小学校に入学した当初は勉強を楽しんでいた我が子が、学年が上がるにつれて勉強嫌いに…というのはよくある話です。子どもが遊びのように勉強に夢中になって、親が追い立てなくても自ら机に向かうようになってくれたら…と保護者の方なら誰しも思われるのではないでしょうか。どうしたらお子さんの勉強への姿勢を変えることができるのか、最新の教育学研究の知見を取り入れた学習指導が話題のナガシマ教育研究所代表・永島瑠美さんに伺いました。
取材・文/FUTAKO企画
子どもが勉強嫌いになる4つの理由

私は2015年から自ら経営する学習塾・学童保育で子どもの学習指導にあたってきましたが、これまでたくさんのお母さん・お父さんから勉強に関するお悩みを聞いてきました。
「宿題を自分からしない」「やる気がなく、集中力が続かない」「苦手教科がある」…など、小学校の入学当初は楽しく勉強に取り組んでいた子どもたちが、学年が上がるにつれて学習意欲が下がってしまうのは、なぜなのでしょうか。
それには、次の4つの原因が考えられます。
①ネガティブな感情が増える
子どもは、生まれながらにして新しい知識に触れることが好きなもの。ひらがなや数・計算も、小学校入学当初は楽しんで取り組めている子が多いです。それが、学習内容が増えて高度になり、ちょっとしたつまずきが出始めると、学校やご家庭で「叱られる」「評価される」「管理される」ことでネガティブな感情が生まれます。
テストでミスをすると注意される、成績を見てもっと頑張れと言われ、勉強しなさいと自由を奪われる…親からのネガティブな声かけによって、子どもの「勉強は嫌なもの」という感情はどんどん増幅していってしまうのです。
②親が「管理者」になってしまっている
2つ目の原因としては、「子どもの勉強の管理者が親になってしまっている」ことが挙げられます。
自分の宿題なのに、お母さんやお父さんがガチガチに管理している状態だと、子ども自身は何か手伝いをしている感覚、やらされている感覚に陥ってしまいます。そんな自由がきかない状態が子どもにとって楽しいはずもなく、学習意欲の低下につながってしまうのです。
③親が子どもの発達段階に合わないことを求めている

3つ目は、親が求めていることが、そもそも子どもの発達段階に合っていないということ。その子には難しすぎる問題だったり、課題の量が多すぎたり、我が子に「勉強アスリート」を求めている保護者の方は意外と多いものです。
小学校中学年くらいのお子さんに対して長時間の勉強を期待しすぎている、幻想を持ちすぎている保護者の方が割と多いのですが、10分集中できていたら褒めてよいと思います。
お子さんがあまりにも、保護者の方が決めた勉強時間を守れないことが続くようなら、まず課題設定を見直したほうがよいでしょう。
④ 親が比較をしてしまう
これもよくありがちなのですが、ほかのお子さんとの比較、きょうだいとの比較、テレビやネットで見た他人との比較……これらはいずれも「百害あって一利なし」です。だれかと比較されることで「負けないぞ!」と奮起するような子はほぼいないと知っておきましょう。
比べていいのは「過去のお子さん自身」だけなのです。
このように、勉強嫌いになる原因のほとんどが、残念ながら保護者の方の言葉や態度に影響されたものであることを、おわかりいただけたでしょうか。
逆に言えば、ご家庭での関わり方を見直すことで、今日からでもお子さんの「勉強が嫌い」という気持ちを変えていくことができます。
「勉強にハマる子」に育てるための15の工夫
「子どもが勉強嫌いで」と嘆く保護者の方に私がお伝えしているのは、お子さんが楽しく勉強に取り組むための方法です。お子さん自身が遊びの延長として「勉強にハマる」状態になるには、やはり大人のサポートが必要だからです。
ただ、私自身4人の子育てをしていてわかりますが、親も子どもの勉強にそれほど多くの時間をかけることはできません。限りある時間の中で、子どもを勉強好きにするちょっとした工夫をご紹介したいと思います。
勉強環境を整える
1 「監視」ではなく「安心」のためのリビング学習
まず必要なのが「勉強環境を整える」こと。
勉強は正直どこでしてもいいのですが、私が相談を受けた親御さんたちにはリビング学習をおすすめしています。小学生のうちはやっぱりリビングがベスト。その理由は、親が管理や監視をするためではなく、子どもの心の安定のためです。
勉強は一人で静かに、張り詰めた緊張感の中でするのではなく、「親子で一緒に、温かい雰囲気の中でするもの」と認識してほしいなと思っています。 大人は隣で監視するのではなく、隣で読書したり、仕事をしたり、自分の勉強をしたりして、親子で共に時間を過ごすことがとても大事なのです。
2 「取り組みやすい仕組み」を作る
