子育てをしていると、つい他の子と我が子を比べて「あれができない、これもできない」と考えてしまいますよね。
しかし、どれもいずれは自然にできること。教育評論家の親野智可等先生にお話を伺いました。
時期が来れば自然にできるようになる
わが子に対して、「あれができない、これもできない」と嘆いている人は多いと思います。
でも、安心してください。
子どもには「自然成長」というものがあります。
つまり、本人も保護者も先生も特に努力しなくても、時期が来れば自然にできるようになることがたくさんあるのです。
そして、その時期というものは人それぞれであり、どの子にも生まれながらのオリジナルなペースがあります。
私の子どもの頃を思い出しても、すべてにおいてゆっくりしたペースだったと思います。
他の子にはできて私にはできないことがいっぱいありました。
夜泣きをしまくる、床屋でじっと座っていられない、自分でお菓子を買いに行けない、近所の人に挨拶できない、電話に出られない、等々です。
でも、いつの間にかできるようになっていました。
無理なことをするとペースが乱れる
早い段階から何でもできる子もいれば、他の子よりゆっくりしたペースで進む子もいます。
早ければいいというものではなく、その子のペースで進ませてあげることが大切です。
無理にペースを上げさせようとすると、ペースを乱すことになります。
人生は極めて長い時間をかけて、非常に長い距離を走る持久走です。
持久走で大事なのは自分のペースを守ることです。
他人のペースにつられて無理なことをすると、いずれ苦しくなります。
今の発達段階を踏み固める
わが子の身体が他の子より小さいからといって、頭と足を引っ張って伸ばす保護者はいません。
そんな暴挙は誰もしません。
もしやったとしたら、その子は身体をこわしてしまいます。
その子の身体は今エネルギーを蓄えていて、時が来れば一気に伸びるのです。
私も小学生時代は小さかったですが、中学になってから一気に伸びました。
身体面では無理に引っ張って伸ばす人はいませんが、内面的なことになるとそういうことをする保護者がいるかもしれません。
目の前のわが子の仕様もない姿を見て嘆いている人に言いたいです。
その子は今そういう状態でいる必要があるのです。
次に伸びるための準備をしているのです。
今いる発達段階をしっかり踏み固めているのです。
しっかり踏み固めることなく、無理に次に進ませられると、後で逆戻りすることになります。
数十年後には全て解決している
ということで、「自然成長」というキーワードを覚えていてください。
そもそも、今目の前にいるわが子にしてみても、数年前にはできなかったのに「いつの間にかできるようになっていた」ということがたくさんあるはずです。
何回言っても靴を左右反対に履いていたのに、今はちゃんと履ける……。
ご飯をこぼしてばかりだったのに、今はこぼさずに食べられる……。
みなさん、数年前に悩んでいたことを今はすっかり忘れていませんか?
いつのまにか消滅した悩みがありませんか?
「なんでそんなに悩んでいたのだろう」と思うことはありませんか?
保護者が、それらをできて当たり前と思ってしまうと、ありがたみがわからなくなってしまうのです。
保護者は時に、子どものちょっとした成長に鈍感になってしまうこともあります。
あら探しとないものねだりばかりしていてはいけませんね。
今あれこれ悩んでいることが、数年後には「いつの間にかできていた」ということがけっこう起こるはずです。
さらに言えば、十年後、あるいは数十年後には、全て解決しているのではないでしょうか?
子どもが自然成長してみなさんの悩みは自然消滅します。
ですから、何も悩む必要などありません。
今のこの時を、わが子の一番かわいらしいこの時を、大いに味わい楽しんでください。
この記事の監修・執筆者
長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。X、Instagram、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。
音声配信サービスVoicyの配信番組「コソダテ・ラジオ」の2022年12月の金曜マンスリーゲストとして出演。「家庭での学習習慣」について熱いトークを配信しています。
X
https://twitter.com/oyanochikara
https://www.instagram.com/oyanochikara/
講演のお問い合わせ
こそだてまっぷから
人気の記事がLINEに届く♪