「子どもが片付けをしない!」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。いくら言っても始めない、始めたと思ったらすぐに遊び始める……。毎日のように「片付けなさい」と怒る生活では、言う側も言われる側も負担を感じるものです。
今回は、お片付け問題に悩むパパママのために、お子さんの片付けのモチベーションを上げるテクニックをご紹介します。お子さんの性格に合わせた声かけを通して、お互いにストレスのないお片付け習慣をスタートさせましょう!
『 キララとピーチのかわいいの魔法 りんちゃんおたすけ大作戦!』の作者・高杉六花先生にも、二児の母としての視点から監修していただきました。
声かけの前に…子どもが片付けない理由は?

まずは、お子さんが片付けをしない理由についてご紹介します。お子さんにとって適切な声かけのためには、当人の心の状態を知ることが大切。お子さんの気質も加味したうえで、より効果的な言葉選びにつなげていきましょう。
「どうせまた散らかすから無駄」と思っている
お子さんが片付けない理由として、片付けの概念を根本的に理解できていないことが挙げられます。「もし今きれいに片付けたとしても、どうせ明日にはまた散らかす。だったら、最初から片付ける意味がないのでは?」とお子さんは考えています。
お子さんにとって遊べる時間は限られているため、片付ける時間も、収納から再度出す時間も「もったいない」と感じるのです。遊びや生活に対して、子どもながらに効率性を求めているからこそ、おもちゃやゲームを放置してしまいます。
片付けを無視することによる成功体験がある
お子さんが「片付けを無視しても問題ない」と考えていることも、片付けに積極的になれない理由のひとつです。お子さんがなかなか片付けをしないとき、つい代わりに片付けてしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。お子さんは、その記憶を成功体験として覚えている可能性があります。
「放置してもお母さん(お父さん)がやってくれる」「怒られても無視し続ければどうにかなる」と学習したお子さんは、面倒な片付けを後回しにしがちに。「自分のことは自分でやる」という意識が欠けてしまっている状態です。
心や体のスタミナに余裕がない
お子さんの心身が疲れているときも、片付けのやる気が生まれません。たとえば友達との関係が上手くいっていなかったり、部活や習い事で体が疲れていたり。片付けに使える心と体のリソースが不足しており、やらなければと思いつつも体が動きません。
大人でも、ストレスが溜まっていると、仕事や家事のやる気が起こらないものですよね。子どもも同様であり、外から見ると普段通りの様子に見えても、内心ではネガティブな感情や疲労が蓄積してしまっている可能性があります。
子どもが片付けのやる気を出すためのポイント・コツ

ここでは、お子さんの片付けのやる気を引き出すポイントやコツをご紹介します。お子さんの性格によって、やる気のスイッチが入るツボは異なるもの。お子さんの普段からの傾向を把握しつつ、ここぞというシーンでスイッチを入れられるコミュニケーションにつなげていきましょう。
子どもの気持ちが落ち着いているときに声をかける
片付けのモチベーションを上げるためには、お子さんの気持ちが落ち着いているときに声をかけることが大切です。たとえば学校から帰宅直後、体が疲れているタイミングでは、保護者の正論も耳に入りにくい状態です。
お子さんが「今日学校であったこと」を話し終えてスッキリしたタイミングや、おやつを食べ終えて満足感を抱いているときなど、心身に余裕がある瞬間を狙って声をかけましょう。勝敗がつくゲームを片付けるなら、お子さんが勝って気分も区切りも良いタイミングがおすすめです。
曖昧な指示はNG。具体性を持たせる
漠然と「片付けをしなさい」と伝えても、お子さんは「実際に何をどうすればいいのか」をイメージできていない場合もあります。指示をする際は具体性を意識し、5W1Hを心がけた声かけに努めましょう。
たとえば「5時までにゲームを箱の中にしまってね」「夕食までに漫画を本棚の中に戻しておいてね」などの声かけがおすすめ。タイミングまで具体的に提示することで、お子さんのなかでも「片付け時間から逆算して、〇分前までには遊びを切り上げよう」という意識が芽生えやすくもなります。
片付けを「役割」にする
お子さんに片付けの自主性を持ってもらうためには、責任感が重要です。片付けに対するマインドを、「親に言われたからやる」から「与えられた役割をまっとうする」に切り替える対話を心がけましょう。
一案としては、お子さんが片付けをする間、保護者様も別の部屋の片付けや掃除をすることです。家族で「仕事」を平等に役割分担することで、お子さんも不満なく片付けに取り組みやすくなります。お子さんの年齢によっては、日頃から各々の担当エリアを決めておくのも良いでしょう。
おもちゃに関連する「片付けワード」を取り入れる
勉強であれ片付けであれ、お子さんをもっとも突き動かす要素は「知的好奇心」です。お子さん自身の想像力が高まり、楽しみながら取り組める環境があれば、ストレスのない片付け習慣につながります。
おすすめしたいのが、おもちゃに関連する「片付けワード」の導入。たとえば車のおもちゃなら「車を車庫に戻しておいてね」、お人形なら「お家のなかに帰してあげてね」などのように、関連ワードを効果的に使えば想像力や好奇心を引き立てられます。
子どもが部屋を片付ける「魔法の言葉」5選

