
ウチの子にもそろそろスマホを持たせた方がいいかも……とお考えの保護者の方、一番気になるのは「子どもが安全に使用できるか」ということではないでしょうか。
スマホ利用については、長時間利用を防ぐために必要な時以外は保護者にスマホを預けるなど、保護者と子どもでおうちルールを考えることが大切です。
また、スマホとは切っても切れないSNSについても、その危険性を知っておく必要があります。
多くは13歳以上から使えるようになるSNS。使い方によっては、保護者が思いもよらない事件に巻き込まれてしまうこともあるためです。
「今どき」のSNS利用において気をつけたいこと、今から知っておきたい注意や対策を、「被害者にも加害者にもならないために SNSから心をまもる本」の中から一部抜粋し、実際の例とともにご紹介します。
事例1 旅行の投稿で空き巣被害に!?
楽しい家族旅行中、SNSに写真をアップしたら、留守中の家が空き巣に入られた……!
一体なにが原因だったのだろうか?
何がいけない?
ワタル

せっかく楽しい旅行だったのに……。運が悪いなぁ。
ヒナタ

君もお父さんも、旅行のことをSNSに投稿していたよね。それが原因かもしれない。
ワタル

え? どうして?
ヒナタ

「家族旅行中」ということは、「今は家にだれもいない、しばらく帰らない」ということ。空き巣犯にとって非常に重要な情報になってしまうんだ。
どうすれば回避できる?
旅行や外食など、楽しいことをSNSに投稿したくなる気持ちはわかります。しかし、それが悪用されることもあるのです。
「家族で出かけている」という投稿は、「今家にだれもいない」と教えること。バレずに家にしのびこみたい空き巣にとって、格好の餌食です。「不在がわかっても、家の場所がわからなければ大丈夫」と思うかもしれませんが、日ごろのSNSの投稿から家の場所を特定され、空き巣に入られる事件が各地で発生しています。
「今○○にいる」よりも「○○に行ってきた」というように、投稿のタイミングを工夫するクセをつけたほうが安全です。
空き巣の場合、子どもよりも大人のSNSをチェックしていることが多いので、保護者をはじめ、家族も十分注意しましょう。
実際の事例
SNSで旅行の投稿をした有名人が空き巣被害に!
2019年、「明後日から海外旅行に行く」という内容を投稿した有名人の自宅が空き巣に入られ、3,000万円以上の被害を受けました。
過去の投稿などから自宅が特定されていたとみられています。

事例2 人気グッズが手に入ると思ったら……!
買えなかった推しのグッズを譲ってくれるという人が現れた!
急いでネットギフトの番号を教えたけれど、いつまでもグッズが届かない……。
アカウントも消えているみたい! グッズを譲ってくれるんじゃなかったの!?
何がいけない?
ナオ

どうしてもほしいグッズだったの! SNSでのグッズ交換ぐらい、みんなやっているから、大丈夫だとおもって……。
ヒナタ

知り合ったばかりのよくわからない相手を信じて、お金をおくるのはリスクが高すぎる。ネットギフトや電子マネーは、だまされても相手を特定しにくい支払方法なんだ。大人でも、だまされたり詐欺にあったりしているのだから、「自分は大丈夫」なんて思ってはいけないよ。
どうすれば回避できる?
素性のわからない相手が、先にお金を払うように言ってきたら、取引をやめましょう。その人がちゃんとしているのか、あなたをだまそうとしているのか、わからないからです。これは大人でもわかりません。
相手が素性を明かして「銀行振込ならどうか」と行ってくる場合もあります。確かにネットギフトや電子マネーより被害にあいにくいですが、違法に手に入れた銀行口座を使っている可能性もあります。つまり、どんな方法を使っても知らない人との取引にはリスクがあります。
被害にあっても少ない金額だからとあきらめてしまう人もいますが、警察には相談しましょう。①やりとり、②ネットギフトの購入記録、③コード番号など情報が残っているほど犯人を特定しやすいです。
ギフトカードとは?
コンビニなどで売られている「ネット通販サイト」のギフトカードは、記載された番号を入力するだけで、そのサイトで商品を購入することができます。
またネットギフト(電子ギフト)は、メールやSNSで簡単に送れる金券(お金そのものではないが、特定のお店でお金と同じように支払いに使えるもの)です。送る側は送りたい金額を設定して、相手に送ることができます。
いずれもプレゼントとして使われることが多く、買う人と使う人が別でも問題なく使えるのが特徴です。
事例3 ちょっとした悪ふざけのつもりが……。
部活帰りの友だちの悪ふざけを、他の友だちにも見せようと思ってSNSに投稿したら、
拡散されてニュースにもなってしまった!
なにが悪かったのだろう。なにか罪に問われてしまうのだろうか……。
何がいけない?
ユウト

