宇宙を身近に感じよう!【ISSきぼう】の見つけ方

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宇宙を身近に感じよう!【ISSきぼう】の見つけ方

このところ、日本の民間人初の前澤友作さんの宇宙旅行や、13年ぶりのJAXAの宇宙飛行士募集は年齢・学歴不問……など、2021年から宇宙がより近く思えるような話題が続いています。

誰もが気軽に宇宙に行ける日はまだ遠いかもしれませんが、壮大な宇宙を身近に感じるオススメの方法があります。それは、夜空に浮かぶ「国際宇宙ステーション(ISS)」を観測すること。

夜空にISSを見つけて「あそこで人が活動している!」と実感することは、子どもたちの宇宙への好奇心を広げるだけでなく、自分の生活が宇宙とつながっていることを実感するきっかけにもなるでしょう。

文/こそだてまっぷ編集部

目次

見る前に知っておきたい、ISSって何?

ISSは宇宙の研究所!

国際宇宙ステーション(International Space Station)、略称ISSは、アメリカをはじめロシア、カナダ、ヨーロッパ、日本など世界15カ国が参加して建設した“滞在型人工衛星”です。

1998年から40回以上の打ち上げを経て、各パーツが組み立てられ、2011年に完成しました。その目的は“宇宙研究所”。各国の宇宙飛行士がそれぞれ長期間にわたり宇宙に滞在し、地球や天体を観測したり、宇宙環境を利用したさまざまな実験を行ったりする場としてつくられました。

ISSの大きさは108.5m×72.8m。サッカー場ひとつ分に相当する研究所が宇宙に浮かんでいるのです。居住棟、4つの実験棟、両脇に翼のように取り付けられたソーラーパネルなどで構成され、実験棟はアメリカ、ロシア、ヨーロッパ、日本が保有しています。その日本実験棟は「きぼう」と名付けられました。

日本の実験棟は「きぼう」

「きぼう」は2007~09年に、3回に分けてスペースシャトルで部品が打ち上げられ、土井隆雄さん、星出彰彦さん、若田光一さんの3人の宇宙飛行士を中心に組み立てられました。大型バスがそのまま入ってしまうほどのISSで最大の大きさを誇る実験棟です。

さて、ISSは地球から約400km上空の軌道上を秒速約8kmの速度で飛行し、およそ90分で地球を1周します。そのためISSのクルーには、45分おきに昼と夜が訪れます。400kmとは、地上では東京—大阪間の直線距離くらい。

ちなみに宇宙と呼ばれるのは、「大気がほぼなくなる地表から100km以上の上空」と定められています。100kmとは東京—熱海間。そう考えると、地上と宇宙は近い気がしませんか?

条件がそろえば肉眼で観測できる!ISSの見つけ方

ISSの観測条件とは?

ISSは条件さえそろえば、日没後と日の出前の約2時間の間、日本のどこからでも肉眼で観測することができます。ISSは雲より高い上空を周回しているので、天気のいい日であることが最大条件。ただし、晴天なら無条件に見られるというわけではありません。地球の自転の関係で、ISSが日本のどこを通過するかは毎日変わるので、地域によって見られない日もあります。

そこで、役立つのがKIBO宇宙放送局が運営する「#きぼうを見よう」のサイトです。ISSが何日の何時ごろ、どの方角で最もよく見えるのか、札幌、秋田、仙台、金沢、東京、大阪、広島、福岡、那覇の9つの観測場所ごとに、その日の状況を20日間先まで教えてくれます。それ以外の場所でも、スマホの位置情報などで観測場所を選ぶことができる優れたサイトです。

「#きぼうを見よう」で、自分の住んでいる場所からISSがよく見える日時、東西南北の方角を確認し、晴天に恵まれたら、ビルや木など視界をさえぎるものがない、見晴らしのいい場所に行きましょう。仰角(地平線からの角度)10度ぐらいから見えはじめ、90度に近いほど見つけやすくなります。「#きぼうを見よう」では、日時場所ごとの仰角情報も教えてくれます。最初は最大仰角が30度以上の日から観測するのがISSと出会う秘訣です。

ISSはどんなふうに見えるの?

夜空でのISSの見え方は、2~6分間ぐらい星空に光がスーッと横に移動しているようなイメージで見えます。観測できるのは、地上は夜、上空400kmのISSは昼間というタイミング。太陽に照らされたISSはとても明るく光り、特に天頂付近を通るときは−4等級の金星、あるいは−2等級の木星と同じくらい明るく見えます。ですから、都市部でも十分観測することができます。

自分の目でISSを見つけ、その動く光の中で私たちと同じ人間が働いていると思えば、宇宙にもグッと親近感が湧いてきますよね。この「肉眼で見る」ことは、ISS観測の重要なポイントです。宇宙観測と言えば双眼鏡や望遠鏡がつきものですが、絶えず移動しているISSの場合は逆効果。視野が限られるため、見逃してしまう可能性が高くなってしまいます。ISSはぜひ、肉眼で探し、子どもといっしょに感動を味わってみてください。

ISSから撮影された日本列島
ISSから撮影された日本列島(インターバル撮影 2021年11月)JAXA/NASA

生活につながる「きぼう」日本実験棟の宇宙実験

「きぼう」はどんな実験棟?

「きぼう」日本実験棟には、「船内実験室」と「船外実験プラットフォーム」という実験スペースがあります。宇宙での実験と聞くと、なにやら日常とはかけ離れたことのように思ってしまいますが、宇宙だからこそ実現できる研究、技術は、実は地上の私たちの生活にもつながっているのです。

ISS内は、「微小重力」といわれる地球の100万分の1ほどの重力環境、空気が存在せず対流が起きない「微小対流」などの環境になっています。こうした特殊な環境は、船内実験で大いに生かされています。

「きぼう」で行われているさまざまな実験

ISSの内部では、重力に引っ張られないことで、均質な結晶をつくることができます。たとえば医療分野の実験として、高品質のタンパク質の結晶をつくり、その形・機能を調べて病気の解明や副作用の少ない薬の開発につなげています。

また食の分野の実験として、微小重力の下での植物の栽培実験から、台風などの自然災害でも倒れにくいイネの品種開発などに役立つことが期待されています。ほかにも対流が起こらない環境を利用し、多くのお酒を熟成させ、まろやかにすると考えられる分子構造を解明する実験など、私たちの食生活に関わるさまざまな研究が行われています。

一方、バルコニーのように外に張り出した「船外実験プラットフォーム」では、まさに壮大な宇宙の謎に迫る観測成果を上げています。目に見えないX線を感知する観測装置「MAXI」を搭載することで、星がブラックホールに吸い込まれる瞬間を観測して注目されました。

言うなればISSは宇宙飛行士たちの職場。そう考えると、地上の私たちの生活とつながる宇宙が、そこにはあります。子どもとできるちょっとしたイベントの気分で、外に出てISSを見つけてみましょう。そこから学びや発見が大きく広がるかもしれません。

「きぼう」日本実験棟にて作業を行う野口聡一宇宙飛行士
「きぼう」日本実験棟にて作業を行う野口聡一宇宙飛行士(2021年1月) JAXA/NASA
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