学習に集中しやすい子ども部屋をつくろう!【学習環境 後編】

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「学習環境づくり 前編」では、お子さんがリビングやダイニングテーブル(食卓)で勉強している“リビング学習派”のための学習環境づくりについてお伝えしました。後編では、お子さんが子ども部屋で学習しているご家庭のための「子ども部屋の学習環境づくり」について、前編に引き続き、一級建築士のしかまのりこ先生のアドバイスをお届けします。

文/こそだてまっぷ編集部  パースイラスト制作/しかまのりこ

目次

子ども部屋で学習するメリットは?

「子どもには、自分の部屋で落ち着いて学習に集中してほしい」という思いから、個室に学習机とベッドを設置した「子ども部屋」を与えるご家庭も多くあります。子ども部屋で学習をする場合、テレビの音が気にならない、家族の会話の声でお子さんの気が散ることがないなど、とくに「音」に関するメリットがあります。また、リビングルームが学習道具で散らかる心配がないのも保護者にとっては安心です。

カギは「換気」とエアコンの位置

子ども部屋をお子さんにとってよい学習環境にするには

1 換気

2 エアコンと学習机の位置関係

がカギになります。

子ども部屋は、リビングルームに比べて狭いことが多いので、換気にはとくに注意しましょう。エアコンが稼働中でも部屋に設置されている給気口は開けておき、定期的に窓を開けるなどして、空気中の二酸化炭素濃度を下げることが大切です。24時間換気システムが設置されているなら、必ず稼働させておきましょう。

24時間換気システムとは、室内を一日中換気して、常に空気の入れ替えを行うしくみのことです。2003年の建築基準法改正により、すべての建築物で24時間換気システムの設置が義務化されました。近年、住宅の快適性を高めるために高気密化が進み、シックハウス症候群※が問題になっています。24時間換気システムの義務化は、人が健康的で快適な生活を送るための取り組みのひとつですが、お子さんが学習に集中できる環境づくりにも活用できます。

※シックハウス症候群

新築の住居などで起こる、倦怠感・めまい・頭痛・湿疹・のどの痛み・呼吸器疾患などの症状があらわれる体調不良のこと。住宅の高気密化・高断熱化などが進み、化学物質による空気汚染や細菌、カビ、ダニなどが原因と考えられている。

学習空間における換気の必要性については、「前編 低学年のお子さんが集中しやすい環境とは」で説明しているので、そちらもご覧ください。

エアコンの風が机を直撃しないように配置する

エアコンの室内機の設置については、いろいろな制約があり、なかなか好きな場所に取り付けることができません。ですから、エアコンの配置に合わせて、学習机の配置を考えましょう。

 ポイントは、エアコンの吹き出し口から送風される風が机やベッドを直撃しないことです。エアコンからの風が直撃しないように、机の位置や向きを検討しましょう。

《Before》よくある配置例 

エアコンの風は矢印のように流れるので、この配置ではエアコンの風が机やベッドを直撃してしまう。

《After》ケース1 

エアコンの風が机やベッドを直撃しないように移動。机とベッドを中央にし、机の向きはエアコンが背になるようにした。

《After》ケース2

ケース1の机を窓のある壁側に配置した例。この配置でも、エアコンの風は直撃しない。

子ども部屋に遊び道具を置かないと決める

子ども部屋には、ゲームやマンガ、おもちゃなど遊びに関するものがたくさん置いてあるのではないでしょうか。それらが視界に入ると、低学年のお子さんは、なかなか学習に集中できません。お子さんが子ども部屋で学習に集中するためには、思い切って「学習に関するものや衣類以外は、子ども部屋に置かない」と決めてしまうのも手です。

子ども部屋の中は保護者の目が行き届かないこともあり、とくに低学年のうちは、自分で学習の時間をコントロールすることが難しいでしょう。お子さんと話し合って「子ども部屋は、勉強と寝るための場所だよ」ということを納得させ、「遊ぶときはリビングで」というルールをつくってはいかがでしょう。

 そのぶん、リビングがゲームなどで散らかるかもしれませんが、片づける場所を決めて、片づけ方も教えることで解決しましょう。

子ども部屋の配色はブルー系やグリーン系がオススメ

学習に集中できる子ども部屋にするためには、壁(壁紙)、カーテン、収納家具などの色をブルー系やグリーン系にすることをオススメします。ブルー系は集中力が高まる、作業効率が上がるなどの効果があるとされ、グリーン系は目が疲れにくいなどのメリットがあります。お子さんの意見を聞いたうえで整えていきましょう。

アート系の写真やポスター、エアプランツなどの植物を飾ると、勉強の合間に目を休めることができ、脳の活性化も期待できるとされています。お子さんの好みも聞いて、本人がいやがらなければ、飾るのもいいでしょう。

机とイスの高さと調整の仕方は、「前編 低学年のお子さんが集中しやすい環境とは」で説明しています。あわせてご覧ください。

兄弟姉妹で子ども部屋を共有する場合は?

ひとつの子ども部屋をふたり(同性)で使う場合は、動線がぶつからないように空間分け(学習スペース・就寝スペース・収納スペース)をして家具を配置しましょう。

ひとつの子ども部屋を異性のふたりで使う場合は、動線が部屋の上下左右など完全に分かれるように空間分けをします。思春期に入ったら、カーテン、パーテーション、突っ張り棒収納などで仕切り、プライバシーを守ることも考えましょう。

お子さんにとって快適で学習に取り組みやすい環境を整えてあげることは、とても大切なことです。各ご家庭の事情に合わせて、よい学習環境を整えて学習をサポートしてあげましょう。

この記事の監修・執筆者

COLLINO一級建築士事務所 代表 しかまのりこ

COLLINO一級建築士事務所代表。大手ゼネコンに勤務し、マンションやビルなどの設計・建築に従事。結婚退職後、子育てをしながら住宅の設計などに携わる。
家の外側だけなく内側までトータルで考えた部屋づくりを目指す事務所COLLINOを設立。模様替えの普及を目指し、一般社団法人日本模様替え協会による模様替えアドバイザー検定を設立。

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