大体のご家庭ではリビングの一等地にテレビがありますが、私はいつも保護者の方に「テレビではなく、勉強に関するものの置き場を一等地にしてください」と伝えています。
お子さんの勉強に関する道具は、嫌でも目につく「一等地に置くこと」がとても大切です。
我が家の場合でいうと、テレビはリビングに対して背を向けています。そうすると、テレビを見るのにわざわざ移動する必要が出て、ちょっと手間がいるので、だらだらとテレビを見続けるという悪循環を避けることができます。私はこれを「導線を複雑化する」と言っているのですが、テレビとかゲームとか、タブレットのような「勉強を阻害するもの」への導線を複雑化させておくのです。
あまり触れさせたくないもの、例えばゲーム機の本体と充電器を別の場所に置いておくとか、ゲーム機本体は箱にしまって棚の奥のほうに入れておくとか、導線を複雑化させておくことで、子どももだんだん手に取るのが億劫になっていきますよね。
そして帰宅後、すぐ目について、一番整理整頓されていて一番心地よい場所に勉強道具をデーンと置いておきます。手に取ればすぐできる場所に置いて、すぐスタートできる状態にしておくのです。
勉強以外でも、「子どもらしい遊びをしてほしい」のであれば、遊びのものを一等地に、「本をたくさん読んでほしい」のであれば、本を一等地に置くということです。
人は手に取りやすいものに親しみ、面倒なものには手が伸びなくなるものです。そういった家庭内での導線を意識して整えることが、「勉強の仕組み化」につながります。

3 勉強開始のハードルを下げる
「勉強の仕組み化」でもう一つ、「開始のハードルを下げる」ということも大切です。
子どもは「何を」「いつまでに」「どこまでやるか」というゴールのラインがわかっていないと手がつけられないものなのです。
わからないことに対して、漠然と嫌な印象を持ってしまうことがあるので、まずは開始のハードルを下げ、終了のラインを具体的に伝えることが大切です。
例えば、ドリルだったら、「今日はここからスタートで、○ページできたらおしまいだよ」「10分やったら終わりね」。漢字だったら、「5回ずつ全部書いたら終わり」というように、具体的なラインを示すのがポイント。
そして何より大事なのは、いったん終了のラインを設定したのであれば、たとえそれが「簡単に終わってまだまだやれそうな雰囲気だとしても、変えてはいけない」ということです。それをしていると、子どもからの信頼を失ってしまいますから。
4 習慣化する
「帰宅して手を洗う」「寝る前に歯を磨く」…こうした毎日のルーティンは、ほとんどのお子さんが習慣として身につけていることだと思います。
同じように勉強も習慣づけて、自分から進んで取り組めるような「自走の仕組み」ができると、親が余計な口出しをする必要がなくなります。
小学生のうちに勉強を習慣化することは、とても大切です。「よし、頑張ろう」と気合いを入れないとできないのは、まだ習慣には至っていないということ。
「気合いを入れなくてもサッとできる状態」が習慣化できた証です。
「帰宅して、手洗いをして、おやつを食べたら10分勉強」といった感じで、日常のルーティンの中に組み込むことが大事。夕食前の10分、寝る前の10分でもいいのですが、お子さんが「自分で選んだ」という感覚も必要なので、タイミングについては保護者の方が選択肢を作り、お子さんに選んでもらう形がよいでしょう。
5 親自身の「見守りのルール」を作る
子どもが勉強しているとき、親は横にいて「できるだけ口を出さない」ことも大事です。私自身も子育てをしているので、口出ししたくなる気持ちはよくわかりますが、「どこまで手を引けるか」が勝負だと思っています。
私の塾に来られるお子さんの親御さんによくお伝えするのは、「『見守りのルール』を作る」ということ。
例えば、「子どもに指摘するのは1日1つまで」「1つ注意してしまったら10褒める」 など、自分なりにルールを作って子どもに関わるようにしないと、知らず知らずのうちに人格否定や事細かな注意を際限なくしてしまいがちです。
親自身の感情をコントロールするためにも、「見守りのルール」は必要なのです。
6 「新鮮さ」で知的好奇心を刺激する
勉強好きな子にするために、ぜひ活用してもらいたいのは、本と学習ポスターです。
子どもが机の上で問題を解くだけでなく、本や漫画などで「情報をインプットする」機会を増やすことも非常に有意義です。私の塾に来られるお子さんの親御さんには「本棚と学習ポスターのレイアウトを大事にしてください」とよくお伝えしています。
ただし、本棚に並べている本がずっと同じままだと、いつの間にか風景のようになってしまいますよね。次々と新しい本を買わないまでも、ちょっと並べ方を変えてみるとか平置きにする本を入れ替えてみるのも有効です。子どもは本の置き場所が変わっていると、「あれ?」という感じで手に取るものだからです。
