どんな特長の本?
『ほんの少し変えるだけでうまくいく 学級経営・学級づくりQ&A 「あるある」事例62』は、小学校や中学校でよくある困りごとの場面を取り上げ、その場面への対応例を紹介した本です。対応例は、ほんの少し関わり方を変えることで教室の空気が動く方法を紹介しています。まずはそのまま実践してみたり、子どもやクラスの状況に応じて工夫するのもおすすめです。
本の著者
編著は、鹿嶋真弓(かしま まゆみ)さんと吉本恭子(よしもと きょうこ)さんです。
鹿嶋真弓さんは、立正大学心理学部臨床心理学科教授です。
筑波大学大学院教育研究科カウンセリング専攻修士課程修了、同大学院人間総合科学研究科生涯発達科学専攻博士後期課程修了し、博士(カウンセリング科学)を修得しました。都内公立中学校教諭、逗子市教育研究所所長、高知大学教育学部准教授・教職大学院教授を経て、2019年より立正大学心理学部特任教授、2022年より同教授、2016年9月、TILA教育研究所を設立しました。
おもな著書に、『ひらめき体験教室へようこそ 考えることが楽しくなる発想力と思考力のゲーム』(図書文化社)などがあります。
吉本恭子さんは、ヤングケアラーコーディネーターで、高知市こども未来部子ども家庭支援センターに勤務しています。
高知県内で養護教諭として勤務し、高知市教育研究所教育相談班指導主事・班長、高知市立西部中学校教頭、高知市立城西中学校校長、高知市教育研究所教育支援センター長を経て、2025年より高知市こども未来部子ども家庭支援センター。2016年9月、TILA教育研究所を設立しました。
おもな著書に、『子どもの言葉で問いを創る授業 中学校編』(共著、学事出版)などがあります。
どんな人におすすめ?
先生が教室に立つとき、理想の授業像を描いて臨んでも、実際にはその通りにいかないことが多いのではないでしょうか。ときに実力不足かもしれない、と悩んでしまう先生もいらっしゃるかもしれません。
『ほんの少し変えるだけでうまくいく 学級経営・学級づくりQ&A 「あるある」事例62』は、日ごろの授業や子どもとの関わり方で悩んでいる先生や、対応を模索している先生におすすめです。また、若手の先生への助言や育成に携わるミドルリーダーや管理職にとっても、指導・支援のヒントが得られる一冊です。
子どもとの関わり方や言葉のかけ方を紹介しているので、保護者の方にもためになります。
おすすめのポイント
1.小中学校でよくある62の困りごと
小中学校でよくある困りごとや教師が抱きやすい悩みを、62の事例として取り上げています。たとえば、次のような事例があります。
- 一問一答で対話の深まらない授業
- 班活動後いつも決まった子が発表する授業
- 冷めた感じのクラス
- リーダーがいないクラス
- 忙しくて子どもと関わる時間がない先生
- いじめを早期に発見したい先生 など
また、次のような家庭にも共通する困りごとが取り上げられているので、保護者の参考にもなります。
- 何度言ってもわからない子
- 人の話をちゃんと聞けない子
- いつも遅刻をする子
- 課題に取り組もうとしない子
- やる気がない・すぐに飽きる子
- 提出物がなかなか出せない子 など
2.よくある困りごとやその対応の背景を学べる
「なぜその対応が有効なのか」まで理解できる
62の事例について、それぞれの事例への対応を考えるときにポイントとなる理論についても解説しています。いま教室で何が起きているのかを見立てる目を育て、「どう対応するか」だけでなく「なぜそうするのか」まで理解できるので、似たような場面に遭遇したときにも応用することができます。
短時間でパッと読める
1つの事例につき見開き1ページにまとめられているので、すぐに要点をつかむことができます。また、自分自身の指導のクセや傾向を振り返るチェックシートやセルフコーチング用の書き込み欄も収録しているので、子どもとの関わり方や指導内容を整理して改善につなげることができます。
3.よくある困りごとへの対応例
子どもの行動を変えたい
本書の第1章では、何度言ってもわからない子、人の話をちゃんと聞けない子、「やりたくない」という子、いつも遅刻する子などへの対応例を紹介しています。
