来年小学生になるお子さんにとって、小学校入学は大きな環境の変化でしょう。環境の変化は子どもだけの問題ではなく、保護者のかたにとっても大きな変化です。楽しみな一方、「入学後に問題が起きたらどうしよう」と不安に思っているママパパも少なくないのではないでしょうか。
そこで編集部では、「今年、小学校に入学した小学1年生」をお持ちのかたにアンケートを実施し、「実際、小学校入学後にトラブルはあるのか」「どんなトラブルがあったのか」といった先輩ママパパたちのリアルな体験談を調査しました。
※アンケート調査:モニプラファンブログ「学研の幼児ワーク編集部」調べ(2021年11月実施/56人回答)
「小1プロブレム」って本当にあるの?
これまでに「小1プロブレム」という言葉を聞いたことがありますか?
保護者の中には、「小1プロブレム」という言葉を聞いたことがあるかたもいるかもしれません。平成20年に東京学芸大学が行った調査を受け、文部科学省が公開した「幼児期の教育と小学校教育の接続について」という資料において、「小1プロブレムとは、入学したばかりの1年生で、集団行動がとれない、授業中座っていられない、話を聞かないなどの状態が数か月継続する」と定義されています。
アンケートの結果を見ると、9割以上が「小1プロブレム」という言葉自体を知らなかったようです。「知っていた」という人の中には、「子どもたちが環境の変化に慣れず落ち着きがなくなる」といった定義の内容を知っていたというかたのほか、「子どもの性格面で教員から『いつも行動がゆっくりなんですよね』と報告を受けたことがある」といった実際の体験があったというかたもいました。
実際に小学校に入学してから、トラブルはありましたか?
棒グラフ【トラブル】
では、入学後にどんなトラブルがあったのでしょうか?
いちばん多かったのが「忘れ物が多い」でした。未就学児の頃は、通園グッズ一式を保護者のかたが用意することも多く、自分の支度を自分であまりしていなかったお子さんも多いかもしれません。小学生になって自分の支度をするようになるだけでなく、小学校からは持ち物の種類もグッと増えるので、忘れ物が多くなるのはある程度仕方がないことでしょう。
次に多かったのが「通学路で危険なことがあった」でした。保護者が同行せず、一人で登下校をするようになると、交通ルールを守ること、周りを見ながら通行することが求められます。また、“知らない人にはついていかない”など、防犯の意識をもつことも必要。入学前から一緒に通学路を歩いてみたり、交通ルールを学び直したりといったことを始めておくとよさそうです。
他にも「集団行動がとれない」「授業中に座っていられない」「先生の話を聞かない」といった、典型的な「小1プロブレム」の行動も見られました。また、保護者のかたからは「いじめがあった」「授業中の姿勢が悪い」「子どもがケガを負わされた」といった具体的な声も聞かれました。
では、保護者のかたから寄せられた具体的なトラブルのエピソードを紹介しましょう。
習慣
- 「忘れ物が多く、筆箱に何も入ってないことがあったり、プリントがグシャグシャになったりしていた」、「プリントや給食用セット、体操服など、学校から持ち帰るものをよく忘れていた」
- 「宿題や勉強が嫌で、朝起きるのも嫌がりまさかの登校拒否」
通学
- 「帰りにいつもと違う道で帰ろうとして迷子になった」、「帰り道に慣れず時間がかかったり、不審な人に声をかけられたりしたことがあった」
対人関係
- 「クラスメートにちょっかいを出されても嫌と言えず、抱え込んでしまって爆発してしまった」
- 「ケンカすると先に手が出てしまうことがあり、先生からよく注意された」、「学童で友だちと暴れて高いところから落ちて、骨折してしまった」
- 「避難訓練のときに“トイレに行きたい”と言えず、お漏らしして帰ってきた」
生活習慣
- 「毎朝ギリギリで生活リズムがうまくつかめなかった」、
- 「給食がどうしても全部食べられなかった」、
- 「行動がほかの子に比べてゆっくりで、なかなか集団での活動についていけない」
- 「じっと座っていることが難しいようで、しょっちゅう教室を出ていなくなると先生から連絡があった」
このように、実際に起こったさまざまなトラブルエピソードが寄せられました。やはり、入学後のトラブルは、ある程度は覚悟しておいたほうがよさそうです。
【事前準備】家庭で「やっておいたほうがよかった」「練習しておいてよかった」と思うことはある?
