親であれば、大切な我が子に「お金の苦労をさせたくない」と思うものでしょう。
誰しもが生まれてから死ぬまで密接に関わる「お金」。
こんな大切な存在にもかかわらず、今まで学校では教えてもらえることはありませんでした。
子どもとお金の話をすることは、お金の大切さを知るだけでなく、今後お金とどう付き合うかを知るためにもとても重要です。
『母が子に伝えたい大切なお金と社会の話』(Gakken)では、今注目のママ金融教育家・櫻井かすみ氏が、「家計」「おこづかい」「貯金と投資」「キャッシュレス」「働くとは?」「お金の正体」といった子どもからの質問にどう答えればいいのかを、丁寧に解説しています。
「金融教育」を受けていない親世代……お金の質問にどう答えますか?
※本記事では、『母が子に伝えたい大切なお金と社会の話』(Gakken)から、一部内容を抜粋してご紹介します。
Q. おこづかいは、いくらがいい?
「おこづかいはいくらが良いでしょうか?」
これはよく聞かれる質問です。
本音を話すと金額はいくらでも良いと考えています。なぜなら、おこづかいは金額が最適かどうかというよりかは、その金額に設定した理由や使い道を通じて、家庭内でお金の話をする機会が増えることが大きな目的であると考えるからです。
よく話しながら金額を決めていただくことで、子どもはお金の価値や管理の仕方を学ぶ貴重な経験を得ることができます。
A. 子どもと一緒に金額を決める
結論、子どもと一緒に金額を決めるとお伝えしています。
子どもの年齢、家庭の経済状況、地域の物価、そして子どもの必要性に応じて親子で話し合って決めていただくことです。
あくまで目安でありますが、以下に子どもの年齢に基づく金額の目安を挙げてみました。少しアレンジした目安、さらに他の目安も載せています。知っておくとヒントになるトピックも盛り込みました。迷った際やお子さんと話し合って決める時に、参考にしてみてください。
★子どもの年齢に基づく金額の目安
①幼児期(5~6歳)
金額の目安:50〜100円前後/回
▪ 「お金を使う体験」を重視。
▪ 渡し方:少額を少しずつ渡し、駄菓子やおもちゃを買う中でお金の基本的な使い方を教える。
②小学校低学年(1~3年生)
金額の目安:100〜500円/月
▪ 小学1〜3年生では、自分で考えて計画的にお金を使う力を育てる時期。
▪ 子どもたち同士で遊ぶ機会が増える。
▪ 参考:例えば「学年×100円」の月額を目安にする。小学2年生なら200円/月というように。
③小学校高学年(4~6年生)
金額の目安:400〜1000円/月
▪ 自分でお金を把握・管理し、欲しいものを計画的に購入する練習を開始。
▪ 習い事などで行動範囲が広がるため、少し多めに渡すことで交際費を含めた使い方を教える。
Q. お金の貸し借りは絶対ダメ! それって、なんで?
お金の貸し借りは親しい友人だとしても、できるだけ避けたほうが良いです。
友だちと良好な関係を続けていきたいのであれば、「お金の貸し借りはしない」は鉄則です。子どもには「なぜダメなのか」をきちんと理解させることが重要です。理解することで、将来発生するかもしれないトラブルを未然に防ぎ、健全なお金との付き合い方を身につけることができます。
A. 友情や人間関係が壊れる可能性がある
お金の貸し借りがダメな理由は、主に下記の5つが挙げられます。
①貸す側・借りる側、どちらもトラブルが起きやすい
● 貸す側の問題
▪ お金を返してもらえない場合、相手との関係が悪化する可能性がある。
▪ 相手に対して「いつ返してもらえるだろうか?」という不安やストレスを抱える。
● 借りる側の問題
▪ お金を返せなかった場合、申し訳なさや負い目を感じてしまう。
▪ 「また借りればいい」という安易な考えが癖になる。
②友情や人間関係が壊れる可能性がある
● お金の貸し借りは、感情的なトラブルを招きやすく、特に友だちや家族との関係を壊す原因になりがち。
③貸し借りのルールが曖昧になりやすい
● 子ども同士で「いつ返すか」「どうやって返すか」といった返済方法・返済期限などをしっかり決めるのは難しいこと。結果として、返済が曖昧になり、トラブルが深刻化するケースがある。
④金銭感覚が歪む可能性がある
● 貸す側:簡単に貸してしまい、自分のお金を大切にしなくなる。
● 借りる側:必要以上にお金を使い、計画性がなくなる。
⑤借りる癖がつくリスク
● 小さい頃から貸し借りを繰り返すと、「困った時は借りればいい」という考え方が習慣化する可能性がある。
Q. ゲーム課金問題。子どもとどう向き合う?
ゲーム課金は楽しみを広げる一方で、計画性の欠如や浪費につながるリスクがあります。
独立行政法人国民生活センターには、子どもが無断でオンラインゲームに課金してしまったという保護者からの相談が多く寄せられています。契約当事者が小学生・中学生・高校生のオンラインゲームに関する2022年度の相談件数は4024件で、契約購入金額の平均は約33万円と高額です。
A. 「お金を使うことの価値」や「計画的に楽しむ方法」を教える
子どもの価値観と親の価値観は、必ず一致するとは限りません。
親が「ダメ!」と言っても子どもは納得しないことが多いと思います。なぜなら子どもは、子どもの価値観や世界で生きて成長していくから。思い通りにはいかないし意見が違って当たり前で、今後考えが変わっていくこともあります。変化は成長の証ともいえるでしょう。
そこで、「お金を使うことの価値」や「計画的に楽しむ方法」を教えることで、子どもはお金とゲームの適切な付き合い方を学べます。親子でゲーム課金について話し合い、楽しいゲーム体験を損なわない範囲で適切に管理することで、子どもが健全な金銭感覚を育む手助けをしていきましょう!