ここでは、お子さんが片付けのやる気を出す「魔法の言葉」をご紹介します。
片付けを習慣づける本質的な目的は、お子さんの自主性を養ったり、規則正しい生活リズムを整えたりするためにこそあります。お子さんの自主性を引き出す言葉を探し、自分から動ける環境を形成していきましょう。
1.〇〇ちゃん/くん、片付けてくれてありがとう
お子さんの片付け意欲を上げるためには、パパママの期待に応えたくなる一言が効果的です。「片付けてくれてありがとう」の言葉には、「パパママはあなたのことを、片付けができる子だと信じている」という信頼と期待の気持ちが秘められています。
するとお子さん自身も「自分は片付けができる子なんだ」と自己イメージを持ちやすくなり、そのイメージと一致するための行動をとりやすくなるのです。「〇〇ちゃん/くんのお陰でお部屋が気持ちよくなった!」「ありがとう、ママ(パパ)助かるな」など、アレンジの幅を広げるのも良いでしょう。
2.ママ(パパ)はこっち、〇〇ちゃん/くんはそっちね
前項で触れた「家族間の役割分担」を明文化する声かけです。小学生のお子さんにとって、保護者様はもっとも身近なロールモデル。タスクを課されるのが自分だけだと腰が重い子でも、家族みんなで一緒にやる状況であれば、積極性が生まれる可能性があります。
「〇時から頑張ろう」とスタート時間を明確にするのも効果的。「終わったら自由に遊んでていいよ」の声かけも取り入れれば、さらなるモチベーションアップにもつながります。自由時間を報酬にすれば、ご褒美作戦特有の「ご褒美がないと頑張れなくなるリスク」も軽減できます。
3.この曲が終わるまでに(片付けも)終わらせよう!
長時間集中するのが苦手なタイプの子には、短期集中型の片付けタイムを提案しましょう。たとえばお子さんが好きなアーティストやアニメの曲を流し、その曲が終わるまでにダッシュでお片付けをする方法がおすすめです。
運動会で使われるような焦燥感のあるクラッシック曲もお子さん受けが良く、楽しそうに急いで片付けてくれることも。慣れるまでは、曲が終わるまでに終了できるようサポートしてあげるのも良いでしょう。お子さんに「片付けタイムは楽しい」と思ってもらうためにもぜひ導入したい方法のひとつです。
4.もう遊ばないものってある?
片付けが苦手なお子さんは、そもそも「いる物・いらない物」の整理整頓ができていない場合もあります。部屋内の物量が少なくなれば、片付けの難易度や精神的なハードルも下がるものです。片付け前に、まずお子さんに物を選別してもらいましょう。
声をかければ、遊ばなくなったおもちゃやゲーム、使わなくなったカード、もう読まない漫画など、「片付け以前にそもそもいらない物」も出てくるはず。空間自体の情報量が減れば、「どこに何を片付ければいいのか」が見えやすくなり、片付けへの腰も軽くなります。
5.1人でやる?一緒にやる?
片付けの声かけでは、お子さんに「片付けをする前提の選択肢」を与える方法も効果的です。たとえば「1人でやる?一緒にやる?」や「床からやる?棚からやる?」など、二者択一話法(2つの選択肢から選ばせて結論を導く心理テクニック)を取り入れてみましょう。
選択肢を設けることで話が前進しやすくなりますし、お子さんが自分で選んだ選択肢であれば、当人も納得感を抱いて取り組みやすくなります。また「お片付けは当然やるもの」という意識も芽生えやすくなり、習慣化にも役立つでしょう。
片付けが進まないときは「ゲーミフィケーション」を取り入れよう