おもしろいと思って……。ちょっとした悪ふざけのつもりだったんだ。
ワタル

友だちに見せるつもりでSNSにアップしたんだけど、まさかあんなに拡散されて、たくさんの人に見られるなんて……。
ヒナタ

SNSやネットとは関係なく、そもそもルールを破ったり、他人に迷惑をかけたりする行為をしてはいけない。当たり前のことだよね。それに、軽い気持ちでSNSに投稿すると、フォロワー数の多さに関係なくすぐに拡散され、もっと大事に発展してしまうよ。
どんな罪に問われる?
このような迷惑行為が行われ、その様子を撮影した動画がSNSで出回ると、お店にはどんな影響があるでしょうか。
迷惑動画を見た人がお店に行かなくなり、お店の売り上げが減るかもしれません。業務のじゃまをしたとみなされ、偽計業務妨害という罪に問われる可能性があります。
また、不衛生なイメージがついた備品はもう使うことができません。お店の物をこわして使えなくしたとみなされ、器物損壊という罪に問われるかもしれません。
また、本来得られるはずだった売上や、新しいものを買うためにかかったお金を支払うよう(損害賠償)、裁判を起こされる可能性があります。
軽い気持ちでしたことが取り返しのつかないことになると心に留めておきましょう。
実際の事例
すしチェーン店迷惑動画事件
客が悪ふざけで、回転ずしチェーン店のしょうゆのボトルや使っていない湯のみをなめ回したり、すしにだ液をつけたりした動画が拡散され、炎上した事件。
しょうゆのボトルや湯のみを使えなくしたとして、器物損壊の罪に問われました。また、お店のイメージをいちじるしく低下させたとして、約6,700万円の損害賠償を求める裁判が起こされました。

未成年のSNSへの関わりかたとは? ー監修のことばー
SNSの使い方は、子どもと大人でちがう?
私は全国でSNS・ネットの使い方について講演しています。参加された大人からよく聞かれるのが「講演の内容は、年齢によって変えるの?」「大人向けと生徒向けの講演は何がちがうの?」という質問。実は「ほぼ同じ」です。なぜならSNSもネットも道具だからです。
想像してみてください。実際にはありえませんが、たとえば「今から小学生が車の運転をします」という場面があったとします。その小学5年生が車を運転するために知らなくてはいけないことは、大人と同じはずです。車を運転する際に必要な知識は、大人だろうが小学5年生だろうが変わりません。なぜなら車は道具だから。道具とはそういうものです。
SNS・ネットも道具のひとつ
SNSもネットも道具です。道具を使う以上、その道具の使い方や注意点、知っておくべき知識は大人も子どもも一緒。SNSやネットは子どもを「子どもあつかい」してはくれません。
だから、たとえ「軽い気持ち」だとしても「わざとじゃないのに」だとしても、SNS・ネットのルールを破って悪い行為をすれば、大人と同じように非難されます。全く手加減のない大きな代償をはらうことになるのです。その代償はあなたの人生を大きく変える可能性すらあるものです。
そう考えるといろいろと心配になってしまうかもしれませんね。でも、この本はそのようなことが起きないよう、必要な知識が身につけられるように作られています。どうか安心してください。SNSやネットは、あくまで私たちの人生を豊かで幸せにするための道具なのですから。
被害者にも加害者にもならないために SNSから心をまもる本
誹謗中傷、闇バイト、詐欺…。被害者にも加害者にもならないSNSの使い方がわかる1冊。
よくある子どものSNSトラブルを「被害者」「加害者」の切り口で紹介。事例を紹介するマンガ→充実の解説で、自分も他人もつけず安心してSNSを使えるように。
中学生~高校生を対象に、マンガと優しい語り口で説明します。
★掲載例★
第1章 被害者にならないために
事例1 感想を投稿しただけで炎上!?[SNS炎上・個人特定]
事例2 旅行の投稿で空き巣被害に!?[不在情報・住所特定]
事例3 この人になら、と思ったのに…。[自撮り被害]
事例4 危険がひそむ? SNSでの出会い[SNSでの出会い]
事例5 同性だからと気を許したら…。[スマホゲームでの出会い]
事例6 うまい話には危険がひそんでいる![お金をもらえるデート]
事例7 知らない自分が大暴走!?[なりすまし被害]
事例8 趣味を楽しんでいただけなのに…。[アンチコメント]
事例9 グループチャットがやめられなくて…。[SNSでの友だち付き合い]
事例10 吸ったことないのに!たばこで停学さわぎ!?[生成AI]
事例11 人気グッズが手に入ると思ったら…![グッズ交換詐欺]
事例12 簡単にレベルが上がるはずが…。[ゲーム代行詐欺]
事例13 無料で読めると思ったのに![ワンクリック詐欺]
第2章 加害者にならないために
第3章 番外編
SNSやコミュニケーションツールを使うにあたって起こりやすい人間関係トラブルをはじめ、オンラインゲームやSNSを通した出会いで起こるトラブル、なりすましや生成AIによる被害、ファスト映画やゲーム実況などによる著作権侵害、肖像権・プライバシーといった権利侵害、闇バイトやゲームの高額課金など、若年層が陥りやすい問題を、実例とともに幅広く紹介しています。
この記事の監修・執筆者

1973年生まれ、埼玉県出身。1997年青山学院大学経済学部卒。複数のITベンチャー勤務を経て現職。講演、メディア出演、執筆などを通じて、企業ネット炎上の「火消し」から、情報リテラシー、ネットで絶対に失敗しない方法、フェイクニュースへの対策まで幅広く情報発信。全国の企業、官公庁などに向け2000回以上、40万人以上に向けて講演実績あり。近年は官公庁の有識者会議にも参加している。著書は、「SNSから心をまもる本」(Gakken)「炎上しても大丈夫! 今日から使える企業のSNS危機管理マニュアル」「11歳からの正しく怖がるインターネット」(晶文社)ほか多数。
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