どんなお話の絵本?
『いっちゃんはわたしのかわいいいもうとです』は、きょうだいのあるあるエピソードが盛りだくさんの絵本です。
いろいろ不満があったり、ぶつかったりするけれど、きょうだいっていいものですよね。一緒に遊んだり、困ったときは助け合ったりできる、いちばん身近な存在です。そんなきょうだい(特にお姉ちゃん)の気持ちを、ユーモアたっぷりに描いています。
このお話は、『いっちゃんはわたしのかわいいいもうとです』というタイトルとは裏腹に、お姉ちゃんの困り顔で始まります。
「いもうとって ほんとに かわいい?」と言いたげなお姉ちゃん。
どうやらモヤモヤを抱えているようです。子どもにとって人生最初のピンチは、きょうだいの誕生だといわれています。この“フクザツなキモチ”は、すべてのお姉ちゃん・お兄ちゃんにとって永遠のテーマ。はたしてお姉ちゃんは、そんなモヤモヤを乗り越えられるのでしょうか?
書いているのはどんな人?
『いっちゃんはわたしのかわいいいもうとです』の作者は、文がよこみちけいこさん、絵が北村裕花さんです。
よこみちけいこさんは、広島県呉市生まれの絵本作家です。おもな絵本に、第一回ママ絵本大賞受賞作『ひみつのたからさがし』(ポプラ社)、『まんじゅうやのてるこさん』(マイクロマガジン社)、『おまめがっこうだいずぐみ』(ニコモ)など、紙芝居に『わん わん わーん!』(絵・やべみつのり/童心社)、『どんぐり ころころ こーろころ』(絵・長野ヒデ子/童心社)などがあります。
北村裕花さんは、栃木県生まれの絵本作家です。『おにぎりにんじゃ』で第33回講談社絵本新人賞佳作を受賞しました。おもな絵本に『ねこです。』、『ゴリラさんは』(ともに講談社)、『もっとこどもかいぎ』(フレーベル館)など、絵を手がけた作品に『かけっこ かけっこ』(文・中川ひろたか/講談社)などがあります。
どんな人におすすめ?
『いっちゃんはわたしのかわいいいもうとです』は、保護者が子どもに読んであげるなら年中・年長さん(3・4・5歳)におすすめです。妹や弟がいるお姉ちゃん・お兄ちゃんなら、主人公の気持ちに「わかる!」と共感すること間違いなしの一冊です。
また、子どもが自分で読むなら、小学校低学年の小学1・2年生(6・7・8歳)にもおすすめです。自分自身の気持ちを見つめ直したり、妹や弟への愛情を改めて自覚したりするきっかけになるかもしれません。
おすすめのポイント
1.きょうだいのあるあるエピソードが満載
主人公の「わたし」には、「いっちゃん」という妹がいます。この妹、ちゃっかりしているというか、なかなかの性格なのです。お姉ちゃんのものをほしがったり、何かほしいものがあると駄々をこねたり……。
でも、いっちゃんが「お姉ちゃん、だーいすき!」と言っているのを聞くと、「もう、仕方ないな」と思ってしまいます。そんなお姉ちゃんの“フクザツなキモチ”に共感してしまうでしょう。
妹の容赦ない「困らせぶり」はどれも、いつかどこかで見た光景。何気ない日常の中で積もっていく「姉の葛藤」に「うんうん、そうだよね。わかるよ」と答えてあげたくなってしまいます。
2.生き生きとしたイラストにも注目
ぜひ主人公の「わたし」のまなざしにも注目してみてください。
妹を見つめる「わたし」の目からは、姉の言葉にならない、やるせない思いがひしひしと伝わります。とまどいを感じているように見えたり、妹に内緒でお母さんに抱っこしてもらうときの表情にはきゅんとしたりします。
そして、「こまった いもうと」と言いながら、いっちゃんに向けられた優しさにあふれるまなざしも見逃せません。
まさに目が語るお話です。
この絵本のレビュー
教育評論家・親野智可等(おやのちから)先生のコメント
わがままだけどかわいい。
かわいいけど手がかかる。
ずるいって思うけどかわいい。
かわいいけどいうこときかないから困る。
あまえんぼうで大変。
大変だけどかわいい。
自分に妹や弟がいる子は、読みながら「こういうことある」「すごくわかる」「うちの妹・弟もそう」と共感すること間違いなしです。
そして、自分の気持ちを見つめ直し、改めてきょうだいへの愛情を自覚するきっかけになると思います。
きょうだい仲をよくしてあげるのは親が残す最高の教育のひとつです。
それは一生の財産になるでしょう。