ランドセル選びの際には、まずはデザインや色に目が行きがち。けれども毎日使うものだからこそ、機能性もしっかり考えてから選びたいもの。ランドセルの機能は、親や子どものニーズ、また学習環境に合わせて、年々進化しています。そこで今回は、ランドセルで人気の4ブランド「フィットちゃん(ハシモト)」「ふわりぃ(協和)」「池田屋」「かるすぽ(イオン)」の機能性に注目。そのこだわりポイントを、3回にわたってご紹介します。
文:松田 明子
「収納力」に注目!
ランドセル選びの第2のチェックポイントは、小学校で必要になるたくさんの教科書や荷物が入るかどうかの「収納力」です。教科書のボリュームアップ、PCやタブレット端末の導入など、年々増加する小学生の荷物に合わせて、ランドセルも大容量化が進んでいます。もちろん、背負いやすさ・軽量かどうかも、合わせてチェックしましょう。
年々増える傾向にある小学生の持ち物
教科書にノート、ドリルにプリント類と、小学生の持ち物は意外と多いもの。近年の学習指導要領の改訂で、教科書のページ数はさらに増えています。また、政府の「GIGAスクール構想※」により、全学年へのパソコンやタブレット端末配布も進んでいます。猛暑やコロナ禍の影響で、大きめの水筒持参も必須に。特に高学年になると荷物はさらに増えます。
たくさんの荷物がランドセルに入りきらず、ランドセルとサブバッグ(手さげ袋など)で通学している子も多いそう。手荷物が増えて両手がふさがると、体への負担になるだけでなく、通学路での安全面も気になるところです。
最近では大容量をうたうランドセルが増え、幅広な「A4フラットファイル」に対応できるものがスタンダードとなりつつあります。従来のものよりも幅広で、容量が大きいことが特徴です。
※2019年12月に文部科学省から発表されたプロジェクト。高速大容量の通信ネットワークを整備し、小・中学校の児童・生徒1人に1台タブレット端末かコンピューターを配布することにより、子どもたちの能力・創造性を育む教育を実現する構想。
小学生のふだんの持ち物例
- 教科書(A4サイズ)
- ノート
- 筆箱
- ドリル、ワークブック
- A4クリアファイル、A4フラットファイル(おたよりやプリント類の管理・保管用)
- 水筒
- 雨具
※曜日や学年によってプラスされる持ち物
- 上履き
- 給食袋
- 体操服
- 鍵盤ハーモニカ
- リコーダー
- 絵の具
- 習字道具
- PC、タブレット端末 など
「A4フラットファイル」って何?
A4クリアファイル(一般的な横幅22cm)は、A4用紙がはさめるプラスチック製の透明なファイル。A4フラットファイルはそれよりも幅広で、横幅23cmが標準。A4用紙に2つ穴を開けて綴じておく、紙製のファイルです。マチがあるのでプリント類をまとめてはさんでおくことができます。A4フラットファイルは、小学校によって使用頻度が違うので、まずは子どもの通う学校の状況を確認することがおすすめです。
大容量をかなえるサイズ感と使いやすさに注目!
ランドセルの「大マチ」(メインポケット)の大きさは、各ブランドで年々サイズアップする傾向があります。教材が少ないときは、余ったスペースに上履きや水筒を入れることができ、手持ちの荷物を減らすことができます。
それに加えて、「小マチ」と呼ばれるサブポケットと、フロント部分にあるファスナーつきのフロントポケットの2つ、という構造が基本。これらのポケットの使い勝手もチェックしましょう。
サブポケットには、教科書やノートは入りませんが、筆箱や図書館で借りた本などを入れるのに便利です。マチ部分がアコーディオンのように伸び縮みして、収納スペースが広がるタイプもあります。
フロントポケットには、ハンカチ・ティッシュや予備のマスクを入れることが多いよう。開口部を大きく開けられる「ラウンド型」の方が、中身を取り出しやすいというメリットがありますが、集金袋など大切なものを入れるときは、深型の「タテ型」の方が落としにくいかもしれません。また、家の鍵を持たせる場合は、ポケットの中に鍵用のフックがついているモデルが便利です。
さらに、小学生へのPC・タブレット端末配布を受けて、ランドセルもタブレット端末に対応したモデルもスタンダードになりつつあります。また、タブレット専用ポケットを設けたモデルも増えています。ただし学校によっては、配布される端末のサイズや使い方・使用頻度が異なります。持ち帰らず、学校で保管する場合も。まずは子どもが通う小学校のルールを確認してみましょう。
フィットちゃん
メインポケットの容量は、A4版のノートが約20冊分。サブポケットは、分厚い筆箱も入るサイズ。全商品の底板に衝撃緩和材が入っているので、タブレットなどのデジタル端末への衝撃を和らげます。
※全モデルA4フラットファイル対応サイズ
ふわりぃ
サブポケットが最大約5cm伸びて、たくさんの荷物を入れることができる「のびーるポケット」(モデル別機能)。サブポケットに上履きや筆箱などがまとめて入れられます。
※全モデルA4フラットファイル&PC・タブレット対応サイズ
左右に大きく開き、小物を出し入れしやすい「ワイドポケット」(モデル別機能)。ポケット内には、鍵を取りつけられるDカン、または小ナスカンがついています(共通機能)。
タブレット収納ポケットがついたモデル「タブイン」。ポケット内部にウレタンクッションつき。
池田屋ランドセル
池田屋ランドセルの内寸は横幅23.3cm、高さ31.2㎝、総マチ幅は最大で16.7㎝。12.2㎝の大マチと4.5cmまで広がる小マチを活用すれば、通常ならサブバッグで持っていく体操着や上靴、水筒もスッキリ収納できます。A4フラットファイルはもちろん、PC・タブレットも対応。マチ幅の調整も簡単です。
フロントには、封筒(集金袋など)がすっぽり入る深マチのファスナーポケット。鍵や定期入れなどの貴重品は内側のキーループにキーホルダーを付けてつないでおけば紛失の心配もありません。※キーホルダーは付属しません。
かるすぽ
※2022年入学モデル
かるすぽシリーズは大容量が基本で、すべてのモデルが総マチ(大マチ+小マチ)15cm以上。中でも大マチ13.0~13.5cmと大容量なのが「ミラクルin」シリーズ。
※「かるすぽ」は全モデルA4フラットファイル対応
※2022年入学モデル
小マチが3cmから8cmに大きく伸びる「みらいポケット」シリーズ。荷物の量に合わせて、ランドセルのサイズを自由に調節できます。
※2022年入学モデル
荷物が少ない日は専用仕切りの「しわけジョーズ®」を装着。荷物がガタガタ動きにくくなり、重いものを背中側にまとめることもできて負担が軽減されます。「かるすぽ」全シリーズに搭載。
※タブレットケースは着脱可能
「みらいポケット」シリーズには、着脱可能なタブレットケースつき軽量モデルも。面ファスナーでランドセル内部にしっかり固定できます。取り外すと通常のランドセルとして使用可能。
通学に欠かせないアイテムが取りつけられるかどうかもチェック!
