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うちの子も、来年はいよいよ年長さん――というママパパにとって、そろそろ気になってくるのがランドセル選びです。「6年間使うものだから、よいものを選びたい。でも、たくさんあって迷ってしまいそう」、そんなご家庭のために、ランドセル比較サイトを運営している「くらしのいいもの研究所」・渡辺ヨウコさんに「ランドセル選びで最初に知っておきたい基本のキ」を教えていただきました。
文/遊文社(小林洋子)
ランドセル選び(ラン活)は、いつから動けばいいの?
ランドセル選び(ラン活)は、いつ頃からスタートすればいいのでしょうか。
「最近は、独自の工房や職人をもつ専門メーカーが作る『工房系』と呼ばれるランドセルが人気です。こうしたランドセルは販売が早い時期に始まるのが特徴。2023年入学モデルは昨年よりさらに動きが早まり、2022年の年明けから、販売が始まるところもありそうです」と渡辺さん。
とはいえ、すべての人が、この時期から動かなければならないわけではない、と渡辺さんは言います。
「数年前は、一部の工房系ランドセルが発売後すぐに完売してしまい、争奪戦のようになりました。しかし今は、一定期間は売り切れがないように販売保証期間を設けるメーカーも出てきています。『どうしてもこれが欲しい』という品がある人は早く動くほうがよいですが、そうでなければ、お子さんが年長に進級する春から夏頃にかけて、検討を始めていくのが一般的でしょう」。
また、特にこだわりがない場合、子どもが小学校に進学する心がまえのできる夏過ぎから、じっくりと選ぶのもよいと、渡辺さん。「ランドセルは基本的にいつでも販売していますし、入学直前でも買えないことはありません。慌てずに、それぞれのご家庭の考え方・タイミングで購入されるとよいでしょう」。
23年入学モデルは、大容量・カラフル・高価格
最近はどんなランドセルが人気なのでしょう。23年入学モデルの特徴について、教えてもらいました。
容量=荷物や教科書がたくさん入る大容量タイプが多い
渡辺さんによると、「教科書がA4サイズになり、ランドセルの大容量化が進んでいます。タブレット学習が導入されても、今はまだ教科書やプリント類が減っているわけではないので、23年入学モデル以降も、この傾向は続くでしょう」。
また、タブレット収納ポケットの付いたランドセルも登場していますが、学校によって配布される端末の種類やサイズ、使い方は異なるので、注意が必要とのこと。「タブレット収納モデルを選ぶなら、進学する小学校でどういう端末をどのように使っているか、地域の先輩ママやパパに確認してみましょう」。
色=バリエーションが豊富に。キャメルや紺なども人気
ランドセルの色では、バリエーションがますます豊富になっています。伝統的な黒や赤、ピンク、水色、深緑などのほかに、キャメルや紺、紫といった、大人っぽい色も人気があるそうです。また、ジェンダーへの配慮が進んでいるのも最近の特徴です。「男の子用の赤や、女の子用の黒もあります。男の子用、女の子用という区別がない売り場も増えていますので、選択肢はいっそう広がっています」。
価格=5万~7万円が多く、高価格の製品も増えている
価格の面では、以前よりも高価格の製品が増えている印象、と渡辺さん。「工房系ランドセルは、価格も高額なものが多くなります。一方、スーパーなどでも販売されている大手メーカーの定番の製品は、価格もお手頃と思いがちですが、意外に値が張るものもあります。目安としては、5万~7万円くらいの製品が多くなります。各ご家庭の予算に合わせて、よく考えて選ぶとよいでしょう」。
ランドセルの素材や機能についての基礎知識
ランドセルの基本的な素材や機能については、どう考えて判断すればよいでしょうか。
素材=コードバン、牛革、人工皮革で重さや価格に差
ランドセルの素材には、大きくコードバン(馬革)、牛革、人工皮革(クラリーノなど)の3種類があります。渡辺さんは次のように説明します。「重さでいうと、コードバン→牛革→人工皮革という順になります。価格では、最高級の馬革であるコードバンがもっとも高くなりますが、牛革と人工皮革は、製品によって価格に幅があり、牛革だから人工皮革より高いとは限りません。最近では、丈夫さや表面の傷つきやすさといった点も、天然皮革と人工皮革とでほとんど差はないと考えてよいでしょう」。
機能=各メーカーの研究が進み、使いやすい製品になっている
機能面で大事なポイントが、背負うときに毎回使う背ベルトです。