お子さんの片付けや勉強では、ゲーミフィケーションの要素を取り入れると自主性が芽生えやすくなります。ゲーミフィケーションとは、「ゲームの要素をゲーム以外の物事に取り入れることで、当事者の意欲や行動力を引き出す手法」です。
たとえばお片付けであれば、以下のようなゲーミフィケーションが効果的です。
- おもちゃを色ごとに整理整頓するゲーム
- タイマーが鳴るまでにできる限り多く片付けるゲーム
- おもちゃを正しいお家に帰してあげるゲーム など
ほかにも「片付け名人チャレンジ」と銘打ち、片付けできたらシールをあげる取り組みもおすすめ。ゲーミフィケーションでは報酬を用意することで意欲をさらに引き出せますが、手段と目的が乖離しないためにも、ご褒美はあくまでオマケ要素として取り入れましょう。
例としては、シールが溜まったら「ガチャガチャで好きなものを1つ買ってあげる」や「コンビニで駄菓子を1つ買ってあげる」など、経済的に負担が低いかつ当人の喜びが大きいものを推奨します。
子どもの片付けでは「ひとまず収納用」のボックスが大活躍!

片付けが苦手なお子さんは、以下の悩みを複合的に抱えている傾向にあります。
- 「部屋がきれいになった」の基準がわからない
- 何から手をつければいいのかわからない
- それぞれのおもちゃの収納場所が決まっていない
- 散らかった部屋の情報量に圧倒されて思考が止まってしまう
- 長時間集中して片付けすることが苦手
上記の悩みをまるっと解決するのが、「ひとまず物を収納する」ための大きなボックス。漫画・人形・ゲームなど、すべてのジャンルのおもちゃを一纏めに入れられる箱を1つ用意してみましょう。
ボックスを活用すると、整理整頓には課題がありながらも、「片付けが終わった状態=物が無くなり部屋がきれいな状態」というゴールに辿り着けます。この完成系の空間をつくること自体が、お子さんの片付けにおける成功体験につながるのです。
まずは、片付け後の景色をお子さんが自覚することが大切。ボックスを使った簡単な方法で空間を整えつつ、自信のある状態で次の片付けに挑戦してもらいましょう。
お子さんの特性に寄り添うことが大切!

どうしても片付けが進まないと、ついイライラして強い言葉を使いそうになる日もありますよね。そんなときは、まずは一度深呼吸。今日は思い切ってお子さんへの「声かけ」をやめて、お子さんの特性や傾向を観察する日にしてみませんか。
子どもたちは一人ひとり性格が違うように、脳の特性も異なります。たとえば勉強は得意でも、空間把握が苦手な子。運動は得意でも、実行機能(計画を立てて行動する力)が未成熟な子。すべての子どもに、得意なことと不得意なことが存在しています。
不得意なことを「やりなさい」と言われても、子どもは大きなストレスに感じるもの。片付けに対して必要以上にネガティブな感情を抱くと、遊ぶことにすらも無気力になってしまうリスクもあります。
お子さんは今日からもどんどん成長していきますから、焦る必要はありません。「子どもが片付けのどの部分でつまずいているのか」を把握しつつ、当人にもヒアリングしてみましょう。片付けでは結果のみ求めるのではなく、苦手なポイントから逆算して解決していく柔軟性も大切なのです。
片付けは「強制」ではなく「自主性」が習慣化の鍵

今回は、お子さんの片付け意欲を引き出すコツや、声かけをご紹介しました。
自室の片付けは、今後の人生で何十年も続くルーチンです。子ども時代から習慣化することは、お子さんの未来の生活や心の余裕にもつながります。
保護者様からの声かけで言われるがままにやるだけでは、なかなか自主性は芽生えません。お子さんがストレスなく楽しく片付けられる声かけで、人間的な成長もサポートしていきましょう。
この記事の監修・執筆者
2019年に第7回角川つばさ文庫小説賞一般部門で金賞を受賞。おもな作品に、『ひなたとひかり』シリーズ(講談社青い鳥文庫)、『君のとなりで。』シリーズ(角川つばさ文庫)、『ないしょの未来日記』シリーズ(ポプラキミノベル)、『キララとピーチのかわいいの魔法 りんちゃんおたすけ大作戦!』(Gakken)などがあります。
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