このようなトラブルはできるだけ防ぎたいと思うのが保護者の本音ですよね。実際にトラブルを体験したママパパから、家庭で事前に「練習や準備をしておけばよかったこと」、逆に「練習や準備をしておいてよかったこと」について聞いてみました。
【後悔!】〈練習や準備をしておけばよかったこと〉
習慣
- 「早寝早起き・あいさつ・服の着替えなど生活習慣の練習」
- 「時計を読めるようにする」
- 「休み時間のうちにトイレに行けるようにする」
- 「自分で自分の持ち物を用意する練習」
- 「普段からきちんと椅子に座る練習。座ることにすぐ疲れてしまい、結果姿勢が悪くなってしまう」。
通学
- 「通学路を一緒に歩いてみる、交通ルールを教える」
勉強
- 「小学生になる前に、もう少し勉強をしたり字を書いたりする練習をしておくべきだった」
このように、普段からの生活習慣に気をつけることや、学校生活で困らないよう読み書きや時計の見方を勉強しておいたほうがよかったという声が聞かれました。
対人
- 「他人としっかり話したり、いろいろな人と関わったりできるようにしておいたほうがよい」
- 「子どもの話をきちんと聞き、もっと寄り添ってあげられたらよかった」
価値観
- 「ものを丁寧に扱う練習。すぐ買ってもらえると思っているのか、ものの扱いが雑ですぐに壊したり汚したりする」
“他人との関わり方” “保護者が子どもに寄り添う”といったような、メンタル面での準備やケアも大切だという意見も寄せられています。
【安心♪】〈練習や準備をしておいてよかったこと〉
通学
- 「通学路の行き帰りの危険チェック」
名前
- 「自分の名前を書く練習」
時間
- 「入学前に時計を読めるようにしていたので、時間を意識した行動がとれていた」、「休み時間や放課後など、時間の約束でトラブルが起こらなかった」
習慣
- 「整理整頓をさせるようにしていたので、学校で机の中が散らかることもなく、ランドセルの中の整理も上手にできている」
- 「学校で忘れてほしくないことはメモを持たせるようにしたり、プリントの重要なところにマーカーで色付けたりするようにしたところ、忘れ物が減った」
- 「“座って話を聞く、勉強する”練習をしていたので、授業を受けやすかった」
- 「元気に返事する習慣をつけていたので集団行動で困らなかった」
- 「“人の話はちゃんと目を見て聞く”、“感謝の気持ちを忘れずに”といった、基本的なことを小さい頃から伝えてきていたのが役立った」
生活
- 「公衆電話の使い方を教えておいたので、困ったときに電話がかけられた」
- 「学校が和式トイレだったので、慣れさせておいてよかった」
やはり、安心して通学できるようにする練習や、名前を書く練習、時計を読む練習は、小学校入学後に役に立つようです。
また、公衆電話や和式トイレなどの練習もしておくと、「使ったことがないからやり方がわからない」といったトラブルがなく、いざというときに安心かもしれませんね。
小学校入学で、子どもだけでなく保護者のかたの環境も変化
お子さんが小学校に入学すると、これまでの通園や家庭内保育という環境から子どもの世界がグッと広がり、お子さんを取り巻く環境だけでなく保護者自身の環境にも変化が生じます。そこで、小学校入学で保護者側にどんなトラブルがあったのか、先輩ママパパにお尋ねしてみました。
【1】保護者のかたが体験したトラブルはありましたか?