目の前の事例への対応を考えるとき、まずは「なぜそうなるか?」という背景や原因を考えることから始めてみましょう。このとき、子どもの行動の背景や原因だけでなく、子どもの行動を受け取る大人側の心理にも注目すると、次に意識すべきことが見えてきます。
そして、対応を考えるときに大切なことは、子どもを変えようとするのではなく、子どもとの関わり方を変える視点をもつことです。
本書では、事例の原因や背景、具体的な対応例を紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
深まらない授業を改善したい
第2章では、一問一答で対話の深まらない授業、アクティブラーニングをしているのに深まらない授業、班活動後いつも決まった子が発表する授業、子ども間のささいなトラブルで度々ストップしてしまう授業などへの対応例を紹介しています。
授業についても、まずは背景や原因について考えることが大切です。たとえば、子どもにとって授業での発言や発表がどのような位置づけなのか、授業について教師の想定と子どもの実感にズレがないかなど、現状を分析することがその後の対応へとつながっていきます。
本書では、このような背景や原因の解説、そしてこれらを考慮したうえで少しの工夫で授業の空気が変わるアイデアを紹介しています。
クラスの子どもどうしの距離を縮めたい
第3章では、冷めた感じのクラス、席替えのたびにもめるクラス、班長がなかなか決まらないクラス、SGEの活動が日常に反映されないクラスなど、クラスがまとまらないと感じたときの事例の対応例を紹介しています。
このような場合も、まずは原因や背景にあるものを考察してみることが大切です。問題解決に活かせる理論と考え方、考えを深めたいときにおすすめの文献も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
子どものやる気を継続させたい
第4章では、ほめてもよい行動が続かない子、「できない」とやる気をなくす子、課題に取り組もうとしない子など、子どものやる気を継続させたいときの事例を紹介しています。
子どもが行動するときの背景を考えてみましょう。そうすれば、今までの言葉かけでどこがよくなかったか、どのような言葉かけなら響くのかが見えてきます。
人生に挫折はつきものです。失敗することを恐れず、次にどうすればよいのか子ども自身で考えられるようになると、継続力を高めることができるでしょう。
子どもの思考を深めたい
第5章では、正解を早く知りたがる子や自分の考えを見直せない子、意見は出るのに考えが広がらない授業など、子どもの思考を深めたいときの事例を紹介しています。
子どもがなぜそうなってしまうのか、ひとつの原因だけで片付けてしまうと、根本的な解決にはなりません。多角的な視点で原因を捉えたうえで、対応のしかたを工夫し、子ども自身が思考を深められるように導いていくことが大切です。
立ち歩き、八つ当たり、私語など、個別対応が必要な場合
第6章では、立ち歩きが止まらない子、まわりの人や物に八つ当たりする子、注意しても私語が止まらない子など、個別対応が必要な場合の事例を紹介しています。
問題行動が起きるたびに注意したり怒ったりすると、一時的な変化は見られるかもしれませんが、根本的な変化にはつながりません。この場合も、まずはその背景や原因を考え、対応のしかたを変えることで、子どもの行動が変わっていくことが期待されます。
ポイントは、問題行動が起きてから止めるのではなく、起きる前に整えることです。
不登校、いじめ、虐待など、さまざまな困難への対応
第7章では、さまざまな困難への対応を紹介しています。不登校、いじめ、虐待、ヤングケアラーなど、さまざまな困難に直面している子どもに対しては、子どもの置かれた状況を共感的に理解することが大切です。
子どもとの関わり方、話の聞き方や言葉選び、子どものようすを観察するときに注目すべき変化のほか、虐待を早期発見するためのチェックリストなども掲載しています。
子どもの力だけでは打開できない状況を理解し、支援につなげることができれば、子どもが一歩踏み出す力につながっていきます。
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