子どもに食べさせるごはんは、できるだけシンプルで安心なものを選びたいですよね。
でも、毎日忙しい中で、手の込んだ料理を作るのはなかなか大変…。 そんなパパやママに届けたいのが、「子どもの味覚を育てるレシピ」です。
使う調味料は塩だけ。それでも、素材のうまみをしっかり引き出せば、子どもが思わず笑顔になるような、やさしくておいしいごはんが作れます。
今回は、上田淳子さんの著書『シンプル塩味のおいしいレシピ 最小限の調味が素材を生かす』から、塩の力を活かした、簡単で栄養たっぷりのレシピを厳選。
子どもはもちろん、大人も一緒に楽しめる、やさしい味わいの3品をご紹介します。
味つけは塩だけでいい

スーパーにはたくさんの調味料が溢れています。めんつゆやドレッシングをはじめとしたこれらの調味料は、味が一発で決まるので便利ではあるけれど、味が強いためにどんな素材も同じ味になりがち。
せっかくの素材の味が感じられないのはもったいないな~と思うのです。
料理の味の要は、塩味です。塩は健康面で悪者扱いされることも多いですが、それは量の問題であって塩を使うこと自体が悪いのではありません。
塩には素材の味を引き出す力もあります。塩によって素材そのものの甘みやうまみがぐっと引き立つため、調味料の味に頼ることなく、素材本来のおいしさを楽しめるのです。
そこで、私の出した結論がこれです。「味つけは、塩だけでいい!」。
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塩を使いこなせば、素材1つ1つが調味料になる
人間がおいしいと感じる塩分量は、1%弱といわれています。これは人間の血液の塩分量と同じなのだとか。
基本の塩分量を知ることは、料理を作る上での指標になります。
そこでこの本では、ゆくゆくはレシピなしでも作れるようになってほしいとの考えから、食材別、調理法別に塩の量と使い方(ふり方やタイミング)をわかりやすく紹介しています。
味つけが塩だけではどれも同じ味になるのでは? との心配はご無用です。
塩は素材の持つ個性を際立ててくれるので、素材1つ1つが調味料になり、味わいが変わります。スパイスやハーブ、酢や油をプラスすれば、風味やコクのアクセントもつきます。塩を上手に使いこなせばバリエー ション豊富な料理を楽しむことができるのです。
さらには、使いきれない調味料がキッチンを占領することもなくなる。味つけを塩だけにすると、いいことばかりなんです。
塩の使い分け3タイプ
世の中にはたくさんの塩が出回っています。
それぞれ特徴があり、いろいろな塩を使ってみるのはもちろん楽しいですが、まずは自分の中の基準を決めると、味が決まりやすくなります。
①塩味をしっかりつけたいときの基本の塩
肉や魚に下味をつける、野菜をゆでるときに湯に加えるなど、しっかり塩味をつけたいときには、湿っている白い塩=手頃な天日塩がおすすめ。
私の場合は、伯方の塩®を使用しています。まず、揃えたいのがこのタイプの塩。
ちなみに、塩小さじ1=5gです。
②全体を包み込むように、やんわりと塩味をつけたいときの塩
スープやサラダのドレッシングなどやわらかい塩味をつけたいときは、甘みとうまみがあり、塩味にカドがなく、まろやかな口当たりの塩がおすすめ。
私の場合は、広島の藻塩を使用。仕上げにほんの少しだけ塩味を足したいときにも。
③食卓で足すときの塩
料理のメリハリが足らずにテーブルでプラスするときには、大粒の塩がいいでしょう。ゲランド塩など、味に深みがあり、やわらかく溶ける塩がおすすめ。
ただし、②と使い分けなくてもよく、どちらか1つだけを揃えるのもありです。
塩だけで簡単!子どもに食べさせたい簡単レシピ3選
①手羽中の磯辺揚げ
手づかみでパクリと食べたい手羽中を使って。
青のり入り衣の磯の香りが塩味とマッチします。
さつまいもも一緒に揚げるとおいしさ2倍で得した気分。
●材料(2人分)
手羽中(チキンスペアリブ)…12本(350g・正味300g)
塩…小さじ1/2弱(約2.4g・肉の1%弱)
さつまいも…小1本(100g)
小麦粉…適量
A
青のり…大さじ2
小麦粉…大さじ3
水…大さじ4
揚げ油…適量
●作り方
① さつまいもは皮つきのまま1cm厚さに切る。手羽中に塩をすり込む。Aは混ぜる。
② 揚げ油を中温(170℃)に熱し、さつまいもを入れて素揚げにし、油をきり、器に盛る。
③ 手羽中に小麦粉を薄くまぶし、Aをからめ、揚げ油に半量を入れる。1分ほど揚げ、いったん取り出す。残りの手羽中も同様に揚げる。最初に揚げた手羽中を再び揚げ油に入れ、転がしながらさらに2分ほど揚げ、カリッとさせて油をきる。残り半量も同様に揚げ、②の器に盛る。
手羽中には小麦粉を薄くまぶしてから、青のり入りの衣をたっぷりとからめる。
②えびとマッシュルームのピラフ
えびとマッシュルームを炒めてうまみを引き出し、米に吸わせるようにして作ります。バターが決め手!