友達との関係
- 「友だちと遊ぶ約束をしてきたが、親御さんの連絡先がわからないので、本当に行ってもよいのか困ってしまった」
- 「帰宅後、子どもがどこに行ったのかわからないことがあった」
- 「子どもの友だちが毎日に来て困った」、「親に無断で友だちを家に連れてくる」
人づきあい
- 「保護者の中にあまり知り合いがいないので、わからないことがあっても聞く人がいない」
- 「自宅が小学校に近かったため、PTAの役員を引き受けざるを得なかった」
- 「ママ友の中に派閥があって大変だった」
ケガ
- 「学校で子どもが友だちにケガをさせてしまい、相手の親に謝りに行くことになった」
先生
- 「小学校の担任に学童に通っていることがうまく伝わっておらず、集団下校で一人だけ先に帰ったと連絡が来て驚いた。学童や小学校、親との連携も大切だと感じた」
コロナ
- 「コロナで学童が閉鎖になり、夫婦とも実家から離れているので預けるところがなく、仕事に支障が出た」、
子どもと友だちとの関係性の問題から、保護者同士の横のつながりの問題、学童の問題など、保護者のかた自身が経験したトラブルも少なくないようです。
【2】実際、保護者会・PTAの活動は大変ですか?
円グラフ
小学校以降は、保護者のかたが保護者会やPTAの活動に参加しなくてはならないケースも少なくなく、約3割のかたが負担に感じているようです。
活動を大変だと感じているママパパからは、「活動の頻度や回数が多い」、「夕方の活動が多く、子どもが一人で留守番をすることになってしまう」、「仕事をしている人としていない人とで、時間の感覚が合わず困った」、「活動が平日ばかりなので、仕事を休まなければならないのが負担」、「参加できなかったときに、その後ほかの保護者と顔を合わせづらかった」、「役によって負担が違うし、メンバーにかなり左右される。仕事をしない人や文句を言う人がいるとトラブルになりやすい」といった声が挙げられました。
働いている人にとっては、活動の頻度や回数が多いことはやはり大きな負担になるようです。また、メンバーによっても活動のしやすさが大きく左右されるというリアルな感想もありました。
子どもの家庭学習や習慣づけ、みんなはどんなことをやっている?
これからお子さんの小学校入学を控えた保護者のかたは、わが子の入学後トラブルをなんとか防ぎたいと思っているのではないでしょうか。
そんな後輩ママパパに向け、先輩ママパパたちはどのように子どもの家庭学習や習慣づくりに取り組んだのか、教えていただきました。
習慣
- 「平日の夜はなるべくテレビを付けない(親も見ない)」
- 「机の周りには余計なものを置かないようにして、学習に集中できるようにしている」
- 「リビング勉強するように習慣づけした」、「1年生で習う漢字表をトイレに貼っていたら漢字をどんどん覚えて漢字が大好きになった」、「リビングにひらがなやアルファベットのポスターを貼って、普段から目に触れるようにした」、「図鑑をリビングに置いて、気になったときにすぐ調べられるようにした」
勉強
- 「ストップウォッチを使って勉強時間を計っている」
- 「勉強をしてからしか好きなことをさせない」、「帰ってきたらまず宿題をして、明日の準備までしてしまう」、「明日の支度や宿題など、ルーティーンの内容を紙に書いて貼っておき、帰宅後のルーティーンを習慣づける」
- 「宿題に私がコメント書き入れている。ちょっとした一言が子どものやる気にもつながっているみたい」
- 「本を読むように図書館にたくさん連れて行った」、「図書館で定期的に絵本を借りて、本や文字と触れ合う機会を増やした」
お手伝い
- 「洗濯物をたたむなど簡単で安全な家事をしてもらう」、「お手伝いは決まった仕事を与える」
声掛け
- 「抱きしめて“ママはいつも味方だよ”と伝えている」
- 「とにかく声をかける 毎日の声がけ」、「できたり言えたりしたら褒める」、「褒めて伸ばす!」
勉強や身の回りのことを自分でするよう生活習慣づけをしているというご家庭や、本をたくさん読ませるように心がけているご家庭、簡単な家事を手伝ってもらうというご家庭など、各家庭で保護者のかたの工夫が感じられます。
また、子どもを抱きしめたり寄り添ったりして安心できる時間を作ってあげること、たくさん褒めてあげることも、お子さんが毎日安心して学校へ通えるよう、背中を後押しすることにつながるでしょう。ぜひ、先輩ママパパの体験を参考にしてみてくださいね。
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