【小食・偏食】給食が心配…教えて!家庭での対処法【専門家監修】

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【小食・偏食】給食が心配…教えて!家庭での対処法【専門家監修】

「うちの子は好き嫌いが多い上に食べる量が少なくて…」など、「小食」「偏食」で悩んでいるご家庭は多いのではないでしょうか。また、小学校入学を控えたご家庭は、「全部食べられるかしら」と「給食」が心配ではないでしょうか。

「給食って、全部食べないといけないの?」「苦手なものが多かったらどうしよう…」などと、お子さん自身も不安を感じているかもしれません。

「健康」をテーマにした料理教室や、食育を推進するNPO「食育暮楽部(くらぶ)」を運営し、栄養士として保育園で勤務した経験もある森野恵子先生に、子どもの食に関する悩みについて、そして、給食への不安を軽くするために家庭でできることについてうかがいました。

お話:森野 恵子(食育を推進するNPO「食育暮楽部(くらぶ)」)
文:大悠社

目次

まずは、子どもをよく見て原因を知りましょう

「おうちのかたからのお子さんの食に関する相談で多いのが、『小食』『偏食』『食べるのが遅いこと』です。また、それらが原因となって給食でつまずくお子さんは一定数います。まずは、『小食』『偏食』『食べるのが遅いこと』の原因を考えてみましょう。原因が複数ある場合もありますね。

詳しい原因がわかれば、きめ細かに対策することができますし、小学校入学前なら、就学時健診や入学説明会の際に、小学校ではどのような対応をしているのか質問することもできて安心です。

原因をよく知るためには、お子さんが食事しているところをしっかり見ることが大切です。お子さんのことをよく知っているつもりでも、実は見逃していることがあるかもしれません。」

そこで、森野先生に、見逃しがちなポイントと、おすすめの改善方法を紹介していただきました。

そもそも食べられる量が少ない「小食」の場合

「小食のお子さんは、目の前にある食事の量が多いと、それだけでおなかがいっぱいになった気になってしまうこともあります。そのようなお子さんには、おにぎりやからあげなどを小さめに作って、お皿に少しずつ盛りつけ、食べ切る喜びを感じさせる方法がおすすめです。

『食べられた!』という達成感の積み重ねで、食べられる量が増えていくお子さんもいます。

『お皿、空っぽですごい!』『全部食べられたね!』など、前向きになるような声がけをしましょう。

小学校の給食指導は、『残すのではなく、最初から食べられる分だけ取りましょう』という傾向にあります。お子さんが小食なら、学校に『食べられる分だけ、少なめに配膳してもよいか』『一律に配膳される場合、残してもよいか』を相談しましょう。

無理をさせるのはよくないですが、子どもの成長を考えると、栄養のバランスを取るためにも昼食の1食を食べることはとても大切です。入学前に、少しずつでも食べられる量が増えていくとよいですね。」

好き嫌いが多い「偏食」なら…

「嫌いな食材は、成長と共に変わっていくこともよくあります。ですから、『うちの子は、◯◯は食べないから…』と決めつけず、根気よく食卓に出しましょう。

また、嫌いな食材がある場合、どんなところが嫌なのか、根本的に探ってみましょう。トマトの酸味が嫌なら、熱してトマトソースにして甘みを出したら食べられるかもしれません。牛乳の匂いが嫌なら、シチューやチーズケーキにして慣れていくとよいでしょう。ピーマンの苦味が嫌なら、好きな具材とピザにしてみると、案外食べられることも多いですよ。

それから、嫌いなものを残したこと、食べないことをおうちのかたが強調しすぎないことも大切です。『また残してる』『あなた、◯◯嫌いだもんね』などと言われたら、ますます苦手意識が強くなってしまいますよね。

『トマト食べられたね、すごいね』『チーズと組み合わせるとピーマンもおいしく食べられるね』など、お子さんの意欲が湧く話し方をしたいですね。

学校に相談する時も、『うちの子は◯◯は食べません』と言うのではなく、『家庭で調理の工夫をするなど、少しずつ食べる練習をしています。先生からも、一口は食べてみようなどと、少しずつ促してください』などとお願いするとよいでしょう。」

食べるのが遅い原因は?

「食べるのが遅いお子さんの食事の様子をよく見ると、かむリズムが遅かったり、飲みこむタイミングがつかめていなかったりすることがあります。

また、ゆっくりと長い時間かんで、飲みこまずに次の一口を入れてしまっているお子さんもいます。

そういう場合は、お子さんと正面に向き合って食事をして、『一口分を口に入れて、よくかんで、はい、ここで飲みこんで。口の中が空になったら、次の一口を入れようね』というように、ペースを早めるトレーニングをしてみましょう。

かまずに飲みこんでしまうと、食べるスピードは上がりますが、消化がうまくいかず、腹痛が起きてしまうこともあります。よくかんでから飲みこむことが大切です。

あと、気が散りやすいお子さんや、おしゃべりが多いお子さんは、どうしても食事に時間がかかってしまいます。テレビは消して、時計を意識しながら時間内に食べる練習をしましょう。

『今日は時計の針が6のところまでに食べ終わろうね』『残り時間が少なくなってきたから、おしゃべりは後にして食べることに集中しよう』などと声をかけて、お子さんが時間内に食事を食べ切るという意識が持てるようになるとよいですね。

小学校の給食の時間は、幼稚園・保育園の昼食時間より短い場合がほとんどです。給食の前に教室の移動などがあると、ますます食べる時間が減ってしまいます。就学時健診や入学説明会の際に、配膳や片付けの時間を除いた、実際に食べるための時間を聞いて、家庭で時間内に食べる練習を少しずつ進めましょう。

私が勤務していた保育園では、食べるのが遅い年長さんは1月〜3月に少しずつ食べるスピードを上げる練習をしていました。」

「おなかが空いて困る」という経験も大切

「小学生になると、朝食を取ってから給食までの時間が、幼稚園・保育園のときより長くなることが多いです。

年長さんであれば、朝や昼にあまり食べなかったからという理由で、おやつを与えるのはできるだけ避けましょう。おなかが空いていれば、次の食事はしっかり食べるようになります。そして、『おなかが空いたら困る』という経験をすれば、1回1回の食事を大切に食べようという気持ちも育ちます。

給食の献立をホームページなどで公表している小学校もあります。行事メニューや地元の特産物を使ったメニューなどもあるので、お子さんと一緒に見て、『どんな感じなんだろう、おいしそうだね』と給食について前向きに話してみるのもよいでしょう。」

この記事の監修・執筆者

フードコーディネーター、栄養士 森野 恵子

「健康」をテーマに、料理とテーブルコーディネートの教室を行う。企業主催の親子クッキングや、住宅展示でのテーブルコーディネート、セミナー講師、TV番組の撮影、飲食店やホテルでのフードコーディネート、メニュープランニング、雑誌・広告での撮影(料理作成・フードスタイリング)、盛りつけ指導など”食”に関わるものをさまざまな角度からコーディネート。
平成16年からは、暮らしを楽しみながら食育を推進する団体「食育暮楽部(くらぶ)」を設立し、地域でできる食育に取り組み中。

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