お子さんに「学校に行きたくない…」と言われたらどうしますか?
突然そのように言われたときに、どう返事をしたらいいかわからない保護者のかたは多いのではないでしょうか。
「どうして行きたくないの?」「がんばって行ってきなさい」
問い詰めるような言い方をしてしまったり、責めるようなことばを使ってしまったりすることもあるでしょう。
お子さんの「学校に行きたくない」には、いろいろな理由があると思います。そのため、誰にでも合う「正解の答え」はないのかもしれません。
ただ、「どのように返事をすれば、子どもは安心できるのか」という対応の方法をあらかじめ知っておけば、とっさのときでもお子さんに寄り添ったことばをかけてあげられるのではないでしょうか。
文/マムズラボ
不登校がふえている現状と原因とは?
文部科学省の「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」によると、2012(平成24)年に21,243人いた小学生の不登校児童は、2020(令和2)年の63,350人まで、8年連続でふえ続けています。
1.知りたいことを自分で調べられる時代になってきている
乳幼児・児童を対象にした指導法・キッズコーチング資格の監修・認定を行っている「一般財団法人日本キッズコーチング協会」によると、不登校児童数の増加は「選択肢の多さ」に理由があるのではないかと考えているそうです。
学校に行かなくてもインターネットで学習でき、知りたいことを自分で調べられます。また、学校以外のコミュニティーも、SNSなどでかんたんに広げられる時代です。インターネットを使えば、学校の授業以上の魅力的な刺激が受けられることに子どもたちが気づいた、というのも「学校に行かない」という選択をする子どもがふえた理由のようです。
2.新型コロナによる影響
また、コロナ禍による影響も大きいでしょう。新型コロナウイルスの感染拡大によって、「学校に行かない」という選択肢があることを知ったことも理由のひとつです。
マスク生活や給食の時間の黙食、楽しみにしていた学校行事の自粛など、今まで普通に送れていた学校生活が送れなくなったことで、学校に行けなくなってしまったという子どももいると言います。
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子どもが不登校の場合の対処法
前述の文部科学省の「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」によれば、小学生の不登校の原因でいちばん多いのは「無気力、不安」で46.3%。次に多いのは「親子の関わり方」で14.6%、「生活リズムの乱れ、あそび、非行」が14.0%、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が6.7%、次いで「家庭の生活環境の急激な変化」の3.8%、「学業の不振」の3.2%があげられています。
続いては、我が子が不登校になった場合の対処法をご紹介します。
不登校になる理由がはっきりしている場合
これらの理由のうち、学校に行きたくない原因がはっきりしている場合は、「行きたくない」という気持ちに保護者のかたがしっかり寄り添うことが大切です。「学校の授業に遅れるかも」などと心配する気持ちはわかりますが、まずは「行きたくない」という気持ちをまるごと受け止め、お子さんを安心させてあげましょう。
また、突然言い出したように思える「行きたくない」にも、お子さんなりのサインがかくされている場合もあります。
筆者の長女は、小学2年生のときに登校班で仲間外れにされた時期があったようで「登校班の集合場所までついてきてほしい」と言われたことがあります。しっかりものの長女がこんなことを言うのだから、何かあるのかもしれないと思い、しばらくいっしょに集合場所まで付き添うことにしました。すると、そのうち長女に「仲間外れにされることがある」と打ち明けられ、「それはしんどかったね」と声をかけ、学校に相談することで解決したことがあります。
本音を言うと、「もう2年生なのに」とか「弟たちの世話で、お母さんも朝は忙しいんだけど」という気持ちもありました。ただ、長女の親を頼る気持ちに寄り添い、子どもの気持ちを否定せずにいられたことで、問題を長引かせず不登校にならずにすんだかな、と感じました。
不登校になる理由がわからない場合
学校に行きたくない理由はさまざまで、お子さん自身も「どうして学校に行きたくないか、はっきり説明できない」というケースもあります。不登校の原因でいちばん多かった「無気力」や「不安」なども、はっきりした理由がわからないものと言えるでしょう。
「一般財団法人日本キッズコーチング協会」によると、このケースは、生活リズムを見直して、自律神経を整えることから始めるのがよいそうです。起床時間を一定にし、しっかり朝食を食べて体を動かすことで、ホルモンバランスが整う可能性があります。
筆者の長男はこのパターンでした。
小学1年生の夏休み期間中に、生活のリズムが崩れたのがよくなかったのかもしれません。
休み明けに突然「学校に行きたくない!」と泣き出してしまったのです。理由を聞いてもただ「学校が怖い」「心配」「不安」と言うだけではっきりした理由は本人にもわからないよう。
しかも先生には「学校では楽しく過ごしているんですよ」と言われ…。結局、先生に学校の昇降口まで迎えに来てもらうなどの協力をしてもらいながら登校に付き添っているうちに、自然と「今日から登校班で行ってみる」と、自分から学校に行けるようになりました。
「泣くぐらいなら休ませたほうがいいのかな」「でも、学校で楽しく過ごしているみたいだし」と、いろいろな葛藤があり、今でも何が正解だったのかはわかりません。ただ、子どものしんどい気持ちを否定せずに寄り添い続けたことで、長男も気持ちの切り替えが上手にできるようになったのかな、と感じています。
まずは子どもの「行きたくない」を理解しよう
「一般財団法人 日本キッズコーチング協会」では、不登校の子どもの「学校に行きたくない」と「学校へ行くものだ」という2つの相反する気持ちで「ダブルバインド」という精神状態に陥ることを心配しています。
「ダブルバインド」とは、「二重拘束」という意味です。
2つの矛盾したメッセージの間に挟まれて、強いストレスを感じるコミュニケーションのことを言います。「家にいたいけれど、親の不安を感じて家がつらい」という気持ちなどから、感情が混乱して身動きが取れなくなり、ますます学校に行きづらくなるそうです。
「学校に行きたくない」と言われたときに、「学校へ行きなさい」ではなく、「そう、行きたくないのね」と気持ちを受け入れ、理解してあげるだけで、お子さんは満足して学校に行ける場合もあります。また、お子さんに学校への行き渋りが見られたら、早めに学校に相談してみましょう。
「学校に行きなさい」「学校には行くべきだ」と決めつけず、保護者と学校が「どうやったら学校に行けるか」ということを、お子さんといっしょに考えてみることが大切です。
<監修>
一般財団法人日本キッズコーチング協会
http://www.jakc.or.jp/
<参照>
PR TIMES 「『学校へ行きたくないのね』 ただその言葉で子どもの気持ちが楽になる?」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000102310.html
<出典>
文部科学省「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
https://www.mext.go.jp/content/20201015-mext_jidou02-100002753_01.pdf
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