小学校入学は、子ども自身の環境の変化だけでなく、保護者の生活が大きく変わるタイミングでもあります。多くの共働き家庭・ひとり親家庭が直面する「小1の壁」を、先輩家庭はどのように乗り越えたのでしょうか。
前回の記事では、入学準備や、春に起こりがちな「小1の壁」問題についてご紹介しました。
後編の今回は、夏・秋・冬の「壁」や、対策のしかたについてお伝えします。
文/おけいこラボ編集部
1 ~夏の陣~初めての長期休暇。仕事の休み方と宿題、毎日のお弁当!
保育園に通っていた子どもたちにとっては、初めての長期休暇。
学童によっては、給食やお弁当を注文できるところもあるようですが、家庭でお弁当を用意していくケースが大多数です。
また、宿題の進め方や、仕事の休みをどのようにとるかで悩まれた家庭もあったそうです。
学校・生活編
■1学期の疲れがあるのに加えて、友だちとのトラブルなどが続き、夏休み前にしばらく学校を休みました。
担任が親身になって電話で相談に乗ってくれたり、放課後に少しだけ学校に行かせてもらったりしたおかげで、うまく夏休みに入ることができました。
たまたま下の子の育休中でしたが、親の余裕や、学校側のサポートが大切だと思った出来事でした。
■時計の読み方がまだ危うい頃なので、子ども同士の約束は時間が正しいかが不安。
連絡先を知っている場合は、保護者が代わりに連絡を取り合ったりしました。
■夏休みの宿題のスケジュールの組み方に悩みました。
量が多く、スケジュール通りに宿題を進めるのが大変でした。
■家で仕事をしていたので、夏休みは毎日子どもと一緒。
お昼を準備しなければというプレッシャーで、仕事に集中しづらかったです。
■学童で宿題の時間はありますが、その時間に子どもが宿題をしてこなかった……。仕事から帰ってきてから見るのがしんどかったです。
毎日少しずつ進めるのがいいのかもしれませんが、週末に少し多めに時間をとるなど、家庭に合わせた宿題の進め方を考えるのもよいかもしれません。
■日が長い分、まだ遊びたいと言うようになりました。
保護者もずっとはついていられないので、帰る時間や、1人になったらすぐに帰るなど、約束事を決めて遊ばせました。
学童編
■夏休みの学童のスタートが遅いため、この期間は出勤時間をずらしてもらっていました。
調整できない家庭では、出発時間まで1人で留守番をする子や、保護者と一緒に家を出て早めに着いてしまい、学童の前で待っている子もいたようです。
■学校のプールがある日は、「プール→学童」というルーティーンでした。
荷物置きの教室にクーラーがないため、学童組はお弁当が傷まないかが心配でした。
保冷材や小さいゼリー、凍らせた缶詰めのみかんなどが役立ちました。
■通勤中の電車で他の親子が楽しそうに出かけている様子を見かけると、お盆以外では子どもにそのような体験をさせる時間がないので、寂しく申し訳なく思う時がありました。
でも、保育園でも夏休みがなかったためか、学童自体が楽しかったおかげか、子どもは毎日機嫌よく通ってくれて助かりました。
■夫と休みを分けるなどして、週に2回ほどは遊びに行ったり家でのんびりしたりする日を意識して作っていました。
子ども自身は友だちと遊びたいようで、学年が上がるとだんだんと、そんな日も減っていきました。
保護者の夏季休暇をママ・パパで分けて取得したり、遠出したりできる状況であれば、思い切って遠方の祖父母にしばらく預けたり、逆に来てもらったりするのも、ひとつの手かもしれませんね。
2 ~秋の陣~保護者参加の学校行事。慣れてきた頃の友だちトラブル
運動会や発表会など、行事が多いこの時期。
勉強の難易度が上がって、よりフォローが必要になる場合もあるかもしれません。
学校・生活編
■宿題が増えてきて、時間がかかりました……。
学童後に寝る準備まで済ませて、9時ごろから宿題を始めて、寝るのが11時なんていう日も。毎日なんとか励ましたり、なだめすかしたりしてやらせるのが大変でした。
■保護者会、運動会などの行事が多く、仕事との調整が一番必要な時期でした!
