションを取りたいと思えないですよね。大人は忙しいと、第一声でつい、つまらないことを言ってしまいがちです(笑)。だから私は、「この場合は、第一声はこれを言う」と、状況ごとにいくつかセリフを決めていたんです。
佐藤ママ流 親子コミュニケーションのコツは“第一声のセリフ決め”。テスト結果には「??????」

――セリフを決めてしまうというアイデア、とてもおもしろいですね。
模試や通知表が返ってきたときのセリフもありますよ。「いい点数だね」とか、「頑張ったね」とか、つい言いたくなりますよね。頑張ったときはほめたくもなります。でも、頑張れなかったときに頑張ったねとは言えないし、結果を見て、いい言葉を選ぼうとすると、結構ややこしいんです(笑)。だから私は、模試の結果や、通知表が手渡されたときは「おつかれさま」と言うと決めていました。子どもたちが高校を卒業するまでの間、ずっと「おつかれさま」です。
うちは4人きょうだいなので、通知表を一斉に持って帰ってきます。例えば一人の成績がよかったからほめて、もう一人の成績があまりよくなかったから「頑張ろうね」と言ったとしますよね。そうすると、家族がみんな気づくじゃないですか。でも「おつかれさま」なら、みんながいい雰囲気になれるんです。そもそも一学期分の通知表は、頑張ったあかしですからね。
――では、テストの成績や通知表に対して、評価はしなかったということですか?
はい、一切しませんでした。子どもも評価されるのなんか、いやでしょう? 良かったらほめたほうがいいという方もいらっしゃるけれど、それ、子どもは結構プレッシャーを感じているんじゃないかと思うんです。「次も良くなきゃいけないんじゃないか」って。
テストの成績なんて、すでに結果ですから。親がほめようと怒ろうと変わらないんですよ。変わらないものに何かを言ってもどうしようもないんです。それに子どもも、悪かったところは反省しているものです。「おつかれさま」と声をかけて、間違えたところを一緒に見直して終わりです。
――親が安定していると、テストや通知表がどんな結果でも言いやすいですね。
そうなんです。子どもって親の笑顔が大好きなんですよね。だからいいことだけを言いたくなるものなんです。でも親が笑顔になることだけしか言えないような雰囲気になると、息苦しいですよね。
わたしは、「テストが悪かった」とか、「宿題がわからない」とか、そういうネガティブなことも、気軽に言える家にしたかったんですよね。いいことばかりではないですし、そういう雰囲気でないと、前に進むこともできないように思うんですよね。
――それにはコミュニケーションの総量が多いほうがよさそうですね。
はい。そのためにも読み聞かせをして、主人公はああでこうで、とか、小さいころから細かなやりとりをしながら読んでいると、子どもは家でしゃべりやすくなるんですよ。子どもも私もよくしゃべる、うちはしゃべりやすい家なんですよね。
親御さんが細かなコミュニケーションを取らないまま、小学校中学年くらいになって、テストの成績が返ってきたときに、急にコミュニケーションを取り始めることがあるでしょう。点数を見て、「ああだ」「こうだ」と(笑)。今までは細かなコミュニケーションなんかしてこなかったのに、いきなり踏みこんだ話をしても難しいものです。
読み聞かせは、国語の成績を上げるためだけのものではありません。子どもたちとのコミュニケーションを深めたり、信頼関係を築いたりするのにも役立ってくれると思います。
【佐藤ママおすすめ!】読み聞かせにぴったりの読み物『よみとく10分』シリーズ5選

累計刷部数700万部を超え、中学受験や模試でも多数採用されているGakkenの人気シリーズ『よみとく10分』から、佐藤ママおすすめの5冊をピックアップしていただきました。
各書籍の内容やおすすめのポイントは、ページ下やこちらの記事をご覧ください。
10分で読めるこわい話 1年生

こわい話はすごく盛りあがりますよね。ぜひ声色を作って、おどろおどろしく読んでほしいですね。ページをめくるときも、ジワーッとめくったり、逆にパッとめくったり。うちの子たちは、それですごくこわがってくれました(笑)。ぜひこれで「ウケねらい」の読み聞かせに挑戦してほしいです。
はじめて読む がいこくの物語 1年生

日本のお話ばかり読んでいると知識がかたよるので、外国の文化や歴史がわかる本も取り入れてほしいですね。洋服や食べ物の違いがあったり、登場人物の名前が耳慣れないカタカナだったりして、異文化にふれるきっかけになるでしょう。特に食べ物は子どもが興味を持ちやすいです。
10分で読めるわらい話 1年生

子どもたちに辛いことがあったときは、笑える話を読んであげたいですね。昔話に出てくる笑い話って、とんちが利いていたり、大人の偽善を暴くものだったりして、よくできていますよね。有名な作品は、国語の授業で習うこともあるので、教養としても読んでおいてほしいですね。
なぜ? どうして? かがくのぎもん1年生

中学受験では、評論文や論説文も出てきますが、小説ばかり読んでいた子は、拒絶反応を示すこともあります。この本は、論説文に慣れながら、科学的な知識も身につくのでおすすめです。このシリーズが模試に採用されているのを見たこともあるので、慣れるためにも読んでおけるといいですね。
なぜ? どうして? みぢかなぎもん 2年生

こちらも論説文に慣れるのにおすすめです。掲載されている道路標識や信号の種類も、テストで出題されることもあるので、知識として知っておきたい内容も掲載されています。自分で考える力を育てる“探求学習”だって、知識がなかったらできないので、まずは本で知識を得ることは重要です。
この記事の監修・執筆者
大分県生まれ。大学卒業後、英語教師を務める。4人の子どもが全員東大理三に合格したことで、子育て方針が話題に。著書に『頭のいい子に育てる 3歳までに絶対やるべき幼児教育』(東洋経済新報社)『三男一女東大理Ⅲ合格! 佐藤ママの子育てバイブル 学びの黄金ルール 42』(朝日新聞出版)ほか。浜学園アドバイザー。朝日新聞受験アドバイザー。
ブログ
https://ameblo.jp/ryokosato-todai/
佐藤亮子のニッコリ教育サロン
https://satoryoko-salon.jp/
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