本棚の一等地を、「今読んでほしいと思っている本」に置き換えていきましょう。
旅行前だったら地図を置く、虫を捕まえてきたら昆虫図鑑を置く、料理を一緒に作ってみたら料理本とか科学本を前に置いてみるとか、実際に体験したことへの興味を本で延長していけるような仕組みを作れるとよいですね。
学習ポスターも、「ずっと同じものを貼りっぱなし」ということがあると思います。そして、一度貼ったら見慣れてしまって改めて見ようとはせず、「空気」になってしまいがちなのですが、内容の違うポスターをいくつか用意しておいて、定期的に貼り替えるとよいと思います。
日本地図を貼ったら次は世界地図、次は歴史、次は英語、次は算数の単位のポスターというふうに貼り替えてみてください。まだよく覚えていないから…と、ついそのままにしてしまいがちですが、「新鮮さ」のほうが子どもの知的好奇心を刺激してくれるものだからです。
7 「犠牲になる人」を作らない

家庭内で「勉強の犠牲者を作らない」ということも、勉強環境の一つとして意識していただきたいことです。
ありがちな例としては、本人が勉強をしているときに、他のきょうだいには静かにさせるために別の部屋で動画を見させたりゲームをさせたりしてしまうこと。楽しそうなきょうだいをうらやましく思ってしまう本人も犠牲者ですし、ゲームや動画漬けにさせられるきょうだいもまた犠牲者になってしまいます。
本来、勉強する人が一人でもいるのであれば、家族みんなで勉強なり読書なり、学びの時間を過ごせると理想的です。
そして、もしそれが叶わないのであれば、一人のお子さんが勉強に集中しているときは、他のきょうだいは邪魔をしないように外遊びや習い事をするなど、何らかの学びにつながる体験ができると望ましいでしょう。
8 体と心を整えてから勉強に入る
楽しんで勉強に取り組むためには、
「体を整える」⇒「心を整える」⇒「頭を使って考える」という順番が大切です。
◎「体を整える」…睡眠不足、お腹が空いている、疲れているといった状態で勉強させようとしない。不足しているものを満たしてから、勉強に取り組ませる。
◎「心を整える」…悲しいこと、辛いことがあったときや、感情が乱れている状態で勉強させてしまうと一気に勉強嫌いになるので、落ち着くまで待つ。
感情のコントロールに関しては、子ども自身で少しずつできるようにしていくのも大事なことです。
例えば、気分を変えるために冷たい水を飲む、保冷剤で冷やす、ちょっと別室に行ってみる、好きな本を読む、絵を描いてみる…その子に合った「感情を整える方法」は必ずあるので、自分でできるように親が導いていくことも、とても大切な環境設定だと思います。
9 動画やゲームの時間を減らす
勉強好きな子にしたいのであれば、正直なところ、動画やゲームをする時間はできるだけ減らしたほうがよいと思っています。
「動画で得られる知識もある」と言われたりしますが、別に本に置き換えてもいいわけなので、動画にしかないメリットというのはほとんどありません。
また、動画やゲームで注意したいのは、依存性が強いこと。子どもが自分ではやめられなくなって生活に支障をきたすこともあります。
そして、音や光など刺激の強い画面に慣れてしまうと、白い紙と黒い文字は刺激が少なすぎて集中できなくなることも。
ですから、動画やゲームとの接点は、少なければ少ないほどよいというわけです。 特に低年齢のお子さんをお持ちの保護者の方は、最初から与えないことです。
すでに与えてしまっているのであれば、先にご紹介したように導線を複雑化して、子どもが自分から手に取れない(取らない)状態に持っていきましょう。
また、「きちんと勉強をしたら、ご褒美にゲームやっていいよ」とか、ゲームや動画視聴をご褒美にするご家庭もあると思います。こうしたご褒美は、与えすぎるとそれが目的になってしまうので、慎重に考えるべきだと思います。
子どもの頑張りに報いたいのであれば、ゲームや動画、物やお金などではなく、親子で関わる時間を作るようにしましょう。 「頑張ったら、このあと一緒に本を読もう」「一緒にお出かけしよう」「一緒におやつタイムにしよう」など、「親子の時間」をご褒美にしていただきたいと思います。
勉強を「遊び化」する、声かけと演出の方法
ここからは、子どもが勉強するときの親の声かけや演出の方法についてお伝えしていきます。
遊びなら集中できるのに、勉強の時間は集中できない…。それなら、勉強の時間を「遊び化」してしまえばいいのです。
さまざまな演出方法をご紹介するので、保護者の方も役者になったつもりで演じてみてください。最初はちょっと照れくさいかもしれませんが、大丈夫。お子さんは観客ではなく、役者として一緒に舞台に立ってくれるので、だれにも見られていません。親子で楽しく取り組んでみましょう。
10 「実況中継スタイル」で褒める