■慣れた頃ということもあり、友だちとのちょっとしたいざこざが増えました。
■1学期とは遊ぶ友だちが変わったり増えたりして、なかなか覚えられませんでした。
行事のついでに挨拶するなどして、なるべく遊ぶ子の保護者と顔を合わせるようにしていました。
学童編
■夏休みの生活リズムに慣れていたためか、学校が始まって、学童に行きたくないと行きしぶりがありました。
仕事を持ち帰らせてもらうなどして、少し休ませました。
■学童での発表会や展示会が秋にありました。
学童員さんと関わる機会なので行くようにしていました。
保護者の参加行事が多く、仕事との両立が大変という声がありました。
ただ、せっかく参加するのであれば、子どもの友だちや他の保護者をここで今一度、しっかりと把握するチャンスと捉えるとよさそうです。
3 ~冬の陣~約束の再確認が必要
冬を迎える頃には、そろそろ新しい生活に子どもも保護者も慣れてくるでしょう。
先輩家庭からの声には、大きな心配事からは解放されたという回答もありました。
ただ、日が短くなり、感染症もはやり出すこの時期、子どもとの約束事をもう一度確認しておくのが大切なようです。
学校・生活編
■学校の水場が冷たくて手をきちんと洗えておらず、感染症の心配がありました。
■近くの公園などへ1人で遊びに出かけることにも慣れ、友だちと公園でお菓子を食べたいと言うようになりました。
友だちとの金銭感覚の違いや、各家庭の考え方なども垣間見えて難しい部分もありましたが、徐々に子どもなりに周りを見て判断するようになりました。
学童編
■帰る時間には真っ暗だったので、相変わらず学童には迎えに行っていました。
■仕事が長引いて、子どもの帰宅に間に合わないことがありました。
学童に連絡して、1時間ほど1人で留守番をさせました。口を酸っぱくして言い聞かせていた約束が、【家に入る時に周りに人がいないか気をつけること、必ずカギをかけること、誰が来ても開けないこと】。
ドキドキしながら急いで帰ると、ちゃんとカギを閉めて留守番していました。
でもやはり怖かったようで、いつもはしないのに、お弁当箱を洗って待っていました。
「慣れてくる=子どもの成長」でもあります。
不安材料がひとつ減って子どもが成長したことを喜びつつ、普段からしっかり約束事を決めておくこと、定期的に約束事を一緒に見直すことが大事ですね。
4 「小1の壁」の対策4選
ここまで、季節ごとの「壁」について紹介してきました。
ひと山越えて、またひと山……と、新たな壁が出てくることに驚いたり気が重くなったりされたかたもいるかもしれませんが、季節を経るごとに、少しずつ子どもができることが増え、先輩家庭の悩みは減っていったようです。
避けては通れない「小1の壁」ですが、うまく付き合い、乗り越えるための4つの対策を、改めてまとめます。
働き方を見直す
働き方について、短時間勤務、部署異動、契約内容の見直し、転職など、考えられる選択肢を、家族で一度洗い出してみましょう。
職場によっては、テレワークやフレックス制度を活用する手段もあります。
学童の待機児童が多い地域であれば、思い切って引っ越す、学年を重ねても入れる可能性が低いのであれば仕事を変えるなど、少し先のことを考慮しながら検討してもよいでしょう。
学童・民間サービスの利用
学校と連携している学童だけでなく、民間で運営している学童もチェックしましょう。
学校から距離があったり、利用料が少し高かったりすることもありますが、その分、預かり時間の調整が利いたり、送迎が付いたりするなどの条件を選べることも。
お子さんとの相性もありますので、見学に行ってみたり、利用している先輩の話を聞いたりできるとよいですね。
学童以外には、地域のファミリーサポートや、シルバーセンター、小学生対応のベビーシッターサービスを利用することも可能です。
周囲の家庭、実家・義実家と助け合う
同学年や学年の近い子どもがいる家庭同士で協力して、子どもを預かり合うことも一案です。
この場合、お互いに対する気遣いや、関係性を大切にしましょう。
預かってもらうことが多い場合は、代わりに土日にお子さんを預かったり、一緒に出かけたりして、どちらかに負担をかけないように気を付けているという先輩家庭の声もありました。
緊急時に声をかけ合える家庭があると思うだけで、安心感も違いますね。
また、距離や関係性にもよりますが、実家・義実家を頼ることも視野に入れてみましょう。
家族間での協力、家事の見直し
働き方を家族で見直すことと合わせて、家事を改めて振り返ってみましょう。
家事分担の見直しやスマート家電の導入など、新たな選択肢が見えてくるかもしれません。
5 先輩家庭から皆さんへのエール
さて最後に、これから子どもの小学校入学を控える皆さんに向けて、先輩家庭からメッセージをいただきました。
■夏休みまでは慣れないことも多くて何かと忙しくなりますが、周り(家族・学童・ママ友・職場)のサポートを得ながら、ママ友や家族にグチを言うなどしてストレスを発散してください。
卒園後も保育園に遊びに行くなど、お子さんの心のケアをするのもいいかもしれません。
■子どもから聞く話だけでは、どこまでが事実かはっきりしないこともまだたくさんあるので、色々と教えてくれるママ友の存在は大事。
行事や持ち物、クラスの様子や友だちのことなど、気軽に聞ける人がいると心強いです。
■会社との調整がスムーズにできるよう、日頃から小学校の子どもの様子を職場で話しておく、休日出社で挽回するなどしていました。
仕事がギスギスすると家庭もうまく回らないので、ほどほどに、健康第一で過ごしてください。
■1年生の最初の学校公開で、「あ、うちの子はぼんやりしている!」とわかったので、あまり変に期待をせず、こういうタイプなんだなーと知っておくのもよいかも。
保護者側が高い壁に感じなくても、大丈夫!
■今、子どもは5年生になりました。コロナもあったため、4年生で民間の学童をやめてみたのですが、やっと安心して留守番をさせられるようになりました。
ずっと1人にするのが心配でしかたがなかったけれど、10歳を過ぎればなんとかなります!
■「どうしよう」ということが起こったら、即、家族に相談。1人で抱え込まないで、何かあったら家族と共有しましょう~!
自分だけ困ってつらくなるのではなく、夫にも一緒に困ってもらうと気持ちが楽になりますよ。
半分押し付けるぐらいの気持ちで!
■学童ばかりで休みにどこか連れていってやらなくてはと思うこともありましたが、子どもは結構楽しんでいるようです。
学童では歌を披露したり、製作物などが飾ってあったりするミニ発表会を催してくれたり、育てた野菜を使ったカレーが出たりといったイベントもあったみたいです。
あと学童の子はみんな一輪車に乗れたり、学童にあるマンガには詳しかったり。学童に通っていない子にはない経験だと思います!
ぜひ、これからの心構えや我が家の対策の参考にしてみてください。
こそだてまっぷから
人気の記事がLINEに届く♪