「背ベルトで、背負ったときに体によくフィットし、荷物が重くても肩に食い込みにくいのが、立ち上がり式と呼ばれるタイプです。最近ではほとんどのメーカーがこのタイプの背ベルトを採用しており、フィット感はとても高くなっています。ただ、背ベルトの根元の金具(背カン)の動き方などはメーカーによって異なるので、一度は実際にお子さんに背負わせてみて、感触を確かめるほうが安心です」。
ほかに確認したい機能としては、ロック(かぶせを留める金具)、ナスカン(側面の荷物を下げる金具)、防犯ブザーフック、持ち手(背あての上部にある取っ手)や反射材の有無などがあります。
「最近は各メーカーがそれぞれにユーザー調査などで研究を重ねており、ランドセルの使いやすさは年を追うごとに進化しています。国産の製品は6年間保証がついていて、安心して選べるものがほとんどなので、機能や品質の差というより、お子さんの使い方や生活に合ったものを選ぶことを意識するとよいでしょう」。
購入するお店へ行く前に、「予習」をしよう
「くらしのいいもの研究所の調査(2020年)」によると、ランドセルの購入先としては「百貨店・スーパー・量販店」が最多。このほかには専門メーカーの展示会で購入する場合もありますし、コロナ禍になってからはネット購入も増加中とのこと。
「コロナ禍以降は、ネット購入を希望するご家庭に対しての『ランドセルの貸し出しサービス』も広がっています。また2020~21年は、感染対策として店舗でのランドセル販売を予約制にしたところも多かったようです」と、渡辺さん。23年入学モデルも、各メーカーや販売店がこれまでの経験を生かし、十分な感染対策を行って販売することが予想されます。
ただし、どのようなランドセルを求めるのか何の検討もしないまま、いきなり店舗や展示会に行くのはおすすめしない、と渡辺さんは言います。
「何の予備知識もないまま、一度にたくさんのランドセルを見せると、お子さんはどうしても自分の好きな色や、キラキラしたデザイン、派手なデザインなどわかりやすく目立つところに目を奪われてしまいます。また、自分の好みの色を選びたいお子さんと、伝統的な色を希望する祖父母とで意見が対立する……といったパターンもあります。やはり、ネットで調べたり、メーカーにカタログ請求をしたりして『予習』をしておき、『この中から選ぼうね』と範囲を示せるようにしておくとよいと思います」。
わが子に合ったランドセルを選ぶチェックポイント3
渡辺さんからは、最後に、「わが子に合ったランドセル選び」をするときに、意識しておきたいポイントを挙げていただきました。
(1)色やデザインの好みは、変わることも念頭に置こう
入学当時の子どもが自分でランドセルを選んでも、色やデザインの好みが途中で変わることはよくあります。「大人は『6年間使うことを考えて選びなさい』と言いますが、入学前のお子さんに6年先を想像させるのはムリな話。そういうときは、小学校の下校時間に学校近くへ行き、お兄さん・お姉さんの使っているランドセルをいろいろと見てみるのもおすすめです。自分が大きくなったときをイメージしやすくなるのではないかと思います。また、ランドセル本体は飽きがこないベーシックなものを選んでおき、ランドセルカバーでお子さんの好みを取り入れる、という方法をとってもよいかもしれません」。
(2)通学路は必ずチェック!
通学路や家のまわりの環境は、ランドセル選びで必ず考慮しておきたいポイント、と渡辺さん。「学校が家から遠い、家が坂の上にあるといった場合、特に体格の小さいお子さんが重いランドセルを背負って歩くのは負担が大きいものです。そういう場合はランドセルも『軽さ』を意識して選ぶと、失敗が少ないでしょう」。
(3)わが子の使い方や生活に合っているか
「最近は、自動車のライトを反射する反射材がデザイン的に使われた『光るランドセル』も人気です。とはいえ、放課後に学童に通うなどして、帰りが遅くなるお子さんにとっては役立つ機能ですが、基本的に明るい時間帯に登下校する場合は、必須の機能とは限りません。また、防犯ブザーフックの位置が右利き仕様で、左利きの子には使いにくいといった場合もあります。『わが子に最適なランドセル』は、お子さんの生活や使い方によって、一人一人異なります。親子でわが家の場合をよく考えて、ランドセル選びに生かしてくださいね」。
この記事の監修・執筆者
ランドセル比較サイト「人気のランドセルを徹底調査!」の編集長。同サイトでは、各メーカーの商品特徴のほか、口コミ情報の収集やアンケート調査の実施等、「消費者に向けて公平な視点から有益な商品・サービスの情報を提供」を行っています。23年入学モデルの情報も随時更新予定!
人気のランドセルを徹底調査!
https://randoseru.iimono-labo.jp
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