「5 親自身の見守りのルール」でご紹介したように、子どもの勉強中は「1つ注意したら10褒める」のが基本です。保護者の方によっては「褒めるところがありません」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、私は「観察の解像度を上げてください」とお伝えしています。
勉強するために椅子に座っただけでも褒めていいし、鉛筆を持っただけでも褒めていいし、1問やっただけでも褒めていいし、昨日より1分早く始めただけでも褒めていいのです。
解像度を上げれば、褒めるところは無限にあります。正解・不正解にこだわらず、大きな成功を待たずに小さな成功を見つけてください。それには、実況中継のような声かけが効果的です。
「さあ~1問解けたー!」とか、「おっと問題文を読んだー!」という感じで実況中継していくと、子どもはニヤリとしながら褒められたことを受け止めてくれます。
ポジティブな声かけであれば、何でもいいと思います。その場で即時に、大げさに、アナウンサーになったつもりで実況中継をしてみてください。
「自分から取り組めた」「問題が解けた」といったポジティブな経験を子どもの記憶の中に積み重ねていくようなイメージです。
11 勉強の「遊び化」のために小道具を使う
小道具を使う演出も効果があると思います。
ストップウォッチ、タイマー、宝箱、ランチョンマット、レジャーシート、ぬいぐるみ、フィギュア、キッチンの道具、懐中電灯、ヘルメットなど、家にはいろんなものがあると思いますが、なんでも使えるものです。
いつもと違う何かが出てきて、お母さんやお父さんが楽しそうにしているところが、ポイントです。
勉強の「遊び化」とは、教材を遊びに寄せて作り変えていくということではなく、「お母さん、お父さんが勉強中に小道具を使って、面白がり始めたぞ」みたいなことです。
私がよくやるのが、「レジャーシートを敷いて、「今日はこの上でピクニック」とか、「ぬいぐるみを横に置いて応援団にしてみる」とか、懐中電灯で照らしながら「今日はスポットライトが当たっています」とか、ヘルメットをかぶって「今日は工事現場からです」など、勉強の場をさまざまなシチュエーションにしてしまうこと。
要は遊び心を持って「いい意味でふざける」ということですね。親がやり始めると、子どもも「なになに?」と興味を持って乗ってきて、楽しく取り組めると思います。
12 子どもにも役割を与える
勉強の「遊び化」の際、子どもにも役割を与えてみるとよいでしょう。
・子どもを先生にして説明してもらう
・アナウンサーとして、ニュースのように音読してもらう
・クイズの出題者として問題に答えてもらう
など、お子さんに何かしら役割を与え、設定の人物になりきって勉強させてみるのも、低学年や中学年ぐらいまでのお子さんにはとても効果的です。
13 「表彰式」でメッセージを伝える
これも「遊び化」の一つですが、「表彰式をする」のも楽しいものです。
1つ褒めたら、表彰状や折り紙のメダルを作り、椅子の上に立たせて、「今日の表彰式を始めます」とセレモニー風の演出をします。
時間があるときは、記念撮影やインタビューをするのも楽しめるでしょう。他のきょうだいを巻き込んで、楽しい雰囲気で行います。
何を表彰するかというと、「100点が取れた」といった結果ではなく、「最後まで考え抜いたで賞」「今日は自分から始めたで賞」のような「努力できたこと」を表彰してほしいと思います。
親が何を大切にしているか、何を大切に思っているかというメッセージを伝える機会でもあるので、ぜひ学び方、取り組み方に対しての思いを伝えてみてください。
14 勉強に関しても「ありがとう」「ごめんね」を伝える
声かけについてですが、保護者の方が子どもの勉強を見ていると、なぜかえらそうになりがちなものです。勉強中であっても、普段の会話と同じように子どもに「ありがとう」と「ごめんね」をきちんと伝えることは大切です。
「今の説明聞いてくれてありがとね」とか、「今ちょっと強く言っちゃってごめんね」とか、「今ちょっと説明下手だったね、ごめんね」など、勉強の場ではなんとなくスルーしてしまいがちな言葉もきちんと伝えましょう。こうしたやり取りもまた、家庭でできる人間教育の一つです。
「ありがとう」と「ごめんね」は、子どもにも響く大事な言葉なのです。
そして、親がもし対応を間違えることがあったら、潔く謝りましょう。
親子であっても、人間としては対等な存在なので、「間違えたら謝って次から変えていく」という姿勢を、ぜひお子さんに見せていただきたいと思います。
15 笑って勉強の話ができる関係作り
私は、勉強の話を笑顔でできるかどうかが、家庭のバロメーターだと考えています。
勉強の話をしているとき、保護者の方自身が不安に思ってはいませんか? 怖い顔をしていませんか? そんなお母さんやお父さんを見て、お子さんは怯えていませんか?