①課金の仕組みを説明する
課金する際は、親の許可を得るなどルールを決めます。そして子どもが、課金の仕組みや現実世界のお金の関係を理解することが大切です。
ゲーム内でアイテムや特典を購入するためにはお金を使いますが、実生活と結びつけて、お金は限られていることを教えましょう。例えば、「おこづかいをもらった時に、全部使ってしまうと次のおこづかいまで使えないよね」という形で、計画的にお金を使うことの大切さを伝えると理解しやすくなります。
②課金前に「本当に必要か」を考えさせる
ゲームの中で何を買うか決める時、本当にそのアイテムが自分にとって必要かを考えることが大切です。こうすることで、「欲しいだけのもの」と「本当に必要なもの」の違いが理解でき、無駄な支出を避ける方法を学べます。子どもに、課金が本当に必要か自問する習慣をつけさせましょう。
③自分のお金で課金させる
親が課金費用を負担するのではなく、子どもが自分のおこづかいの範囲内で課金するようにさせます。自分のお金を使うことで、課金の価値や重みを実感できます。すると、計画性や優先順位を考える力が育つのです。
④予算を設定する
子どもと一緒に課金の上限を決め、予算内で管理させます。一度に大きな額を使うのではなく、小さな額でも楽しむ方法もあることを教えるのです。こうすることで、子どもが自分で予算を立てて、ゲーム課金を楽しむ方法を学べます。
⑤課金以外の楽しみ方を教える
課金しなくてもゲームを楽める方法や工夫を教えます。何かを買う時は、他にどんな選択肢があるのかも考えるようにしましょう。例えば、課金をしてゲーム内のアイテムを手に入れるか、貯めたおこづかいを実生活に使うか、選択肢を比べてみると良いでしょう。
そもそも、課金なしのゲームでも楽しめないか、親子で無課金のゲームを探すのも一つの方法です。
母が子に伝えたい大切なお金と社会の話
一生付き合うことになるお金のことで、大切な我が子には困らせたくないですよね? 最近学校でも金融教育が導入されてその必要性が叫ばれてますが、 授業時間は限られているので、知りたいことを十分に網羅できていないのが現状。 そして、親世代は金融教育を受けてきていないので、親が子どもに何をどう教えてよいのかわからない。 例えば、「お給料はいくら?」「おうちにいくらあるの?」「スマホでピッでなんでも変えるでしょ?」「お小遣いは?」と聞かれたら…? そこで子どもにどう答えればいいのかを、優しく丁寧に解説します。 と同時に、親もお金の理解が一層深まるので、子供のいない大人でも役立つ話が充実しています。/ 櫻井かすみ(著) 定価 1,760円 (税込)
2025幸せお金学教育フォーラム開催!
【未来をどう生きたいのか?~子どもたちにも伝えたい、大切なお金と社会の話】学校では教えてくれない“お金の本質”を語ろう。
今回のイベントでは、
✔ 本当に伝えたい「お金の価値」
✔ 未来を生きる子どもたちに必要な「社会のしくみ」
を中心に、教育・家庭・社会をつなぐ視点で語り合います。
<イベント詳細>
日時:2025年10月26日(日)13:30〜16:00
会場:グランパークカンファレンス田町
(JR田町駅 徒歩5分/地下鉄三田駅 徒歩7分)
対象:保護者・子育て世代・教育関係者(定員300名)
形式:ゲスト対談+質疑応答/その後 懇親会あり(申込者)
後援:Gakken
◆イベント情報ページ/https://ex-pa.jp/item/59405
<タイムスケジュール>
13:10 受付開始
13:30 オープニング
13:40~14:00 スポンサー様
14:00~14:30 VIPスポンサー様
14:30~14:45 休憩
14:45~15:25 田内学様×長倉顕太様×山中恵美子様×櫻井かすみ対談
15:25~15:45 質疑応答
15:50 クロージング
16:00 移動
16:30~18:30懇親会
◆メッセージ
「どう生きるか」を子どもに伝える前に、まず私たち大人が、“お金と社会”への見方をアップデートしませんか。“お金の話をタブーにしない学びの文化”を共に広げていきましょう。
◆お問い合わせ/株式会社トウシナビ事務局
info@toushinabi.com
https://sakuraikasumi.com/
この記事の監修・執筆者
「ファイナンシャルプランナー」「小学校教諭免許状」保有。Voicy パーソナリティ、SNS 総フォローワー3.7 万人。株式会社トウシナビ代表、投資の学び舎スクール経営。
大阪府出身、1児の母、2025 年4月から法政大学大学院地域創造インスティテュート在学。
離婚、無職、貯金ゼロ2回、投資詐欺被害3回などお金に散々振り回されるも、お金の知識を構築し30代で純資産1億円資産形成することに成功。初心者から上級者まで幅広く投資を教えてきており、お金の守り方&増やし方を述べ3000人以上に指導してきている。最近では、親子向けのお金の講演や教育イベント登壇も急増中。
『朝日小学生新聞』『朝日中高生新聞』ニッポン放送、『垣花正あなたとハッピー』、文化放送『田村淳のNEWSCLUB』『立川志の輔落語DEデート』、ラジオ日本『きのうの続きのつづき』、BSテレ東『NIKKEI NEWS NEXT』、東京MX『元気ジャパン』などメディア出演も多数。著書は『母が子に伝えたい大切なお金と社会の話』(Gakken)『投資への不安や抵抗が面白いほど消える本』(Gakken)
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