この他、ナスカン(側面の荷物を下げる金具)や、防犯ブザーを下げるフックについても、確認しておきましょう。
ナスカンの主な用途は、軽くて小さい袋などを下げること。子どもの頃、ナスカンのバネが固く、荷物が引っかけづらくて苦心したママパパも多いのでは? 近年のフックは、各ブランドで形状にもこだわりがあり、子どもでも簡単に着脱できるものが多くなっています。使い勝手を考え、ランドセル側面の左右両サイドにナスカンがついているモデルもあります。
加えて、肩ひもにある、防犯ブザーフックの位置もチェック。右利き仕様で片側にしかついていない場合は、左利きの子が使いにくいこともあるので注意しましょう。近年は、肩ひもの両側についているモデルが多数派です。フックのつけ外しが可能なタイプもあります。
フィットちゃん
全モデルの左右の肩ベルトに防犯ブザーフックつき。
ふわりぃ
全モデルの肩ベルトに、防犯ブザーなどの取りつけに便利な「肩ひも防犯フック」付き。利き手に合わせて左右両方のベルトに付いているモデルも。
池田屋ランドセル
バネが固くてヒモを外せない…、という子どもたちの悩みを解決したのが、フックの先端にV字の切れ込みが入った独自開発の「池田屋フック」。袋を掛けるときも、外すときも、フックにヒモを掛けて下に引くだけ。1年生から片手で簡単に着脱できます。
付けるのも、外すのも簡単な池田屋の「防犯ブザーフック」。肩ベルトの穴の好きな位置に装着できので、利き手や成長に合わせてブザーはいつもベストポジション。付属のフックは2個。ブザーを使わなくなったらフックを外してスッキリ使用できます。
かるすぽ
全モデルの肩ベルトに防犯ブザー取り付けフック付き。利き手に合わせて左右両方のベルトに付いているモデルも
その他、確認しておきたい機能は?
「収納」に関する機能面で確認しておきたい部分としては、「ロック」(ランドセルのふたの部分である“かぶせ”を留める金具)と、「持ち手」(背あての上部にある取っ手)があります。
ロックは、かぶせを閉めるときに錠前を金具に当てて押すだけで施錠できる「ワンタッチ錠前」が主流。また、持ち手は、持ち運びやロッカーの出し入れに便利であるため、現在では標準でついているモデルがほとんどです。
ブランド紹介
●フィットちゃん
https://www.fit-chan.com/
ランドセル国内製造販売本数No.1ブランド。ランドセルの形状がくっきり浮かび上がる反射材「安ピカッ®︎」や、肩ベルトの厚みを増して肩への負担を軽減した「楽ッション®」など、安全性や背負いやすさへの機能も充実。デザインも豊富で、190種50色の中から選べる。
●ふわりぃ
https://fuwarii.com/
早くから軽くて丈夫なランドセルの研究開発を行い、クラリーノ®をランドセル素材に初めて採用。キューブ型の「コンパクトワイド」は、軽量ながらもA4フラットファイル&タブレットPC対応の大容量。子どもの楽しい学校生活を応援したいという想いから、カブセ(ランドセルのふた)部分が替えられる「きせかえランドセル」や、3年生の多感な時期に合わせて届く「未来へつなぐタイムレター」などのきめ細やかなサービスも。
●池田屋ランドセル
https://www.pikachan.com/
1950年創業。耐久性や防水性にこだわった自社開発の革素材と、6年間飽きずに使えるシンプルなデザインが人気。ランドセルは全モデル、パーツによって牛革と人工皮革を使い分ける「ハイブリッド構造」。どれを選んでも機能と性能は変わらず、使い勝手も同じ。牛革か人工皮革かというメインの素材によって、重さと価格が違うだけなので、子どもが好きな色のランドセルを自由に選ぶことができる。
●かるすぽ
https://www.aeonretail.jp/kidsschool/
イオンのオリジナルブランドのひとつ。「かるがる背おえて、すっぽり入る!」ことをコンセプトに背負いやすさと収納力を追求。小マチが8cmまで伸びる「みらいポケット」などの大容量モデルが人気。本体やスティッチの色などを24種類から選べる「はなまるランドセル24」のほか、本体やかぶせの色・デザインを自由に選ぶことで、最大269万通り※の組み合わせにカスタマイズできるランドセルも。色やデザイン選びの自由さも魅力。
※2022年度入学モデルの場合
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