子どものテストなどの結果に対して、「ここがもうちょっと」とか、「そのくらいで喜んじゃダメだよ」などと指摘することで、お子さんはネガティブな感情で潰れそうになってはいないでしょうか。
勉強の話を笑顔でできる家庭は、やっぱり子どもが伸びます。家庭で勉強の話をしているときに、子どもがどんな表情をしているか、ぜひ一度チェックしてもらいたいなと思います。
最後に~こだわりを捨てて、時には「損切り」も

私自身4人の子育て中で、うまくいかないことも毎日あります。
例えば、上の子で成功体験があったために、下の子に同じ関わりをし続けてしまったこと。1回うまくいったからといって、1か月後も2か月後も同じようにやっていてはうまくいかないことも出てきます。
子どもは、本当にその日の体調や感情で、全然違った反応を示すものですし、親側のコンディションによっても左右されてくるものです。そういうわけで、あまり親がこだわりすぎないことも大事なのです。
子どものテキストやドリルに関しても、子どもに合っていない、やりたがらないと思ったときは、もう潔くやめてしまいます。
「損切り」という言葉がありますが、あまりこだわりすぎずにさっさと見きわめて取捨選択することも大切だと思っています。
そして、今の子どもたちは、確実にAIと深くつき合っていく世代になります。読み書きや計算といった、これまで人間の手で行ってきたものがAIに置き換えられて便利な世の中になる反面、子どものどんな力を育てていくべきか、気づいていない大人はまだ多いのではないでしょうか。
与えられたルールに従って進める事務作業で人間はもうAIに勝てないし、さまざまな仕事をAIに任せる流れが今後も加速していくでしょう。もはや人間に施す教育に「効率」や「正確さ」を求める時代ではなくなってきているのです。
では、これからの時代にどんな力を育てていくべきかというと、人間だからこそできる試行錯誤とか、非効率で無駄に見えるようなものが大事になってくると思います。
子どものうちだからこそ無駄に見えるような失敗や回り道の経験をすることに意義があるし、そこに人間としての成長があり、幸せな生き方につながっていくものだからです。
大切な子供時間を効率的なものだけで埋めようとせず、ぜひたくさんの回り道や非効率な学習も経験させてあげて、豊かな時間を過ごすことに価値を置いていただきたいですね。
この記事の監修・執筆者
一般社団法人勉強法アドバイザー機構代表理事。東京大学教育学部卒。教育学修士。
保育士、児童発達支援士、児童心理カウンセラー、勉強法アドバイザーの資格を持ち、教育学の研究者として活動している。
日本教育学会、日本教育心理学会、ウェルビーイング学会等に所属。
2015年から神奈川県横浜市金沢区でナガシマ教育研究所(学習塾・学童保育)を経営し、学習指導にあたる。
毎日、教育現場で、子どもに向き合う実践的研究者として、最新の教育学研究の知見をわかりやすくお母さん・お父さんに伝えている。
自身も、4人の子どもの母として、子育てに奮闘中。失敗や試行錯誤を重ねてきた経験から、専門家でありながら”肝っ玉母さん”としての視点を大切にした発信に定評がある。
「笑って学べる家庭づくり」を軸に、講演・執筆・メディア出演など幅広く活動中。
著書に『東大でとことん教育を学んでわかった!勉強にハマる子の育て方大全』(青春出版社)がある。
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