●材料(2~3人分)
米…2合(360mL)
えび…中10尾(200g・正味150g)
マッシュルーム …1パック(100g)
玉ねぎ…1/4個(50g)
バター …大さじ1と1/2
A
水…2合(360mL)
塩…小さじ2/3
こしょう …少量
ローリエ …1枚
●作り方
① 米は洗い、ざるに上げて30分ほどおき、水けをとばす。
② えびは殻をむいて尾と背ワタを取り、片栗粉小さじ1、少量の水(各分量外)でもみ洗いし、洗って水けをふく。マッシュルームは石づきを落とし、8mm幅に切る。玉ねぎはみじん切りにする。
③ フライパンにバターを入れて弱火にかけ、溶けてぶくぶく泡立ってきたら玉ねぎ、えびを加え、中火で焦がさないように1~2分炒める。①を加え、全体にバターがなじむまで1分ほど炒め、マッシュルームを加えてさっと炒める。
④ ③にAを加えて強火にし、煮立ったらひと混ぜし、ふたをして弱火で10分炊く。米がふっくらしたら強火で10秒ほど加熱して水分をとばし、火を止める。10分ほど蒸らし、全体を混ぜる。
③にんじんのポタージュ
自然な甘みのカロテンたっぷりスープ。米でやさしいとろみをつけます。
●材料(2~3人分)
にんじん…200g
玉ねぎ…1/2個(100g)
セロリ …50g
米…大さじ1/2
サラダ油 …小さじ1
昆布だし…250mL
牛乳…150mL
バター …5g
塩…小さじ1/2強 (3g)
こしょう …少量
クミンシード(好みで)…適量
●作り方
① にんじんは 8mm幅の半月切りにする。玉ねぎ、セロリは薄切りにする。
② 鍋にサラダ油、①を入れて中火で炒め、全体に油が回ったら水カップ1/2(分量外)を加え、ふたをして弱火で焦がさないように10分ほど蒸し煮にする。
③ 昆布だし、米(洗わない)を加え、煮立ったらアクを取り、ふたをしないで弱火で10分 ほど煮る。牛乳、バターを加え、ハンドブレンダーなどでなめらかにかくはんし、塩、こしょうで味を調える。器に盛り、好みでクミンシードを散らす。
シンプル塩味のおいしいレシピ
最小限の調味が素材を生かす
今回ご紹介した3品は、上田淳子さんの著書『シンプル塩味のおいしいレシピ 最小限の調味が素材を生かす』から厳選したものです。 本書では、塩の使い方を食材や調理法ごとに丁寧に解説しており、レシピを見なくても味が決まる感覚が自然と身につきます。
「子どもに安心して食べさせたい」「素材の味を大切にしたい」——そんな想いを持つパパやママに、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
料理研究家。神戸市生まれ。辻学園調理技術専門学校(現在の辻学園調理・製菓専門学校)卒業後、同校の西洋料理研究職員を経て渡欧。スイスのホテルやべッカライ(パン屋)、フランスではミシュランの星つきレストラン、シャルキュトリー(ハム・ソーセージ専門店)などで約3年間料理修業を積む。帰国後、シェフパティシエを経て、料理研究家として独立。自宅で料理教室を主宰するほか、雑誌やテレビ、広告などで活躍。確かな技術とわかりやすい教え方に定評がある。
シンプル塩味のおいしいレシピ 最小限の調味が素材を生かす
【主なコンテンツ】
★最初に覚えておきたいこと★
■塩味の基本は1%弱。血液と同じくらいの塩分を、人はおいしいと感じます
■塩にいい塩も悪い塩もない。自分の基準の塩を決めよう
■塩味を豊かにする相棒は、酸味、油分、香り、うまみ
1:どんな肉料理も、肉には1%弱の塩をすり込む
・鶏むね肉のレモンバターソテー
・豚肩ロース肉のステーキ きのこソース ほか
2:魚は多めの塩をふり、1%弱の塩が残るよう洗い流す
・ぶりの黒酢煮
・たらのパセリフライ ほか
3:水っぽくなりがちな野菜炒めは、塩油で炒める
・小松菜のしょうが炒め
・パプリカの塩にんにく炒め ほか
4:あえものの野菜は、塩をしっかり入れた湯でゆでる
・アスパラガスの塩オリーブ油あえ、しらすのせ
・もやしとにらのナムル ほか
5:生野菜サラダのドレッシングの黄金比は塩小さじ1/4、酢大さじ1、油大さじ2
・きゅうりとミントのサラダ
・蒸しなすのサラダ ほか
6:2%の塩で野菜をもめば、浅漬けになる
7:炊き込みご飯は、米1合につき小さじ1/3の塩を加える
・鶏肉とれんこんの塩だし炊き込みご飯
・ビリヤニ風炊き込みご飯 ほか
8:汁物は0.5%強の塩で味をつける
・ペイザンヌスープ
・玉ねぎと豆腐のすり流し ほか
この記事の監修・執筆者
神戸市生まれ。辻学園調理技術専門学校(現在の辻学園調理・製菓専門学校)卒業後、同校の西洋料理研究職員を経て渡欧。スイスのホテルやべッカライ(パン屋)、フランスではミシュランの星つきレストラン、シャルキュトリー(ハム・ソーセージ専門店)などで約3年間料理修業を積む。帰国後、シェフパティシエを経て、料理研究家として独立。自宅で料理教室を主宰するほか、雑誌やテレビ、広告などで活躍。確かな技術とわかりやすい教え方に定評がある。近著に『シンプル塩味のおいしいレシピ最小限の調味が素材を生かす』(Gakken)がある。
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